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米雇用者数、6カ月ぶりの小幅な伸び-失業率は予想外に上昇


米国の雇用主は4月に採用を縮小し、失業率が予想外に上昇した。今年の労働市場は力強いスタートを切ったが、幾分か熱気が冷めつつあることが示唆された。

 平均時給は前月比0.2%増加。市場予想の0.3%増を下回った。前年同月比では3.9%増加し、2021年6月以来の小幅な伸びにとどまった。

この日の統計は労働力の需要が伸び悩みつつある新たな兆候となった。しかし米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が金融政策での対応を正当化するとした「予想外の軟化」には相当しないと考えられる。

パウエル議長、年内利下げの期待残す-インフレ圧力緩和の確度は低下

  フィッチ・レーティングスの米経済調査担当責任者、オル・ソノラ氏は「早めの利下げを期待する向きには、雇用者数の伸び減速は朗報だ。賃金上昇ペースの鈍化はさらに喜ばしいニュースだろう」とリポートで指摘。「しかし単月の数字はトレンドを成さない。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げの検討を早めるには、この種の減速を示す統計が数カ月続き、それにインフレ統計の改善が伴う必要があるだろう」と続けた。

  今週は、労働需要が幾分か伸び悩みながらも賃金上昇圧力は依然続いていることを示す統計が相次いだ。

米国の単位労働コスト、1年ぶり大幅上昇-労働生産性の伸び減速 (1)

3月の米求人件数、21年以来の低水準-労働市場の軟化進行を示唆 (2)

  カリフォルニア州でファストフード店従業員の最低賃金を時給20ドル(約3050円)とする新法が4月1日に施行され、こうしたことなどを理由に賃金上昇が一段と強さを増すとのエコノミスト予想もあった。

  雇用の伸びは娯楽・ホスピタリティーと建設、政府で減速。自動車メーカーと臨時雇用の採用は減少した。雇用増は主としてヘルスケアと運輸、小売りで見られた。

  米労働市場は他の経済統計と同様、1-3月(第1四半期)に強い内容だった。1-3月の非農業部門雇用者数は平均で26万9000人増加。従って4月の数字は著しい減速となった。

労働参加率は62.7%で横ばい。25-54歳の年齢層では83.5%に小幅上昇し、約20年ぶり高水準に並んだ。労働参加率の上昇は賃金の伸びを抑える方向に作用する。

  米労働省が発表する雇用統計は、事業所調査と家計調査の2つで構成する。このうち家計調査に基づく独自の雇用者数は、4月にわずか2万5000人増となった。3月は50万人近く増えていた。


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