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自然の楽園を世に広めた武田久吉「尾瀬紀行」

近藤信行編『山の旅ー明治・大正篇』に収録されている、武田久吉「尾瀬紀行」が日本山岳会の『山岳』創刊号(明治39年4月)に発表されてから、尾瀬は一躍登山界に知られるようになった。
明治の文語文はやや読み辛いが、「ハトマチ峠」から至仏山下の「山ノ鼻」に出て程なく、「尾瀬ヶ原の一部は今我が眼の前に展開されたり、ミズゴケのじくじくと湿りたる処にコミヤマリンドウの紫の唇綻ばせて、天を仰いで笑をもらせる、この世のものとも思われず」と感動し、「我らは時のうつるもしらずしてこの自然の楽園」を堪能三昧、その後、沼尻に抜けて日光までの行程を歩いている。

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