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NIKE ZOOM HYPER ACE 2の考察


今回、日本ハンドボールリーグに所属する三重バイオレットアイリスの岩見佳音選手からご依頼いただき考察させていただきます。
三重バイオレットアイリスのホームページはこちら↓


NIKEのハンドボールシューズはみたことないなーと思っていたら、バレーボールシューズとして発売されたモデルになります。
NIKEのテクノロジーがふんだんに詰まったモデルになっています。
ハンドボール選手がバレーボールシューズやバスケットボールシューズ、テニスシューズなどを使用している選手は結構います。
このバレーボールシューズも体育館競技などでは様々な競技に使用できるものになっているのかなと思います。

では考察行ってみましょう!
間違っている箇所があったらごめんなさい!


内・外側のソール仕様

HYPERACE2 ソール内側

内側のヒールはミッドソールが分厚めの設計となっています


HYPERACE2 ソール外側

内側と同じくミッドソールが分厚く設計されています。
図からわかるように基本的に内側も外側もアッパー部分は同じ仕様で均等なデザインで統一。
サドルを人工皮革(スォッシュの入っている箇所)でサポートしています。
ヒールカウンターは内臓型になっています。
ミッドソール部分は基本同じ構造ですが、アウトソールによって外側の方がやや長めに見えるようになっています。(緑の▲の箇所)

アウトソールは若干内外で違っていて、外側の方が動きのフレキシブルさを出すためにサポート箇所が短めに作られています。

先日の記事でも書きましたが、横アーチがつぶれて外側に可動性が大きくなるので、これらの少しの差が足にとってのフィット感を高めていきます。
横アーチに関して気になる方はこちらの記事をお読みください。↓

ZOOM AIRユニット

公式にも書かれていますが、

・Nike Zoom Airクッショニングを備えたフォームミッドソールにより、軽量で反応性が向上
・NIKE Zoom  irには特定の空気循環と換気システムがあり、最も激しいゲームでも足をドライに保ちます。
NIKE.com

NIKE ZOOM AIRは、特殊なユニットになっいています。
以下の図のように空気と繊維素材が詰まったエアバッグのことです。
空気がクッション性、繊維素材が着地時のパワーを反発性に変換してくれる仕様になっていて、NIKEの通常のAIRといわれる吸収を主に行うものとは違いスポーツパフォーマンスに直結する機能が搭載されています。

ZOOM AIR 内部構造

このHYPERACE2の中足部にも【NIKE ZOOM】と記載されてます。

NIKE ZOOMの表記

この靴のZOOM AIRの配置箇所は公式でも記載がないのですが
中足部にNIKE ZOOMの記載があるのでかかとからMP関節部まで入っている形のフルレングス型のユニットが
配置されえているのではないか?と予想されます。

フルレングスのZOOM AIR

ミッドソールをEVAだけのものにするよりも公式にも書いているように軽量化でき、反発力を生むので、ジャンプ動作や素早い動きを連続するようなポジションであればパフォーマンスを向上させることが期待できます。
岩見選手がGKということで、片脚でのその場でのステップやシュートに反応する際に踏み込んで逆サイドへの動作を行ったりすることがあると思うのでGKにも向いているかと思います。

後足部のアッパーの仕様(横からの考察)

横からのアッパーの仕様

アッパーもしっかりした仕様になっています。
内蔵されたヒールカップは中を見れないので中身を確認できませんが、公式にTPUケージを仕様し横方向のブレを軽減し、かかとを安定させると書いています。

Hardcourt Support Crafted – TPU ケージを備えたハードコート サーフェス用の機能。TPUケージは剛性を提供し、横方向のカット中に足が靴の側面を越えるのを防ぎ、コートでの不要な滑りを防ぎます. 十分な硬さで、ゲーム中ずっと足を所定の位置に保ちます。
https://sportraffic.com/product/nike-air-zoom-hyperace-mens-volleyball/

しっかりしたヒールカップを配置した以外にもこのシューズは後足部の安定を目的としたパーツが配置されています。
ヒールからサドル部分のサポートに関しては合成樹脂であしらわれ
紐を結ぶことで、内外側とも矢印(黄色)の方向にテンションがかかるようになっています。
内蔵されたヒールカウンターはあるものの、それらのヒールカ部分をさらに強固できるようなサポートにもなっています。
足首のテーピング手法で言えば、テーピングほど強固なサポートではないもののヒールロック、スターアップ、フィギュアエイトに似た保護機能があると考えられます。
下のテーピングの図は上記で紹介したものとは違う手法ですが、このようなサポート機能も紐を結ぶことで起こってくると考えます。

テーピングイメージ後足部のサポート

後足部のサポート(後方からの考察)

後方からのサポート
後足部のサポートと紐の力学的作用

後方からはかかとをホールドするようにかかと真ん中、内側、外側とミッドソールが突出している箇所があります(上記図1枚目、2枚目ピンク矢印の箇所)
これは足の回内、回外を後足部(特に踵骨、距骨の動き)からサポートすることで前足部への影響を制限し、骨格の運動連鎖を機能的に働かせてくれる機能となっています。

上記の図1枚目で黄色い矢印のつながっている箇所は、ヒールカップのプラスのサポートとして存在しています。
紐を縛った際に、さらにかかとのホールドを高めるために重要になります。

