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28回目の誕生日、ジャワ島自転車横断達成

 2018年、私は一年間インドネシアの大学院に留学していた。留学中に現地のインドネシア人の友人と組んで物件ビジネスをしょうと計画を立てた。しかしながら学生身分の私は大金を持ち合わせていない。日本にいる友人のM君に相談すると、物件ビジネスに関心を持ってれた。しかし、M君もお金が足りない。そうなれば資金を増やすしかない。2019年7月、私とM君は2人合わせて現金60万円程かき集めてシンガポールのマリナーベイサンズに向かったのである。ホテル内のカジノで一攫千金で物件ビジネスの資金を作ることに挑んだ。しかし、神は存在しない。運否天賦のギャンブルで60万円を失ってしまったのである。私は意気消沈しインドネシア帰国した。

 金も失った自分は何が残っているのだろうか?と自問した。学も金もない何者でもない自分だが人一倍根性と体力はある。くよくよしている時間はもったいない。何か面白いことかつ、お金のかからない企画はなんだと考えた。出た結論は自転車旅だった。住んでいるジャワ島を自転車旅で横断しバリ島を目指す自転車旅を思いついた。早速、インドネシア人の友人からマウンテンバイクを譲り受けた。自転車旅経験がないため、何を準備すれば良いのか分からなかった。楽観的な私は、転車があれば何とかなると思っていた。

 スタート地点は留学していたボゴール農科大学(首都の南に位置している街)である。自転車旅経験・土地勘がないため、Googleマップの案内に頼ることにした。経路表示に自転車はないため、歩行モードを活用した。歩行モード活用が後に、とんでもない過ちだとはこの時点では知る由もなかったのである。スタート地点からゴール地点を調べると、1140 kmと表示された。この1140 kmという距離はどのくらい過酷なのか分からない。自転車旅初心者の私は一日100 kmを目標とした。約12日間でゴール地点のクタビーチに到着できる計画を立てた。

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 2019年7月27日、私は自転車に乗って、舗装されていない道をひたすら走っていた。インドネシアの首都であるジャカルタ近郊の街だ。暑い、ただひたすらに暑い。東南アジア特有の多湿気候。そのため、蒸し暑く日差しも強い。自転車を漕ぎながら、なぜこの苦行をしているのだるかと、朦朧となりながら脳裏によぎった。

 インドネシアの道路状況は日本と全く異なっていた。歩道も整備されておらず、自転車の走行は困難を極めた。また、ジャカルタ付近は車やバイクが非常に多かった。交通渋滞に悪戦苦闘したが、必死に自転車を漕ぎ続けた。郊外を抜けると、未舗装道路が見えた。久しぶりに未舗装道路を駆け抜けた。なんとも爽快な気分だ。空気も澄んで心地いい。1日目は97キロ進んだ。想像していたより疲れていなかった。一日100キロ走行は容易だと感じたため、一日140キロを目標に切り替えた。

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 この自転車旅における一番過酷だったのは2日目だ。Googleマップで歩行モード設定にしたため、未舗装道路ばかり案内表示されるのだ。幸いマウンテンバイクは耐久性もあり壊れにくい。未舗装道路を自転車で走行する際に、最もダメージを受けるのは両腕であった。ガタガタの未舗装道路から伝わる振動がダイレクトに伝わってくるのだ。地味な痛みが蓄積され、未だかつて経験したことのない痛みだった。もちろん、後日筋肉痛になったのは言うまでもない。
 未舗装道路の周りは商店がない。こまめに水分補給をしなければ、いつ倒れてもおかしくはない状況だ。もちろん、ここで倒れたらすぐに助けが来てくれる保証はない。未舗装道路から舗装された道に変わった瞬間は感動した。道路は文明の利器と実感できた貴重な経験だった。しかし安心していたのは束の間。すぐに、未舗装→舗装→未舗装→舗装の繰り返しとなった。心身共に疲れてきたが、先に進むには漕ぐしかない。漕ぐ、ひたすら漕ぐ。綺麗な田園風景を横目に漕ぎ続けた。
 急にGoogleマップ案内が線路を表示したのだ。その近くに見えるのは線路しかない。おかしい?Googleマップがバグったのか、もしくは携帯のGPSが狂ったのかもしれないと思った。スマホの電源を切り、再確認したが、同じ道を表示しているのだ。さすがに線路を進む勇気はない。しかし、よく見ると大人一人歩ける道を見つけた。なんと、Googleマップ案内が示していたのはこの道だった。石が多く走行できないと判断し、押して歩いた。驚くべきGoogleマップの精度の高さ。

