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【40冊目】時間の終わりまでブライアン・グリーン青木薫著

【諸々】

・物理学者により、宇宙の始まり~銀河系の成り立ち~天体や地球の成り立ち~生命の誕生~(中略)~宇宙が終わるまでについて論じられた本。物理学者の専門に関しては分かりやすくかつ大変興味深く読めた。

・記述された内容には、宗教や音楽、芸術についての記載があり、人の成り立ちをどこまで語るかという話にはなるが、外せない話題だろう。ただ致し方ない部分は多いとは思うが、その内容のほとんどが文献の引用でありかつ薄いように感じた。それらの引用について、物理現象とのアナロジーを説明してほしかった。

・全体を通して、数式やA=B=Cのような一般化抽象化された説明は理学に関するもののみで、それ以外の分野では大変に概念的なものにならざるを得ない。

【気になったところ抜粋&感想("→"以降)】

①P322 狩猟採集部族の氏族集団が大きくなると、決定的に重要な問題が生じる。集団のメンバーが徐々に増えていくとき、仲間のあいだで協力と忠誠を保証するにはどうすればいいのだろう?ダーウィンに起源をもち、ロナルド・フィッシャー、J/B/Sホールデン、W/Dハミルトンら、多くの著名な科学者たちによって何十年という歳月をかけて発展せられてきた考えによると、血縁集団のばあいであれば、自然選択による進化がその問題をあっさり解決してくれる。私は、兄弟姉妹と子供たちや近い血縁者とは、遺伝子のかなりの部分を共有しているから、この人たちには忠実だ。

→この考え方によると、氏族集団=権力が大きくなるための要素として宗教が発展してきた、と理解できる。宗教の起源には言及していないが、その面はあるだろう。

②P325 亡くなった先祖や、人間を見張っている神々への奉献に携わる人たちは、部族のためにという大義を大切にするはずだから、より信頼が置けただろう。したがって、遺伝的傾向が遺伝子プールに広がる様子を明らかにするためには、利己的な者が得をする集団内の力学だけでなく、協力的な者が得をする集団間のダイナミクスも考慮しなければならない。もしも何千世代にわたって集団間の成功が生き残りの計算を支配していたと仮定すると、集団への忠誠が支配的になり、それゆえ社会を結束させる宗教の力が勝利しただろう。

→これは現代においては共産主義とアメリカが対立する構図である。社会背景=宗教が異なるため、思想や行動が異なる。

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