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才能がない選手は一人もいない。隠れた才能を見つけ出すことが指導者の仕事

サッカーの才能がない選手ってどんな選手だと思いますか。足が遅い選手のことか、背が低い選手のことか、判断が遅い選手のことなのか。

色々な意見が出そうですが、僕は才能のない選手は誰一人いないと思っています。才能がない選手がいたとすれば、それは「才能に気づいていない」もしくは「才能に気づかれていない」選手のことです。

選手の性格、体の形、筋肉の特性。みんなそれぞれ違うものを持っています。 そしてその違いは必ず何かしらの優れた特性を生み出しています。

「足が速い」「強いシュートが打てる」といった能力は非常にわかりやすい才能です。しかし誰が見てもわかる特性ではなく、隠れている(見えにくい)才能を見つけ出すことが指導者の重要な仕事だと考えます。

今回は選手の才能について書いていきたいと思います。

■小さな違いも見逃さない。観察することが全ての始まり。

選手の特性を見つけ出すために必要なことはとにかく観察することです。体重の掛け方、柔軟性、関節可動域、性格、生活。全てのほんの小さな違いがその選手にしかない特性を生み出します。特性の要因となるものは多すぎて全てを見つけ出すことは非常に難しいです。だからこそ指導者は日々選手を観察し、選手の特性をみつけだす努力を怠ってはいけないのです。

小さな違いがどの様にサッカーにおける才能となるのか。瀬谷インターナショナルに所属する選手達を例に紹介していきます。

■背伸び(つま先立ち)でプレーする奇妙な癖は特別な才能

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無意識で常にかかとを浮かし(背伸びした状態で)プレーする彼は運動時にアキレス腱に負担をかけ続けるため異常に硬いアキレス腱を持っています。
硬いアキレス腱はジャンプやダッシュ時に強いバネとなり爆発的な瞬発力を生み出します。(陸上の短距離や走り高跳びなどでは硬いアキレス腱は非常に有利とされる。)彼の場合、常にかかとを着けずにプレーするため、ほぼ全てのプレー時間でアキレス腱のトレーニングをしていたと言っても過言ではありません。無意識でカカトを浮かしてプレーしてきた奇妙な癖が硬いアキレス健という才能をもたらしているのです。

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スパイクはいつもつま先しか削れない。 異常発達したふくらはぎ。

■生まれながらに重心が後ろにあることでボールを深い位置に持つことができる。

彼は生まれながらに重心がかなり後ろにあるという特徴を持っている選手。重心が後ろにある選手はボールをより深い位置で持つという特性があります。

この特徴を持つ選手は常に足元にボールがあるため相手DFがなかなか飛び込めないという現象が起こります。

クリスティアーノロナウド選手はその特徴を持つ代表格の選手といえるでしょう。また、彼の持つ縦へ仕掛ける意識も、この「重心がうしろ」という才能をさらに引き立てています。

■股関節の外転が生み出す曲がらないインサイドキック 

この2人の選手はインサイドキックを強くまっすぐ蹴る能力を持っています。普通、インサイドキックは強く蹴ろうとするとどうしても少しカーブがかかってしまいます。

2人はなぜまっすぐなインサイドキックを蹴ることができるのでしょうか。
それは彼らの股関節が大きく外旋するという特徴を持ち合わせているからです。股関節が大きく外旋することでインサイドの面を前にまっすぐ押し出すことができるのです。

この特徴を持つ代表的な選手はメッシ選手です。注目すべきは脚を前に押し出した際のインサイド面の角度です。これは普通の選手では考えられないような角度です。このような股関節の動きが可能な選手は強いインサイドキックをまっすぐ蹴ることができるのです。

今後成長に合わせて当然足も長くなりパワーもついてくるので、そのインサイドパスにさらに磨きがかかるはずです。

■サッカーは一つの武器を磨き続けることで天才と呼ばれる選手達に応戦できる。だからこそ才能を見つけ出すことは指導者の重要な仕事

サッカーは1つの突出した能力があれば十分高いレベルで戦うことができます。僕は7年間海外でプレーしてきましたが、一見技術的に恵まれていないように見える選手達が一つの武器を磨き上げプロとして活躍しているのを沢山見てきました。

サッカーでは1つの長所を磨き続けることで、全てを兼ね備えているように見える天才達と対等な勝負をすることができます。そしてこれまで1つも優れた才能を持っていなかった選手は一人もいませんでした。つまり、持っている才能を伸ばしていくことで全ての選手にトップレベルでプレーするチャンスがあるということです。

だからこそ、私たち指導者は選手の特性を見逃さないよう、細心の注意を払い、隠れた才能を掘り出すために全力で努力し続ける必要があるのです。


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