置碁の新しいルールを考えてみた
さて今回はまた囲碁の話。囲碁には、「置碁(おきご)」というハンデ戦がある。両対局者の実力の差に応じて、いくつかの黒石を盤面に置いた上でスタートする方式だ。アマチュアの場合は、だいたい一段差につき一つの石を置く。五段と初段が打つ場合は、4つの黒石を置いて打ち始めるわけだ。専門用語では四子局という。置き石の配置については、ウィキペディアを参照されたい。
この置き石は、一つあたり約10目くらいのハンデになるという。互先(ハンデなし)の対局で30目差がつくくらいの腕の差であれば、三子置いて打つくらいでちょうどよいというわけだ。
ただし、単純に10目ずつというのでもない。昔、囲碁雑誌ではよくプロ同士の置碁というのが企画されていた。その結果を見ると、五子局では平均して約60目差、九子局では約130目程度の差がついていたようだ。置き石が増えるにつれ、石同士の間に連携が生まれ、置き石一つあたりの威力が増すということなのだろう。
ただこれには例外がひとりいる。その棋士は、石田芳夫九段(24世本因坊石田秀芳)だ。この人は置碁の名手として知られ、白を持っても黒を持っても上記の平均値よりずっと差を詰めてくる。プロ相手に九子置かせてたったの57目負けに持ち込んだとか、五子か六子か置かせて打ち進めるうちに勝ちそうになってしまい、あわてて手を緩めたとかいう話も聞いたことがある。これはもう特殊な才能としかいいようがない。
さて、置き石を自分の好きなように配置して打ち始める方法もある。いわゆる自由置碁というものだ。五子局なら下図左上が正当な配置だが、当然他にもいろいろな置き方がありうる。さてこれらは目数に直すと何目になり、どれが勝るのだろう。石田先生に聞いてみるか、今ならAIに尋ねればどれがベストか教えてくれるのかもしれないが、人間なら棋風によっても違ってきそうだ。
そこで、新しい対局形式をふと思いついた。ルールは以下の通り。
(1)対局者Aが、黒石を盤上にいくつか自由に配置する。
(2)対局者Bは、その配置が何目の負担に相当するか判断し、「コミ○○目」と宣言する
(3)対局者Aはそれを聞き、黒白いずれか有利と思った方を選択して、対局開始。
(4)終局後、黒地から宣言されたコミの目数を差し引き、勝敗を決する。
最初の判断を間違えると、どれだけうまく打っても追いつかなくなるわけだ。だが、たとえば上図右下の十字形は何目と判定するか?思ったより有力な配置とか、見掛け倒しで全然ダメな配置とかも出てきたりするんではと思う。
もちろん、初期配置で白黒双方の石を置いておくのもありだろう。筆者にはこんな方式の対局につきあってくれる人がいないので、誰かお試しいただければ幸いである。
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