総合型地域スポーツクラブは「規模」が大事な理由

 どうも、ふじみスポーツクラブの上杉健太(@kenta_u2)です。埼玉県富士見市で、誰もがいつまでも、自分に合ったスポーツを続けられる地域社会の実現を目指して、総合型地域スポーツクラブの運営をしています。

 今日は、『総合型地域スポーツクラブは「規模」が大事な理由』というテーマでお話したいと思います。


総合型地域スポーツクラブの規模とは

 まず、規模と言っても色々な見方がありますよね。総合型地域スポーツクラブの規模といえば、以下のようなものが挙げられるかなと思います。

  • 会員数

  • 種目数

  • クラス数(活動数)

  • 年間参加者数

  • 予算額(収入と支出)

  • 雇用スタッフ数

  • 外部スタッフ数

 私は、基本的にはこれらの規模は全て、大きければ大きいほどいいと思っています。なかなか状況次第では拡大が難しい部分もありますが、「基本的には大きい方がいい」が総合型地域スポーツクラブとしては正しいと考えています。目指すべき姿だということですね。

 では順番に、その規模が何を意味するのかと、その規模が大事な理由を考えていきましょう。


①会員数

 まずは会員数です。会員数という規模が意味するのは、まさにクラブの人資源がどれだけあるか、ということだと思っています。
 私の考える総合型地域スポーツクラブは会員のものですから、その会員が多いということは、それだけクラブを自分事として考える人が多いということで、会員数が多いとニーズやアイデアがたくさん生まれる(集まる)ようになります。これは、限られたスタッフだけでかんがえるよりも、遥かに強いクラブになれることを意味していると思っています。

 また、人数によって地域でのポジションの獲得できることも非常に大きいです。人数が多いということは、それだけで大きな影響力を持ちます。地域や行政、企業などからの目も変わっていきます。信用が生まれ、ますます人数が増えるという好循環も生まれる。すると、プロモーションに割くコストも減らせますから、経営効率も上げられます。会員数という規模が大きいということは、かなり多くのメリットを生み出すでしょう。

 もちろん、多くの人を一度に幸せにするという意味でも、会員数という規模の拡大は重要です。今いる人だけで幸せになろうとするなら、それは総合型地域スポーツクラブとは呼べないでしょう。常に門戸を開いておく。来る者は全員幸せにする。それが総合型地域スポーツクラブだと思っています。


②種目数

 2つ目は種目数という規模です。
 種目数という規模が表すのは、選択肢の数ですよね。いかにそのクラブが、地域に選択肢を作ろうとしているか。クラブ内に多くの選択肢を持つことで、その選択のハードルを下げようとしているか。そういうことだと思っています。
(※総合型地域スポーツクラブの種目数が少なくても、地域にたくさんの種目数があればいいという考え方もできますが、バラバラのクラブで多種目を実現するよりも、一つのクラブで多種目を実現した方が、明らかに選ぶ方のハードルは下がる。見つけやすいし、変更もしやすい)

 選択肢が多く、一つ一つの選択肢を選びやすいということが何を意味するか。それは、自分に合ったスポーツを探しやすいということです。そもそも選択肢が多ければ見つけられる確率は上がりますが、『自分に合った』状態というのは常に変化しますから、種目を変えられるということが極めて重要になっていきます。気持ちの変化、体調の変化、家庭環境の変化などで種目を変えなければならなくなった時に、すぐに気軽に変えられる環境が重要なんです。総合型地域スポーツクラブがなるべく多くの種目を揃えるということは、そこをしっかり作っていこうとする姿勢そのものです。だから大事。


③クラス数(活動数)

 3つ目はクラス数(活動数)です。
 これは種目数とほとんど同じ理由で、選択肢は多い方がいいということです。さらに、続けていける環境があるということです。例えばいくら種目数が多いといっても、それぞれが1つのクラスしかないとしたら、そのクラブは一体どうやって会員が自分に合ったスポーツを続けていけるという状態を実現し続けるのでしょう?小学生向けクラスしかなければ、中学生になった瞬間に続けられないし、無理やりに全世代を1つのクラスに押し込むやり方では、かなり限られたニーズにしか応えられないでしょう。大事なのは、世代別や志向別に複数クラスが種目内にあることです。同じサッカーでも、エンジョイ志向のクラスがあり、競技志向のクラスがあり、健康志向のクラスがある。さらには、年代別のクラスも適度に用意されている。そういう状態が実現されてはじめて、変化し続ける年齢やニーズに対応し、生涯スポーツを実現できる総合型地域スポーツクラブになっていけると思っています。

