見出し画像

サンタクロースはいるのでしょうか?

K.S.R.C ResearchReport FileNo.200205
オリジナル公開日 2002/11/29 報告
報告者:Ken-chang

 子供の頃、誰もが信じていたサンタクロース。
その存在を疑うことから大人への成長が始まるとも言われている。

 しかし、サンタクロースは本当にいないのだろうか。

 世界にはサンタクロースを科学的に追跡しているところもあるのだ。
それは、北米航空宇宙防衛司令部(North American Aerospace Defense Command)、通称ノーラッド(NORAD)だ。

 本来ノーラッドはアメリカ合衆国とカナダの航空宇宙領域の防衛を担当する、アメリカ合衆国とカナダの二国軍隊組織であ。
その軍事組織がある事件をきっかけにサンタクロースの追跡も行うことになったのである。

 ある日、コロラドスプリングスにある店がサンタクロースと話が出来ると宣伝した広告に間違った電話番号を載せてしまった。あろう事かサンタクロースにつながるはずの電話は、CONAD司令長官のホットラインにつながってしまったのだ。(CONADとはノーラッドの前任組織である中央防衛航空軍基地(CONAD)のことである。)
サンタクロースへの電話を受けた当時の指令長官ハリー・シャウプ大佐は事情を察し、サンタクロースが北極から南へ向かった形跡があるか彼の部下にレーダーで調査させ、サンタクロースがいた形跡があったとその電話の子供に報告したのだ。電話をした子供たちは、サンタクロースの居場所の最新情報を貰い喜んだという。

 1958年、カナダ、アメリカ合衆国両政府は、共同防衛空軍基地を北米大陸に設立した。それこそが北米航空宇宙防衛司令部(ノーラッド)である。
ノーラッドは、CONADから伝統を引きついだ後、1958年に最初のサンタクロースの追跡を開始した。
それ以来、ノーラッドで働くカナダとアメリカの職員が子供たちからの電話に自ら答えてきたのである。
現在ではインターネットのサイト上でサンタクロース情報を発信している。

 さて、話を戻そう。

サンタクロースは本当に存在するのであろうか。

その最大の疑問は、クリスマス一晩で世界中の子供達にプレゼントを配ることができるのかということだ。
以下に考察していくことにしよう。

仮説1:異次元利用説

我々の住むこの3次元では、世界中に一晩で行くことなど到底無理である。
そこで思い出されるのがドラえもんの「どこでもドア」だろう。どこでもドアを利用すれば一瞬にして好きな場所に行くことが出来る。
しかし、ドラえもんはマンガの世界であり、どこでもドアは実在しない。
とはいえ、どこでもドアの原理を利用すれば可能ではないだろうか。
どこでもドアは異次元(マンガでは4次元と表現されているが)空間を利用し、現在地点と目的地の空間を歪めている。
これと同じ事をサンタクロースが行っているとしたら、一晩で世界中に行くことも可能なようにも思える。
しかし、これでも疑問は残る。
仮に1軒あたり1秒かかったとしても世界中の子供達の家に行くには時間が無さ過ぎるのだ。

仮説2:タイムマシン利用説

仮説1の疑問に対する回答がこれだ。タイムマシンを利用することにより時間の制約は無くなる。
しかし、タイムマシンの利用にはそれ以上の重大な欠点があるのだ。
それは過去のリサーチ「タイムマシンは可能なのか」において触れた質量・エネルギー保存の法則問題である。
これは全宇宙の質量・エネルギーの総和は常に一定であり、同じ時間に同一人物(物体も含む)が複数存在することは質量・エネルギーの総和が崩れることになり、宇宙の崩壊に繋がりかねないということだ。

仮説3:立体映像説

仮説2の欠点は質量・エネルギー保存の法則問題であったが、逆に言えば質量・エネルギーが変化しなければ問題ない。
そこで、プレゼントを配るのは実像ではなく立体映像(ホログラム)であれば良いのではないだろうか。
確かに、ホログラムなら質量・エネルギーの問題はクリアできそうだ。
しかし、残念ながらホログラムはプレゼントを持つことが出来ない。

仮説4:サンタクロース複数人説

世界中に一人で配るのは不可能だ。それならば、サンタクロースは一人ではないのではないか。
世界中に何人ものサンタクロースがいるのではないか。
これは仮説1~3の全ての欠点を克服している。
しかし、問題がないわけでもない。
それはサンタクロースの目撃例が極めて少ないことである。
世界中にそれほど多くのサンタクロースが存在するならば目撃例も数多くあっても良いはずである。

仮説5:サンタクロース=お父さん説

仮説4の欠点を補うのがこれだ。
サンタクロースの正体はお父さんであるというのものだ。
目撃例の少なさもこの説なら説明できる。
普段は普通のお父さん、しかしクリスマスの夜だけサンタクロースに変身する。しかも既に家の中にいるため外での目撃はあり得ない。

しかし、ここで一つ大きな疑問が残る。

サンタクロースは誰でもなれるのかという疑問が。

それに対し、有名な社説を掲載することで回答とすることにしよう。
この社説は一人の少女からの素朴な質問への返事である。

このたび、次のような質問がきました。

記者さんへ。
わたしは8歳です。友だちは、サンタクロースなんていないって言います。パパに聞いたら、新聞社にきいてごらんていいました。教えてください。サンタクロースって、ほんとうにいるんでしょうか。

                     バージニア・オハンロン
                          ニューヨーク市

バージニア、君の友達はまちがっていますよ。その子たちはきっと、何でとうたがう、うたがい病にかかっているんだと思います。自分に見えるものだけしか信じない、自分にわからないことは、何でもうそだと思うんです。あのね、バージニア、心というものは大人でも子供でも、みんな小さいものなんです。この偉大な宇宙の中では、人間を囲っている限りない世界に比べると、人の知性はアリのような、一匹の虫のようなものなのです。存在する真理と知識の全てを理解するなんて、人間にとっては計り知れないものなのです。

