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晩秋の奥鬼怒歩道を歩く

奥鬼怒温泉郷の辺りは標高1400mだからか、数日前に降った雪があちこちに残っていた。ここから天空湿原とも称される鬼怒沼へ向かいたいところだが、残雪が泥濘んだり凍結していると老躯にはすこぶるヤバい。八丁の湯から女夫渕へ奥鬼怒歩道を下るのもちょっと不安だったが、せめてこれくらいは歩いて山の秋日和を愉しもうと足を踏み出した。

奥鬼怒歩道入口
泥濘の道

なだらかな下り道である。空気はひんやりしていても、秋陽を浴びるとポカポカして心まで和んでくる。日陰の道は霜柱なのか、足を踏むごとにバリバリと音がして心地よいが、泥濘んでいるとちょっぴりツラい。鬼怒川の瀬音を耳にしながら、砥の岩橋まで来ると橋板の上が凍っているので滑りやすく、欄干を掴んで用心して渡った。橋の上から見下ろす鬼怒川はさながら墨絵の世界のごとし。「女夫渕1.0K/鬼怒沼8.5K」と記された標識を過ぎると、鬼怒の中将乙姫橋である。橋板に雪はなかった。

砥の岩橋
橋の上から見た鬼怒川
鬼怒の中将乙姫橋

どの辺りだったか、2人の子供を連れた外国人とすれ違って、八丁の湯までの時間を訊かれ、1時間くらいと答えた。そういえば、宿でも訪日外国人をよく見かけ、スタッフにも外国人がいたのはオドロキである。奥鬼怒歩道の入口に着いたのは、スタートしてほぼ2時間後だから、残雪のためか老いのためか、ふつうより30分ほどユックリだった。女夫渕橋から見下ろす鬼怒川はたおやかである。鬼怒川温泉駅に向かうバスが出る時刻はほぼ2時間後。Wi-Fiもつながらず、なすことなく待つのは辛い。折角だから山中の自動車道をテクテク歩いて、鬼怒川の晩秋をエンジョイすることにした。

おくきぬ奥鬼怒歩道入口
女夫渕橋から見た鬼怒川

平家平温泉、川俣温泉広場を過ぎ、間欠泉バス停から間欠泉展望台に降りてみると、このところ「噴出が見られない状況」とのこと。よく見ると少し蒸気が登っているのは確認できた。女夫渕から2時間近く歩いて、またぎの里バス停に辿り着くと、ほどなくバスがやって来た。またぎの里熊どんは閉まっていたけど、熊とか鹿の肉料理を食べてみたかった。

間欠泉展望台
またぎの里 熊どん

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