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原美術館の閉館に思うこと

先日、妻と一緒に原美術館に行きました。学生時代ぶりでしたが、和風の庭園とともに近代建築が絶妙にミックスされており空間として非常に美しい場所でした。

妻を待っている間、カフェに入りましたが、カフェもイギリスの美術館カフェを思い出すような雰囲気でした。さすが、アメリカに留学し美学・美術史・博物館経営論を学んだ原俊夫氏設立の私立美術館だと改めて感じました。

しかしながら、残念なことに2020年12月に、80年の歴史を閉じ閉館することになったようです。

原美術館の施設は、理事長・原俊夫の祖父である実業家・原邦造の邸宅として 1938 年に竣工したものを再生利用し、特色ある鑑賞空間として好評を博してきました。創立以来、美術館活動のために必要な改修や増築を重ねてまいりましたが、竣工から 80 年を経た建物は老朽化が進み、この先、美術館として一般公開するには適さない状況に至ると予想されます。また、古い建築を再利用しているがゆえに、公共性を持った施設としては、ユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からも問題を看過できません。建替えには法規制上の制約も厳しくのしかかる状況等をふまえて検討した結果、活動拠点を「ハラ ミュージアム アーク」改め「原美術館 ARC」に集約することを決定した次第です。(「原美術館」(東京都品川区)2020 年 12 月閉館ならびに「ハラ ミュージアム アーク」(群馬県渋川市) 館名変更のお知らせ

アートファンにとって、原美術館を知らない人と思います。現代アートを楽しむ場の先駆けとして、色々な人から愛されてきた場所ですので、老朽化等の理由で、こうした素晴らしい場所が未来に引き継がれていかないのは本当に悲しいことです。

日本では、「古いが良いもの」をなかなか残していくことができない伝統があります。私たちが大切にしてきた場所、風景が一つ一つ消えていってしまうことについて、寂しさを感じます。

看板の多言語対応など、インバウンド対応で様々な施策がなされてきていますが、こうした公共性の高い場所を残すための手立てについて、社会全体・官民一体となってきちんと考えていくべきと思います。


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