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秋の八幡平をめぐる

白馬八方池からちょうど1年ぶり、背筋の痛みもようやく和らいだので、思い切って八幡平へ出かけた。といっても、樹海ラインを走るバスで「八幡平頂上」まで登れるのだから、何のことはない、高原に広がる湿原や池沼をめぐる逍遥である。山麓に前泊して山の湯につかり、久しぶりの旅気分を満喫するというオマケ付きである。

鏡沼

今と昔は天地雲泥の違い。最初にスキーで八幡平を訪れた深田久弥は、秋田県側から「厳冬の一月、花輪線の小豆沢(今の八幡平駅)から行った。坂比平まで馬橇に乗り、そこからスキーにシールをつけて登りについた。蒸ノ湯まで五時間もかかっただろうか。」というだけではない。帰りは岩手県側の「松尾鉱山の方へ下ったが、途中で猛吹雪に襲われ、だだっ広い原では方向がわからず、遭難一歩手前という目にあった。」(『日本百名山』)という有り様で、まさに隔世の感がある。

めがね沼
八幡平頂上
展望台からの眺望
八幡沼
湿原の木道
見返峠から岩手山を望む

バス停から鏡池まで15分ほど。コンクリートづくりの石畳を上りながら、やはり秋の山路は土と落ち葉を踏んで歩きたいな、と思った。鏡沼の隣にはめがね沼。なるほど鼻にかかった眼鏡のように見える。さらに10分ほど歩けば八幡平頂上で、その見晴台からは岩手山や月山、鳥海山、八甲田山まで遠望できるらしい。ガマ沼へ下り、八幡沼の方へ回ると広大な湿原が沼を囲むように広がる。石畳におさらばして、延々とのびる木道にホッと和みながら、4、50分ほどで半周すると、見返峠に出る。ここからスタート地点までほんの10数分である。

八幡平レストハウス

頂上のバス停に立っていると、次々と観光バスがやって来て、高齢の観光客もガイドに引率されて八幡平頂上に向かうようである。

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