日記

で終わると思ったか?

カラオケから帰る道行を先輩の車の助手席に座り進んでいく。外は雨。速い動きのワイパーと時折跳ね上がる水しぶきが今日の雨が強いことを物語る。

SNSを通して急遽ご飯に行くことになった。その前に友人のカラオケ配信を聞いていた私はカラオケに行きたいと考えていた。今日一緒に言った先輩もまたカラオケ好きであり、その話をしたところ、とんとん拍子でまとまった。

先輩の勧めで隣町のカラオケに行くことになり、そこまでは行き帰りともに先輩に送っていただいた。その帰り道、有料高速道の高架の下を通過したときのことだった。眩しい光が私と先輩を乗せた車を包んだ。そして、光を突き抜けた車が出た先は雲の上だった。

雲、それは水蒸気が大気中の微粒子を核にして集合したもの。見ることはできるが本質的には水蒸気である。当然、車が乗れるはずなどない。白から青、一瞬のうちに視界が切り替わる。窓からのぞけば下には細かく緑と茶、そして濃い青が広がる。

夢?そう思うも、体に感じるのは確かな浮遊感と重力。先輩の方を見るとハンドルを握ったまま固まっている。このまま落下して木端微塵に砕け散るのか?最悪の想定が頭によぎった時、カーステレオからノイズ交じりの声が響く。

『ここは、別の世界。二つの選択肢を渡そう。車から飛び降りた際にのみ得られるものは自分の命。車の中に残った際にのみ得られるものは確実な現実への帰還。選択終了まであと、一分。』


そして、カウントダウンが始まる。

私は気づいた。どちらの選択肢をとらねばならないかを。

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