“よそ者”が総合型地域スポーツクラブをやるメリット

 どうも!上杉健太です。
 埼玉県富士見市の総合型地域スポーツクラブの代表をしたり、スポーツ推進審議会委員をしたりしながら、生涯スポーツ社会の実現を目指して活動しています。『怪獣8号』面白いですね。
 さて今日は、『“よそ者”が総合型地域スポーツクラブをやるメリット』というテーマでお話したいと思います。
 今日の記事で、僕の総合型地域スポーツクラブキャリア10年をざっと振り返ってみましたが、僕がマネジメントしたクラブは2つ。いずれの場合も僕は、“よそ者”としてジョインしました。最初は地域おこし協力隊として。2つ目は直接的には縁もゆかりもない地域への移住&ゼロからの立ち上げという形で。
 そんな僕が敢えて、“よそ者”としてやるから良かったことを語ることで、地元に厄介な人がいて総合型地域スポーツクラブの立ち上げが出来なくて困っている人達に、地元から自分が飛び出して知らない地域に立ち上げられる可能性を提示できたらと思っています。
 まぁ僕のように『総合型地域スポーツクラブ』に興味を持つよりも、「地域を盛り上げたい」という思いを持つ人の方が圧倒的に多いと思うので、この記事のターゲットはきっと狭いでしょう。(※そもそも当マガジン自体が超ニッチなところを攻めているのに・・・!)


 さて、結論から言います。“よそ者”が総合型地域スポーツクラブをやるメリット。それはズバリ、『しがらみがない』です。その地域に長く暮らしていて、歴史を知っていたり、色々な人付き合いがある人は、認識しているかどうかは別として、結構しがらみだらけになっていたりします。

「これをやるなら、あの人に先に話を通さなきゃ」
「こんなことをしたら、あの人が怒りそう」
「この地域ではこんなことをしたことがない。変な目で見られるんじゃないか」

 誰に言われたでもないアレコレを勝手に気にして、行動や判断が鈍る。そういうことってありますよね。これが、“よそ者”にはほとんどありません。なぜなら知らないからです。その地域の歴史も、人間関係や各団体のパワーバランスも、実は知らなければ存在しないも同然なんです。というのも、そういう『しがらみ』のほとんどは呪いみたいなもので、本当はそんなものは存在していないのに、本人が「ある」と思い込むことで実際に効力を発揮する類のものであることがほとんどだからです。仮に「これをやるなら、先にAさんに話を通さなくちゃ」と思う人がいたとして、それをAさんに内緒でやると確かにAさんは怒るかもしれません。でもそれだけです。ほとんどの場合、Aさんには特別な権限があるわけではなく、ただ“声が大きい”だけだったりするので、怒っていることさえ知らなければ一才の影響を受けずに済むわけです。“よそ者”は、これが自然にできます。気づいていないフリをするでもなく、本当に気が付かないからです。
「え?なんすか?Aさんが怒ってる?誰スカ?俺は何も言われてないっすけど」
ってな感じです。
(※たまに本当にやばい権力者もいるらしいから気を付けて!)


 しがらみというのは、基本的には行動を制限するもののことです。それは、行動様式を決定づけるという意味では、特定の範囲では物事を効率的に進めるかもしれません。ただ、そういうもののほとんどは既得権益者を守るように出来上がっているものです。新たに総合型地域スポーツクラブを作るような場合には、そういうしがらみはほとんどの場合マイナスに働くでしょう。
 ただ、しがらみをポジティブに捉えると、『人脈』と訳すこともできます。つまり、扱い方次第では有効に活かせる可能性もあるのだと思います。実際に、しがらみだらけになりながらも、なんだかんだで色々な人と連携して総合型地域スポーツクラブを成長させているクラブもたくさんあります。ただそれを“よそ者”がやるのはめちゃくちゃ難しいです。地域おこし協力隊のように、自治体バックアップがあったり、何かそれに近い強力な協力者でもいなければ。だから基本的には、“よそ者”がやるならそっちではなく、しがらみがあったらできないことをやるべきであり、しがらみだらけの人には出せないスピードで動くべきでしょう。これが“よそ者”が持つ唯一の優位点と言っていいと思います。


 ちなみに、“よそ者”だからこそできる仲間づくりのやり方もあると思っています。例えば、同じような立場・境遇の人と仲間になることです。長く地域に存在する老舗みたいな団体からは無視されたとしても、同じく“よそ者”として地域に引っ越してきたような人は、むしろ同じ“よそ者”の方にこそ興味を持つ可能性があります。また、ずっとその地域にはいるんだけど、地域の人とうまく馴染めなかったり、団体と揉めて弾かれてしまっているような人もいます。こういう人達と組むことは、“よそ者”だからこそやりやすいと言えます。これは、米沢藩を立て直した上杉鷹山の手法です。改革を進めようと新たに藩主になった“よそ者”の鷹山は、当時厄介者扱いされていた者ばかりを登用して組織づくりをしていったんです。これは“よそ者”だからこその戦略と言っていいでしょう。


 さて、ここまで僕はずっと「“よそ者”」と、書いてきましたが、それには意図があります。実際には僕は、ちゃんと地元の人となって総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしているからです。いずれの場合も、住居を活動拠点の市町村に移し、住民票も移しています。正真正銘、『地域の住民』になっているのです。だから本当はよそ者ではないし、その意識もありません。僕はよく地元の批判をしますが、それは自分がそこに住んでいるからこそできる自己批判としているからこそ許されるものだと思っています。これを市外からやってしまうと、ただの悪口になってしまうでしょう。
 つまり、“よそ者”としてあらゆるしがらみから解放されつつ、地元民として堂々と活動する。これができるのが“よそ者”として総合型地域スポーツクラブをやる人の強みだと僕は思います。


 ということで今日は、『“よそ者”が総合型地域スポーツクラブをやるメリット』というテーマでお話しました。もしも地元にこだわり過ぎて思うように行動が起こせない人がいるなら、案外そこを出ちゃった方が躍動できるかもよ?というメッセージが届くといいなと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5