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『時代に逆行するカタチ』で選手育成を。基本技術の反復練習が必要な理由。

近年は個人戦術や組織プレーなどの最先端の指導方法がヨーロッパから入ってくるようになり、日本でも最先端の戦術などを指導に取り入れるサッカースクールやクラブチームが増えています。

世界最先端のトレーニングを取り入れようとするこの動きは、凄まじいスピードで情報が入ってくる現代では当然の流れかもしれません。

しかし、時代に逆行するように私達のクラブ(ジュニアユース、サッカースクール)では基本技術の反復練習を徹底的に行っています。昔の部活動のような、基本練習を繰り返すトレーニングです。

おそらくここまで基本練習を反復してトレーニングするサッカースクールは全国的にもかなり珍しいのではないでしょうか。

今回は時代に逆行してまでなぜSIFが基本技術を徹底的に反復するのか。その理由について書いていきます。

■トップクラブの選手達が高いレベルの基本技術を身につけている理由

私は海外で7年ほどプレーしていたこともあり、何度か海外のトップクラブの下部組織に所属する選手達の練習を見る機会がありました。もちろんクラブによって違うのですが、多くのクラブで基本技術の練習は15分程度で、高度な個人戦術や組織プレーに多くの時間が費やされていました。このようにトップクラブの選手達は基本技術の練習はあまり多く行なっていません。

しかし彼らは正確なキック、ドリブル技術、トラップ技術を持ち合わせています。ではなぜ彼らは基本技術の練習が少ないにもかかわらず、高いレベルの基本技術を持ち合わせているのでしょうか。

この理由は非常に簡単で、もともと基本技術に優れた選手をスカウトしてきていることが1番に挙げられます。

こうして集められた選手達は、スカウトされた時点で高いレベルの基礎技術を持ち合わせているため、世界のビッグクラブでは戦術練習などに多くの時間を割くことができるのです。

■トップレベルの選手と地域のサッカースクールでは必要な練習は全く違う 

では、SIFの様な地域のサッカースクールではどうでしょうか。当たり前ですが、私達のような地域のサッカースクールには世界レベルの基本技術を持った選手はなかなかいません。両足でインサイドパスをしっかり蹴れる。両足でトラップができる。両足でドリブルができる。そんな選手は100人に一人もいません。

つまり、地域のサッカースクールに求められるのは、高度な戦術指導ではなく、将来高度な戦術指導を実践するための基本技術の習得(反復練習)であり、世界のトップクラブと地域のサッカースクールで必要とされる練習は全く異なるのです。

■技術が習得できる時間は限られている。育成年代で基本練習をやらないことが致命傷になることも。

次にいつまで(何才まで)基本技術の習得が可能かという話をします。世の中ではゴールデンエイジという言葉があります。ゴールデンエイジとは動作習得に最も適した年齢のことです。その年齢は10〜12才だと言われています。

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グラフの赤線は動作習得における適正年齢を表すグラフです。5才くらいからかなり高い数値を示しゴールデンエイジ(10才〜12才)の頃にピークを迎えます。そして15才以降はかなり低い数値となっています。

僕の指導経験をもとに実際どれくらい動作習得速度が違うかと考えてみると、小学生は高校生の10倍以上の動作習得スピードがある様に思えます。小学生が毎日1時間練習するのと高校生が毎日10時間練習するのとでは小学生の方が動作習得スピードが早いということです。

実際にSIFでは小学校1年生から中学校3年生まで同じような基本技術練習を行なっていますが、小学生の方がはるかに早く様々な動作を習得しています。6年生と中学1年生、中学1年生と2年生の間には大きな技術レベルの差があるのに対して、中学2年生と3年生の間にはそこまで差がない様に思えます。これは個人差もありますが13〜14才の頃に急激に動作習得能力が下降しているのではないかと予想しています。

上記は完全に私の主観となりますが、小中学年代で技術習得を怠れば後の逆転はかなり難しいというのは紛れも無い事実です。

■SIFはこれからも基本練習を徹底的に行う

SIFはこれからもサッカースクール、ジュニアユース共に基本技術を徹底的に反復することを続けていきます。これは最先端の戦術を学ぶ時代に逆行しているかもしれません。しかし、基本技術の徹底が将来様々なクラブで活躍できる選手を育成するために必要不可欠だと信じて『時代に逆行する形』を継続していきたいと思っています。

SIFジュニアユースのトレーニングメニューの例


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