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イカ墨スパゲティとソーセージ

土曜日は姉の引っ越しの手伝いをした。

既に荷物は引っ越し業者によって部屋まで運び込まれていたので、主に荷ほどきと棚の組み立てと掃除を行った。

2LDKで恐ろしく広い部屋だった。部屋数も多い。しかもバーカウンター付きのキッチンまである。

姉の話では、引っ越し業者の社員が生意気で無駄口ばかり叩く奴だったのだが、引っ越し先を見ていきなり態度が変わって敬語になり口数が減ったのだという。

それも頷けるほどに立派な部屋だった。

その日は姉の部屋に泊まった。ベッドルームは押し入れのようになっていて、戸を閉めることもできるので、完全にプライベートな空間を確保することができる。

丁度ドラえもんの寝床の押し入れみたいな感じだ。

俺は二段ベッドの上にあたる場所に寝た。しかし、上り下りする梯子がなかったし、上るにも結構な高さがあったので、夜中にトイレが近くなる俺にとっては命がけだった。

視界が真っ暗の中、気休め程度の丸椅子に着地するのは困難だったし、トイレを済ませた後に丸椅子に乗ってから一生懸命ベッドによじ登るのも地獄だった。

頼むから早く梯子か階段を買ってくれ。

しかも戸を完全に占めると、空気がこもって冬でも蒸し暑くなるのだ。かといって完全に開け放つと寒くて眠れなくなる。難儀だった。

加えて俺はアレルギー性の鼻炎持ちなので、人の家に行くと空気が合わず、くしゃみが止まらなくなってしまうのだ。

新居で俺の部屋よりは間違いなくキレイな場所でも、ホテルの寝室でもこの発作は起こる。

例に漏れず姉の新居で俺は発作を起こし、くしゃみと鼻詰まりで眠れなかった。

結局二時間しか寝れずに、翌朝6:00くらいに寝床から離れ、姉が起きてきたタイミングで挨拶をして寮に戻った。

日曜日は丸一日寝ていた。仕事の疲れと、引っ越しの手伝いの疲れと、昨晩眠れなかった疲れで、水を飲むときとトイレに行くとき以外はずっとベッドでウトウト寝たり起きたりをしていた。

引っ越しのときにいらなくなったホットプレートと今後食べないであろうイカ墨スパゲティのレトルトソースをもらってきた。

俺の部屋にはガスコンロがないので、ホットプレートは本当に嬉しかった。これで部屋にいても簡単な焼き物や炒め物くらいならできるようになる。

今日はイカ墨スパゲティと、なにかソーセージでも焼いて食べようと思った。

仕事帰りに近所のコンビニみたいなスーパーに行き、スパゲティと太いソーセージを買った。

栄養が偏るので、カット野菜のサラダも一緒にかごに放り込む。

寮の部屋に戻り、ホットプレートにソーセージを載せ、ソーセージが半分くらい浸かる量の水を入れ、スイッチを入れる。

寮のキッチンでお湯を沸かし、イカ墨ソースのレトルトパウチを温める。時間はパッケージの表示を守って5分くらい。

パウチが温まったら鍋から取り出して、同じお湯に塩を入れて、スパゲティを茹でる。

スパゲティが茹で上がったらお湯を切り、空になった鍋にレトルトパウチからソースを注いで、すぐにスパゲティを入れて混ぜる。洗い物を減らすにはこの方法が一番だ。

水分が飛んで表面が香ばしく焼けたソーセージをカット野菜のサラダの上に載せ、スパゲティを鍋から皿に移したら完成だ。

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イカ墨スパゲティとソーセージ。俺は基本的にスパゲティのソースは自作に限ると思っているのだが、たまには自分の主義を覆すことも大事だ。

実際、イカ墨スパゲティはその見た目とは裏腹に滅茶苦茶美味かった。こういうのもたまにはいいかもしれない。

ソーセージはレモンとバジルの風味が効いているちょっとお高い奴なので、文句なく美味かった。

頻繁に寮のキッチンと部屋を行き来しなくても、これからは簡単な料理が部屋で作れるとなると嬉しい。

明日はこいつを使って朝ごはんに目玉焼きでも焼こうかな。

晩御飯にお好み焼きなんてのもありだな。

週末はホットケーキでも焼いてみようか。

うーん…夢が広がるなぁ。

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