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教会はなぜシンプルであるべきなのか?

「オーガニックチャーチ」とは、どのような教会のあり方なのでしょう? 「また、新しい教会モデルか」と思うかもしれませんが、オーガニックチャーチは、特定の形の組織を作ることや、教会のやり方や手法、伝道方法を表すものではありません。

オーガニックチャーチとは、教会を本質的なところから考え直し、シンプルにすることです。「ハウスチャーチ」や「家の教会」、「スモールグループ」や「セル」など色んな取り組みの中で、オーガニックチャーチとして機能し実践されているものがあります。

「オーガニックチャーチ」という考え方を通してお伝えしたいのは、教会の大きさや具体的な活動内容に関わらず、集まりの構造をシンプルにすることと、焦点を外の世界に向けること、そしてキリストのからだとしての本質的な働きに定めることです。シンプルであることは、どうしてそんなに大切なのでしょう?

第一に、シンプルなものは分かりやすいからです。
意味の分からない、得体のしれないものに親近感を持つことは難しいものです。理解できないのは、自分には関係がないからだと感じてしまうのです。一方で分かりやすければ、それは身近なものとなり、好感をもつことができます。

そう考えてみると、すでにクリスチャンである私たちにとって分かりやすいかどうかではなく、クリスチャンではない人たちにとって分かりやすいものであるかどうかが大切なことであることがわかりますね。

第二に、シンプルなものはコピーしやすいからです。
教会は1世代のものではなく、次の世代に渡していく必要のあるものです。そして、ただ次の世代に継承されるだけでなく、増殖していく必要があります。

渡すものが複雑であればあるほど、伝えることが難しくなります。30分のスピーチを伝言ゲームで伝えていくことなんてできません。シンプルであるからこそ伝えることができ、マネをすることができます。教会が増え広がるためには、シンプルである必要があるのです。

第三に、シンプルであれば、スピードが早くなるからです。
多くの教会では、働きをするために神学校を卒業することが求められます。新しく教会を開拓しようとする人たちも、まずは神学校に行って牧師の資格を取ろうと考えるのではないでしょうか?

しかし、神学校を卒業するためには2~3年の期間、場合によっては6年以上の期間を勉強に費やすことになります。そして、神学校を卒業していたからといって、働きがうまくできるというわけでもありません。神学校で学ぶのは学問であり、知識だからです。「牧師は10年働いてやっと一人前」という話も聞きます。

一人前になるために10年の年月を必要とする人がいなければなりたたないような組織では、人口の増加や文化の変化に対応することができません。毎年大勢の神学生が同時に学んでいたころならまだしも、毎年数十人しかいない神学生では、引退する牧師の数にすら足りません。このスピードでは日本の教会が破綻してしまうのです。

クリスチャンになって、すぐにでも働きに参加することができるようなシンプルさが必要です。その働きの中で、必要に応じて神学校に行って学んだり、トレーニングを受けることはあるでしょう。実践をしながら学ぶなら、それは生きた知識にもなっていくはずです。

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CDやMDなどのソフトを買う時代から、音楽をダウンロードすることが当たり前になる流れを作ったのは、アップル社のiPodでした。iPodが人気になった理由の一つは、デザインのシンプルさにあったと思います。

検索エンジンと言えばYahoo! の一人勝ちだった時代がありましたが、それを塗り替えたのはGoogleでした。ニュースや宣伝など、余計な情報を一切排除したデザインが、多くの人々に受け入れられたのです。

こうして、シンプルであることが求められるのは、余計なものが取り除かれ、本質的なものが明確にされているからだと思います。情報が多すぎる現代では、シンプルであることが武器となるのです。

イエスさまも、シンプルにすることの大切さをよく理解していました。

イエスは彼に言われた。「『あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。』これが、重要な第一の戒めです。『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい』という第二の戒めも、それと同じように重要です。この二つの戒めに律法と預言者の全体がかかっているのです。」(マタイ 22:37-40)

613の律法を全て知り、守ることは容易なことではありません。しかし、神さまの願いが神を愛し、隣人を愛することだと理解していれば、律法を覚えていなくても神さまの御心に沿った生き方になるのです。

私たち日本人はマジメなので、これまで築き上げてきたものを変えたり、シンプルにすることは失礼な気がするのかもしれません。でも、シンプルになってその本質的な部分が明確にされることは、より多くの人たちに届くためにも有効な手段なのです。

教会はどうすれば、もっとシンプルにできるのでしょうか?

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