 ただし、経営的な側面から考えると、いたずらにクラス数を増やすと、1クラスあたりの会員数が小さくなり、厳しい経営を余儀なくされますから、会員数という規模の追及というのはそういう意味でも重要です。ある程度の会員が確保されないと、細かいニーズには応えられないんです。
(※現状、ふじみスポーツクラブは細かいクラス設定はまだできていません)


④年間参加者数

 4つ目は年間参加者数です。
 よく、会員数ばかりに目がいっているクラブを見かけるのですが、それでは足りないなと思っています。年間でどれだけの人が参加しているか。これもとても大事です。

 年間参加者数という規模が意味するのは、そのクラブの活発度だと思っています。どれだけ高い頻度で一人の会員が参加しているか。どれだけ頻繁に活動が行われているか。そういうものを表します。

 例えば、会員が5000人という巨大な総合型地域スポーツクラブがあったとしましょう。でもそれが、年に2回のイベントしかやらないようなクラブだったとしたらどうでしょう?仮にそこに全員が参加したとしても、年間参加者数は1万人です。そしてきっと、その5000人は仲良しにもならないし、仲間意識もないでしょう。ただただ、そのイベントに行くことで自分に利益があるから行くという集団になるはずです。でも、会員数5000人とだけ聞けば、きっとすごい立派なクラブなんですね、と思ってしまいます。だから年間参加者数という規模も追求する必要があるんです。

 総合型地域スポーツクラブが目指す姿の一つに、地域コミュニティがあると思います。コミュニティとなるには、同じ仲間と何度も何度も顔を合わせて共同作業を行うというプロセスが必要になります。ということは、やはり活動頻度は重要だということです。それが測れるのが、会員数と同時に年間参加者数という数字を見ることです。同じ年間参加者数1万人でも、5000人がたった2回参加したものと、200人が50回参加した場合では、圧倒的に200人の方が強いコミュニティになるはずです。クラブへの愛着度にも差が出るでしょう。そしてそれは、確実に継続率にも影響を及ぼします。大事ですね、年間参加者数(活動頻度)という規模も。


⑤予算額(収入と支出)

 5つ目は予算です。お金です。
 お金という規模も非常に重要ですよね。もうこれは言うまでもないですよね。何をするにもお金が必要というのが現代社会です。理想の実現には長く時間をかけて活動を続けていく必要があり、その為にはお金が必要。会員数や種目数、クラス数などの規模の拡大を図ろうとすると、どうしてもお金の規模も増やす必要があります。

 お金というのはいわばクラブの血液です。体が大きくなれば、血液もたくさん必要になります。


⑥雇用スタッフ数

 6つ目は雇用スタッフの数です。
 私が総合型地域スポーツクラブの持続可能性を高める為に採用しているやり方に、『クラブがなくなったら困る人を作る』があります。その代表的なやり方が、スタッフを雇用する、だと思っています。

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総合型地域スポーツクラブや筆者の挑戦のリアルな実態を曝け出しています。自ら体を張って行ってきた挑戦のプロセスや結果です! 総合型地域スポーツクラブをはじめ、地域スポーツクラブの運営や指導をしているかた、これからクラブを設立しようとしているかた、特に、スポーツをより多くの人に楽しんでもらいたいと思っているかたにぜひお読みいただきたいです!

総合型地域スポーツクラブのマネジメントをしている著者が、東京から長野県喬木村(人口6000人)へ移住して悪戦苦闘した軌跡や、総合型地域スポ…

総合型地域スポーツのマネジメントを仕事としています。定期購読マガジンでは、総合型地域スポーツのマネジメントに関して突っ込んだ内容を毎日配信しています。ぜひご覧ください!https://note.com/kenta_manager/m/mf43d909efdb5