見出し画像

『走り込み』なしで選手の体力(VO2 max)を大きく向上させる。SIFジュニアユースの取り組みとその成果について。

育成年代で頻繁に行われる『走り込み』。体力がなければ勝てないという考えから日本ではサッカーのトレーニングにおいて長時間の『走り込み』を取り入れるクラブが多く存在します。もちろん体力は試合の勝敗に大きく関わる重要な要素であることは間違いありませんが、育成年代の選手達にとって最も重要なことは将来のために基本技術や判断力を高めることです。もしサッカーの練習の中で走り込みをせずに体力を向上させることができたら、それは選手達にとってこの上ない練習だと言えます。

※『走り込み』を否定するものでなく、今回はあくまで「ボールを使った練習のみでVO2 maxを向上できるか検証した」というものです。ここでは触れませんが『素走り』にも試合形式などのボール練習にはないメリットはあります。

■走り込みをせず短期間で最大酸素摂取量(VO2 max)が大幅に増加

SIFでは2019年8月〜2019年11月にかけては『走り込み』をほとんど行わず、ボールを使ったトレーニングのみで選手達のVO2 maxを大幅に向上させることができました。測定方法は20mシャトルランを用いて測定しています。

画像1

グラフは2019年9月とそのの4ヶ月後の12月に測定したSIFジュニアユース選手の20mシャトルランの記録です。1年生、2年生、3年生共に大幅に記録が向上しています。

■実際にどのようなトレーニングを行なったか

実際に行ったトレーニングを以下に記します。

◉ポゼッション    ◉連続される1対1       ◉シュートゲーム

いずれの練習も全力で行い運動強度を最大限高めることが必須条件となっています。サッカーの試合では平均心拍数が160程度なのに対し、これらの練習では平均心拍数が180前後を達成することができます。このような練習を週2〜3回行うことで大幅な最大酸素摂取量の増加を得られることがわかりました。その取り組みの1例をご紹介します。

画像2

↑↑は1対1を少しの休息を挟みながら連続して行うトレーニングです。

高い強度の動き → 休む → 高い強度の動き → 休む 繰をり返すことで最大心拍数に近い状態でトレーニングが可能です。

また、プレータイムとレスト(休憩時間)の関係は1:1で行うことが多いです。

このように全てのトレーニングメニューで高い心拍数を達成できるように、理想的な『プレー時間』『プレー頻度』『プレー強度』などを調節していくことがこのトレーニングの鍵となります。

■今後も選手達のデータをもとに様々なトレーニングについて検証したい。

今回は2019年12月に実施したフィットネステストから選手のVO2 maxが大きく向上したことがわかりました。今後も明確な意図を持ったトレーニングと選手達のフィットネスデータを分析することでVO2 maxだけではない様々なトレーニングの成果について検証していきたいと思います。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?