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 ジャワ島はイスラム教徒が多く、綺麗なモスクを見かけた。車・バイクが多く、自転車で走行するのが怖かった。

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 4日目に中部ジャワのスマランに到着した。この街の南に位置する小さな村Kampung Pelangiに訪れたかったのである。Kampung Pelangiとは虹の村という意味である。この小さな村はかつてスラムだった。村の全体の建物をカラフルな色で塗り替えたて、色鮮やかな観光地大変身したのだ。建物に様々なイラストが描かれており、インスタ映えスポットが数多くある。
 写真好きなインドネシア人も多く賑わっていた。日本では景観的に問題がありそうで、虹色の村のような思い切った村おこしは難しと思われる。インドネシアには問題なく溶け込んでおり、村の収入向上に繋がるのではないだろうか。ぜひ一度立ち寄ってはいかがだろうか?

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 観光も済ませ自転車に乗りゴールを目指す。8日目にバリ島まで船が出ているバニュワンギという街に到着した。ジャワ島を横断した。達成感に満ち溢れたが、まだゴールまで気を緩めない。自転車を船に積み、船で約1時間でバリ島に到着した。日没まで時間はあるため、少しでもゴールに近づくため漕ぎ始めた。

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 ジャワ島の景色と異なると感じた。なぜなら文化が違うためである。バリはヒンドゥー教徒の割合が高く、崇拝しているモノが異なる。ジャワ島でたくさん見かけたモスクもあまり見かけない。気候もからっと乾いており、心地よい。

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 バリ島は坂道が多かったが、最後の力を振り絞り漕ぎ続けた。人通りも増えてきた。繁華街に辿り着いた。もうすぐクタビーチだ。2019年8月4日、クタビーチに到着した。私の28歳目の誕生日に無事ゴールした。非常に感動したので、ビーチにいる人に声をかけて記念撮影をしてもらった。もちろん、勝利の美酒はBINTANG(ビール)。一人で乾杯した。よくやったと自分を労った。

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ジャワ島横断自転車旅総括

 今まで自転車で旅した経験がなかったが、無事ゴールに辿り着き、安心感と達成感に満ち溢れた。もっと遠くに行ける気がする。今回の自転車旅は自分自身と正面から見つめ直す時間となった。この旅でも様々な人に助けられたので、感謝をしたい。得られた経験を活かし、さらなる高みを目指したい。人生挑戦をモットーに楽しく頑張る!

旅のまとめ
合計走行距離:1229㎞
所用日数:9日間
旅程
1日目 走行距離:97 km
Bogor (ボゴール) → Chikampek (チカンペック)
2日目 走行距離:160 km
Chikampek (チカンペック) → Cirebon (チルボン)
3日目 走行距離:142 km
Cirebon (チルボン) → Pekalongan (ペカロンガン)
4日目 走行距離:97km
Pekalongan (ペカロンガン) → Semalang (スマラン)
5日目 走行距離:159km
Semalang (スマラン) → Sumbermulyo (スンブムレョ)
6日目 走行距離:156km
Sumbermulyo (スンブムレョ) →Surabaya (スラバヤ)
7日目 走行距離:159km
Surabaya(スラバヤ) → Besuki (ベスキ)
8日目 走行距離:140km
Besuk i(ベスキ) → Banyuwangi(バニュワンギ) →Belimbingsari
9日目 走行距離:119 km
Belimbigsari → Kuta beach (クタビーチ)





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