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公益と共益

 総合型地域スポーツクラブはたぶん共益的。

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『公益と共益』というテーマで考えてみたいと思います。非営利団体を経営していくにあたって、たぶん結構大事なワードなのですが、実はあまりちゃんと意識できていなかったなという反省から、テーマに選びました。


公益とは

 まずは『公益』から学んでみます。
 辞書的な意味は、

【公益】
社会一般の利益。公共の利益。「―法人」

Oxford Languages

ということのようです。分かったような、よく分からないような、ですよね(;^_^A

 別のサイトにはこんな記述もあります。

公益の本来の意味は「公共の意味」「広く社会一般の利益」ですが、具体的に「こういうものこそが公益である」ということは言えない複雑な概念となっています。そのため法律や使う場面によってニュアンスが変わります。

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 やはりそもそもが捉えるのが難しい言葉・考え方のようですね。とりあえずは社会一般、つまりは社会全体とか、分け隔てない多くの人々の利益、ということで考えておきたいと思います。

 すごく分かりやすいのは、炊き出しのサービスだと思います。テレビ等のメディアを通じてしか見たことはありませんが、公園や路上などで食事を提供する事業ですね。あれは恐らく、来た人誰もが『腹を満たす』とか『栄養』という利益を享受できるので、公益的な事業だといえるのだと思います。

共益とは

 次に『共益』について学びます。
 公益と似た言葉ですが、違いがあるようなんですね。まずは、私がこのテーマを記事にしようと思ったきっかけとなった本の一文をご紹介します。

「共益的」とは、団体のメンバーの利益を優先することをさします。クラブ組織や職能団体などがそうです。たとえば、会社や団体の役員専門に人材派遣をするNPOがあったとします。役員になりたい人々はそのNPOの会員になります。このようなサービスは会員以外には提供されませんから、あくまでもサービスの恩典は会員に限定されることになります。このような活動は共益的な活動とよばれます。また、仲間で趣味の活動を楽しむために結成された団体も、楽しみという「利益」はグループのメンバーのみに提供されるものですから、共益的な活動といえるでしょう。

『NPO新時代 市民性創造のために』

 つまり『共益』とは、限定的な集団の利益ということになるのでしょう。辞書的な意味では、『共同の利益』となるようです。

公益と共益を分けるもの

 こう見ると、『公益』と『共益』を分けるのは、その利益を享受し得る相手を限定しているかどうか、ということになるのかなと思います。誰もがその利益を受けている、または受けられるのが『公益』で、限定された集団という範囲の人たちの利益が『共益』ということでしょう。

 ただ、気になるのは、共益における集団の限定の仕方が極めて”緩かった場合”はどうなのかということ。会員限定のサービスだとしても、その会員には誰もがなれるという場合には、それは公益と言えるのか。私はそれは当然公益だと思うのですが、どうなのでしょう?このあたりがきっと言葉の定義として難しいところなのでしょうね。

総合型地域スポーツクラブは公益か共益か

 とすると、総合型地域スポーツクラブが主に主なっている事業は『公益』なのでしょうか、『共益』なのでしょうか。

 先に紹介した本の一文からすると、総合型地域スポーツクラブは明らかに『共益』でしょう。スポーツという趣味活動を、会員という限られた集団だけで楽しみという利益を得ていますから。

 この辺は、私も含めて誤解があった部分ですよね。ていうか、『公益』という言葉をちゃんと意識して使っていなかった。何となく、非営利だし、門戸は誰に対しても開かれているから、「総合型地域スポーツクラブは公益だ」と思っていた。そういう人は多いのではないでしょうか。

 ところが、中には公益的な総合型地域スポーツクラブももちろん存在していると思います。会員という括りはあるにしても、年会費もなく、参加費もとらないクラブの場合は、実質的には望めば誰でも会員になれて、クラブの活動に参加できるわけですから、公益的と言えるでしょう。ただしその場合には、ターゲットの問題も出てくるのかもしれません。実質的にクラブの活動が小学生向けに限定されているような場合には、社会一般に広く利益を提供しているとは言い難いでしょうから。

 あるいは、地域スポーツや総合型地域スポーツクラブという”全体”に利益を提供しているような事業を行うクラブもあるようです。分かりやすいのが『研究』とは『情報発信』ですね。研究で分かったことを広く発信することで、社会全体の利益にするような事業ですね。これは公益的であると言えるのだと思います。公益社団法人の多くが、そのような事業を行っている気がします。
 ただし、そのような研究結果の情報を、有料の情報誌などで情報発信している場合には、これは公益と言えるのでしょうか?そのあたりがどうもよく分かりませんね・・・。

 いずれにしても私の考えとしては、総合型地域スポーツクラブは共益的であるというものです。『クラブ』というものの性格を考えると、ある程度集団を限定する必要があり、そうするからこそ生まれる価値が間違いなくあるので、むしろ公益に走り過ぎると『クラブ』として成立しなくなる恐れすらあると思います。

 なんとなく、『公益』が上位概念のように考える風潮が社会にはあるような気がしますが、それはただの”違い”として捉えるべきでしょう。そもそも、両者は極めて曖昧で境界線が分かりにくいものですし(笑)


 ということで今回は、『公益と共益』というテーマについて考えてみました。「こうだ!」という結論があるものではありませんでしたが、少しでも誰かの何かの参考にもなれば幸いです。


今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5