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学生の皆さんに伝えたいテーマが3つ

 総合型地域スポーツクラブ マネジャーの上杉健太です。
 有難いことに毎年、母校でもある早稲田大学スポーツ科学部の『コミュニティスポーツ論』という授業で、ゲストスピーカーとして講演をさせていただいています。テーマはいつも“自由に話してくれ”で、毎年私がその時に関心の強いことだったり、学生の皆さんだからこそ伝えたいことをテーマにお話しています。例えば昨年だと、総合型地域スポーツクラブの価値としてあまりテキストには載っていなそうなことで、『流動性』について少し熱を入れて話したり、その前の年は『法人化』『クラブハウス』をテーマにしたりとか、その前の年は『クラブマネジャーという仕事の魅力』をテーマにしたこともありました。
 今年もお声がけいただいていて、来月、オンラインでお話する予定になっています。そこで今年のテーマは何にしようかなと考えていて、私にとって今熱いテーマを挙げてみると、以下のようなものが出てきました。

・挑戦と生活とキャリア
・小さな組織の性質
・withコロナ時代の地域スポーツクラブ

なぜ、これらのテーマが今の私にとって熱いのか。順番に簡単に説明してみます。

【挑戦と生活とキャリア】

 この3つの言葉は、本当に最近の私の頭の中をぐるぐるぐるぐる回っているんです。まず、挑戦はしたい。「したい」って何だよって感じですが、挑戦というのは、どうしてもしたくなっちゃうものなんですね。やりたい事があって、どうやらそれをやるには、作戦を立てて、何かを捨てて、リスクをとらないとできないぞという場合、「やめとこう」とする人もいれば、「どうやったらできるだろうか」と考える人もいて、挑戦する人というのは、後者の人ですね。この差は、色々あるとは思うのですが、一番大きい差は、『本当にそれがやりたいか』なのだと思います。本当にやりたいことがある人は、どうしても挑戦をしちゃうんですね。これはどうしても、しちゃうんですよ、たぶん(笑)
 でも、挑戦をする人は何もかも捨てて挑めばいいかというと、そんなことは全然なくて、むしろ、一般人の挑戦で言えば完全に間違っていると思っていて、生活を守ることがとても大切です。自分や家族の命を守らないと、挑戦は続けられないからです。挑戦を長く続けられないと、失敗の確率も上がりますしね。なので、挑戦と生活のバランスというのはとても大切です。いや、バランスというよりは、まずは生活を守る。そして挑戦するという優先順位と言ってもいいかもしれません。もちろん、ある程度生活の部分を崩す必要は出てくるとは思いますが、それで心や身体が貧しい状態になってしまっては、やはり挑戦に注げるパワーも減ってしまうので、生活は大切です。
 そこにさらに『キャリア』も絡んできます。挑戦を人生のどの部分でやるかという視点ですね。私の場合は、大学卒業後は、(株)ベネッセコーポレーションという優良企業に入社をして、7年間仕事をしました。その後、ずっといつかは仕事にしたいと思っていた地域スポーツの世界に飛び込みました。そして、一般社団法人たかぎスポーツクラブで7年弱働き、また新しい挑戦に進もうとしています。このキャリアの築き方が私は非常に良かったと思っていて、特にベネッセ・喬木村には本当に感謝しています。いわゆる社会人としてのキャリアをベネッセでスタートさせたことで私が得たものは、大きく言うと、『ビジネススキル』『お金』です。私はあまりお金に興味がなく、給料明細など全く見ない人間だったのですが、どうやら噂で聞くところによると、ベネッセは20代の頃は給料が良いという会社だったらしいんですね(笑) その後、管理職になると給料が減るとかいう噂もありましたが、とにかく私には勿体ないくらいのお給料をいただいていました。それでも、給料の高さは残業の多さという噂もセットだったので、残業をあまりしない私の年収は、周りの同期などと比べると100万くらいは違っていたのだろうとは思います(笑) そして私はお金をあまり使わない人で、日常的にお金を使うのは本とCD、映画、たまに飲み会くらいだったので、いわゆる貯金がそれなりに溜まっていったんですね。結果的に、この時のお金が今の私の挑戦を後押ししてくれているんです。もちろん、先輩方や会社の育成システムによってビジネスマンとして育てていただいたことが、今の私が挑戦できている一番の要因であることは間違いありません。
 なので、まずは大手でスキルとお金を貯めるというキャリアの築き方は、やり方として非常に”あり”だと思っていて、これは私が実践を通して得た気づきなので、学生の皆さんに伝えてあげると、それなりに価値が出てくる話だなと思っています。ここにさらに、資産運用の話もセットにしてあげると、かなり挑戦を後押ししてあげられる話になるかなと思っています。資産をしっかり運用することで事業収入や給料以外の部分で生活を守るということですね。
 さらにファーストチャレンジセカンドチャレンジという考え方も提示してあげられるといいなと思っています。全く違う業界へ飛び込む場合には、どうしても経験やスキルが不足するので、支援者が必要です。私の場合は喬木村ですね。支援者がいることで挑戦の成功確率は大きく上がりますので、ファーストチャレンジにおいて支援者は非常に重要だと思います。そこからさらに飛躍する必要があれば、セカンドチャレンジに進む。そういう考え方を知っていれば、挑戦のハードルというのはかなり下げられるかなと。このあたりもぜひ学生の皆さんにお話したいなと思っています。