2枚目の写真の①、②緑色の矢印は、ヒールカップや後足部のアッパーの合成樹脂のサポート材があることで、紐を縛ることでかかとにかかる力学的構図です。
左右からの圧迫と後ろから前に押し出すような力がかかるようになっています。
より後足部を安定させる仕様になっていますね。
個人的に好きな構造です。
横への動きが多いGKには靴内での横ブレが予防できるので機能としては良いと思います。
さらには後足部が安定することで、前後の動きもスムーズになります。

シューレース

シューレース

シューレースもNIKEのテクノロジーでダイナミックフライワイヤー(図の黄色い箇所)という仕様になっています。
これは、細い線維でサイドから吊り上げるように足をサポートするようになっています。
これを使用することで軽量化をするのはもちろん、足の自然な動きに合わせて弛緩・収縮し、履く人に合わせたフィット感で足を包み込むようになっています。
HYPERACE2ではわかりずらいので、丸見えのものを貼っておきます。

AIR MAX 95 DYN FW
 NIKE フライニット ワン+

他にもこの技術を使用することで、サドルのように左右から包むようにアッパー部分を抑えることで靴内でのねじれなどのブレを軽減する役目として役立っています。

シューレース その2

シューレース上部

合成ゴムでサポートされたシューレースの一番上は3つ穴が開いていて
靴自体には2つ(黄色い丸の箇所)しか穴が空いておらず、外側の穴とリンクして開いている穴に通すことで強固なサポートができるようになっています。
内も外も2つの穴を通すことで、ダブルアイレットというかかとを安定化させる結び方にできるような仕様になっています。
アイレットの力がかかる方向的に、靴自体のシューホールの位置が好ましいが、3つ目の外側だけにしかないシューホール(赤丸)はダブルアイレットを外側パーツだけで通す際や、足関節周囲の固定の仕方を工夫できるようになっていると思われます。
ダブルアイレットの通し方がきついけど、少し足首を固定したいという方はここのシューホールをうまく使うと好みのフィット感になるかと思います。

シューズ内側のサポート機能

シューズ内側のサポート機能

最近のスポーツシューズでは多くみられるがシュータンと一緒になっている靴下のような靴底から塗ってあるゴムであしらわれた横からのサポート
(赤丸)もしっかりあり、ダイナミックフライワイヤーと一緒に中足部の足のホールを上げ、フィット性を高めています。
右の足の図の青線と矢印の範囲がサポートされるイメージです。
MP関節部からつま先は自由度をある程度確保するためにそのようなサポートはついていません。

この赤丸の横からはみ出した箇所の名前わかる人いますでしょうか?
中足部サポートとか、知っている人いたら教えてください。笑


前足部のアッパーの仕様

前足部のアッパー


中足部から前足部まで同じ素材であるテキスタイル素材で作られたアッパーの上に細かくゴム樹脂を配置。
この樹脂があることで上下左右への素材のへたりを防止しさらには動きのサポート力を上げている。

アウトソールの仕様

アウトソールの仕様

●つま先のオレンジ、青の矢印部分
動きを殺さないための屈曲溝が横6つ(オレンジ矢印)、縦2つ(青矢印)あり、これらがあることで、多方面への動きの対応に加え、高いグリップ性を保ちつつスムーズな前後への動きを抑制しない仕様になっています。
前足部は全体的に横に細かい突起型で線状のアウトソールのデザインとなていてハンドボールにおけるGKでの動きで考えると多い動きはシュートを打ってくるプレイヤーに対する前後動作、そして瞬時の対応になるので
適した構造になっていると考えられます。

●中足部前(NIKEのスウッシュ真ん中付近)
前後への動きにフォーカスされているシューズなので
前足部よりは細かくはないが適度な間隔で先の少し丸くなったアウトソールがデザインされています。

●中足部後ろ~後足部(NIKEのスウッシュの細い箇所から後ろ)
・中足部から後足部の穴の開いた箇所は、細かい穴をあけることでグリップ力を上げる作用になっています。
後足部での方向転換や多方面の動きでの中足部から後足部で踏ん張たりする際に役立つといえます

●後足部(かかと部分)
靴のウェッジ部分は後足部、中足部、前足部でデザインが異なりかかと部分は多方面へのヒールを使った重心コントロールがしやすようになっています。

●真ん中の青い箇所(かかとから母指球、つま先まで)
かかとから母指球からつま先までの青い箇所は
吸盤のような構造で、床に対してグリップが効果的に働くと考えられます。
特に後足部と前足部は密に配置され中足部では、吸盤のような構造は少なくなっています。
これらのデザインにすることで多方面へのグリップ力を発揮させ、足の動きをかかとから母趾側へ流れやすく誘導してくれるようにフレキシブルなつくりになっています

まとめ


全体的に後足部の安定性を目的とし、前後の動きを特にコントロールしたモデルになっているかと思います。
NIKEのテクノロジーであるZOOM AIRやダイナミックフライワイヤーなどを駆使することでクッション性や軽量化とフレキスブルさを損なわず、基本的構造を崩さずしっかりと靴としての機能性は高く保てているように思います。
1つ、GKをされている岩見選手のデメリットとして考えられるのは、体育館など床にヒールを接地した状態で滑るような動きでは、グリップが引っ掛かることがあると思うのでそのあたりは怪我になる可能性もあるので注意が必要かなと思います。
フットサルやハンドボールではGKは靴のかかと面を床につきシュートブロックをすることがあると思います。フットサルではスパカットって言いますが、この動きに適した靴をさがすかテーピングで滑りやすくすることをお勧めします。(もう対応されていたらごめんなさい)

ということで、もしこの靴を履いている選手がいましたら、参考にしてみてください!



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