高野山への旅

 

第一章:計画の朝

2023年8月12日の朝、まだ薄暗い中で山田たかふみは目を覚ました。時計を見ると6時半。今日は友人の吉村ともゆき、そして久しぶりに会う服部と共に高野山へ旅行に行く日だ。心地よい期待感と少しの不安を抱えながら、彼は急いで準備を整えた。


山田は特に服部との再会を楽しみにしていた。服部に対する彼の気持ちは、ただの友情ではなく、恋愛感情へと変わっていた。しかし、その思いを告白する勇気はなく、二人の関係が壊れることを恐れていた。服部と会うのは数か月ぶりで、山田はこの旅が二人の関係にどう影響するかを考えずにはいられなかった。


準備をする中で、山田はカミソリを買っておくことを忘れていたことに気付いた。鏡の前で自分の顔を見ながら、髭を剃ることができないことを後悔した。服部に会うときに、清潔感を欠いてしまう自分を想像すると、少し焦りを感じた。


「電車で行きましょうか」と、吉村からのLINEが届いたのは6時51分。山田はすぐに「うん」と返事をした。その直後、服部からのメッセージが続いた。「お昼ごはんまでに向こうに行けたらオッケーなんよな」。服部は、集合時間について少し心配しているようだった。


山田はそのメッセージを見て、服部の声が聞こえるような気がした。彼女の男らしい荒々しさに惹かれると同時に、女性らしい優しさも感じていた。服部の存在が、山田の心を揺さぶる何かを持っていることを、彼は自覚していた。彼女との再会が今から楽しみだと、山田は心の中でつぶやいた。

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