【小さな組織の性質】

 これはあまり楽しい話にはならないのですが、例えば起業する場合とか、ベンチャーやスタートアップ、零細企業に就職する場合とか、小さな組織で仕事をする人生は、どんなかたにもそれなりにあると思うんですね。例年の感じだと、早稲田の学生の皆さんは大手志向が多いので、たぶんそこを狙いに行く人は少数派だとは思うのですが、世の中的には大手志向は弱まっているとも聞いています。
 今私が働いている一般社団法人たかぎスポーツクラブは、事業規模2000万円、社保加入の従業員数4名という小さな小さな組織です。その組織を、私としては6年半”引っ張ってきた”と思っているのですが、そこで学んだことは非常に多く、さらに、その私がやめるとなってからの組織についても色々と見えてきていることがあって、そのあたりはリアルタイムの話なので、今お話すると一番価値が出るなと思っています。ざっくり言うと、『小さな組織は良くも悪くもヒトに依存する』ということをお話できるかなと。
 ただこのテーマの問題点は、学生のみなさんは興味がないだろうなということ。今私が話せばこのテーマの価値は最大化できそうですが、そもそもそのテーマの価値自体が小さすぎるかもしれなくて、これは話すかどうか迷います(笑)

【withコロナ時代の地域スポーツ】

 オンラインで講演をやるということは、この新型コロナウイルスのせいに他ならないわけですから、このテーマが外れるわけがありません。また、関東圏と長野県の南部(南信といいます)では、事情が大きく異なる。たかぎスポーツクラブでは、施設が使えなくなったことで休止期間が約2か月ほどできましたが、2020年11月現在では、昨年同時期の会員数を越えており、休止期間を除けば影響はほとんどありません。むしろ、好影響を与えた部分すらあるんですね。
 さらに、休止期間中に少しだけやってみた動画配信などから、『地域スポーツクラブとオンライン』みたいなテーマについても思うところがあって、そのこともお話しできるかなと思っています。言ってしまえば、地域スポーツクラブはオンラインで勝負するべきではないということですね。もうちょっと丁寧に言うと、オンラインはコミュニケーションツールとして活用し、売り物にしてはいけないということです。もちろん、クラブの理念や持っている資源によるので、一概には言えませんが、多くの地域スポーツクラブはオンラインでコンテンツを売らない方がいいと思っています。理由は簡単で、オンラインだと強豪相手が日本中、世界中という範囲に一気に広がってしまって勝てないからです(笑)
(あ、これは長期的な視点の話です)
そこでは、「家から近いから」という地域スポーツクラブを選ぶ最強の理由がほぼ無効化されてしまうんです。こういった気づきも、これから地域スポーツクラブで仕事をしようと思っている学生さんにはぜひ伝えたいです。


 というわけで3つ、お話をしたいテーマについてちょっとずつご説明しました。オンラインとなると、学生からの質問はなかなか出ないような気もしますし、そうなると私がなるべく時間を使ってあげた方がいいかもしれないので、3つ全部お話するかもしれません(笑) そのあたりは大学側と相談をして決めたいと思います。あ、とはいえ、毎年話をしているというのは私の都合であって、学生さんは毎年、”はじめて総合型地域スポーツクラブの事例を聞く”という状態ですので、総合型地域スポーツクラブの基本的な価値の部分もしっかり伝えて、一人でも、「総合型地域スポーツクラブっていいじゃん」と思ってもらえるようにお話します!

今回もお読みいただきありがとうございました!
ではまた!

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5