そうですバージニア、サンタクロースはいるのです。この世に、愛や優しさや信じる心があるように、またそれらのものが満ち溢れ、人生に最も崇高な愛と喜びを与えてくれると君も知っているように、サンタさんは本当にいるのです。ああ!もしサンタクロースがいなかったら、この世はなんてさびしくて、つまらなくなってしまうでしょう。バージニアという子供たちが存在しないのと同じくらいさびしいところになってしまうでしょう。そしたら、この世に生きていくのに耐えていけるための、子供のように純真な信じる心も、誌も、ロマンスも存在してはいないでしょう。ただ目で見たり、手でさわったりするもの以外に、なんの喜びもなくなってしまうはずです。世界をてらしてくれる子供時代という名の永遠の光は、消え去ってしまうでしょう。

サンタクロースを信じないですって!サンタクロースなんていないなんて言うのは、妖精を信じないのと同じです。クリスマスにパパにお願いして、誰かをやとってもらい、町中のエントツをみはってもらったらどうでしょう。サンタクロースがつかまるかもしれませんよ! でも、もしエントツから下りてくるサンタクロースが見えなかったとしても、それが何の証拠になるでしょう。サンタクロースを見た人は誰もいません。でもそれは、サンタクロースがいないということの証明ではありません。この世の中で一番真実なことは、子供にも大人にも見えないものなのです。君は、妖精が芝生の上でダンスをしているのを見たことがありますか?もちろん、ないでしょう。だからといって、それが妖精がいないという証拠にはならないのです。この世の中には、見たり見られたりすることができない不思議があるでしょうが、そういう不思議を全部、想像したり実際に思い浮かべたりできるとは限りません。

人は、中の何が音をたてているのか見たくて、赤ちゃんのがらがらを分解したりします。でも、目に見えない世界をおおっているベールがあって、どんな力持ちでも、今までにいた一番の力持ちの力を合わせても、それをやぶることができないのです。ただ、信じる心や、誌や、愛や、ロマンスだけがカーテンを開き、その向こうにある超自然の美や栄光をながめさせてくれるのです。それって本物なのでしょうか?ああ、バージニア、これほど真実で永遠に続くものは、この世の中には他にはないのです。

サンタクロースがいないですって!すばらしいことに、サンタさんは生きています。それも永遠に。バージニア、今から何千年たっても、それどころか一万年たっても、子どもの心をよろこばせつづけてくれるんです。

1897年9月21日ニューヨーク・サン新聞の社説

<補足>

社説

この社説は、1897年9月21日ニューヨーク・サン新聞の社説である。
サン新聞社ではクリスマスが近づくと、毎年この社説を掲載していた。そして、サン新聞社以外でもクリスマスが近づくとこの文章が紹介されるようになったのである。

 サン新聞にこの社説が最後に載ったのは1949年の12月。
その後、サン新聞は他の新聞に吸収合併されたが、サン新聞がなくなった後も、この社説は他の新聞や雑誌へと受け継がれていき、決して消えることはなかったのだ。


一人の少女

この手紙を出したバージニアは、後にニューヨークで教員となり公立学校の校長まで務めた。
生涯に渡って自分が出した手紙についての手紙を受け、それに対しての一つづつにこの社説のコピーを添えた返事を書いたという。
彼女は既に故人であるが、81歳で亡くなったとき、『ニューヨーク・タイムズ』は、「サンタクロースの友達バージニア」という書き出しで、「アメリカのジャーナリズムにおいて、もっとも有名な社説がかかれるきっかけとなった少女」の死を悼んだのだ。


社説の原文

Is There a Santa Claus?

 We take pleasure in answering at once and thus prominently the communication below, expressing at the same time our great gratification that its faithful author is numbered among the friends of The Sun:

Dear Editor:

 I am 8 years old. Some of my little friends say there is no Santa Claus.
 Papa Says “If You see it in The Sun, it's so.”
 Please tell me the truth, is there a Santa Claus?
                      Virginia O'Hanlon
                     115 West 95th Street

 Virginia, your little friends are wrong. They have been affected by the skepticism of a skeptical age. They do not believe except what they see. They think that noting can be which is not comprehensible by their little minds. All minds, Virginia, whether they be men's or children's, are little. In this great universe of ours man is a mere insect, an ant, in his intellect, as compared with the boundless world bout him, as measured by the intelligence capable of grasping the whole of truth and knowledge.

 Yes, Virginia, there is a Santa Claus. He exists as certainly as love and generosity and devotion exist, and you know that they abound and give to your life its highest beauty and joy. Alas! how dreary would be the world if there were no Santa Claus! It would be as dreary as if there were no Virginias. There would be no childlike faith then, no poetry, no romance to make tolerable this existence. We should have no enjoyment, except in sense an sight. The eternal light with which childhood fills the would would be extinguished.

 Not believe in Santa Claus! You might as well not believe in fairies! You might get your papa to hire men to watch in all the chimneys on Christmas Eve to catch Santa Claus, but even if they did not see Santa Claus coming down, what would that prove? Nobody sees Santa Claus, but that is no sign that there is no Santa Claus. The most real things in the world are those that neither children nor men can see. Did you ever see fairies dancing on the lawn? Of course not, but that's no proof that they are not there. Nobody can conceive or imagine all the wonders there are unseen and unseeable in the world.

 You may tear apart the baby's rattle and see what makes the noise inside, but there is a veil covering the unseen world which not the strongest man, nor even the united strength of all the strongest men that ever lived, could tear apart. Only faith, fancy, poetry, love, romance, can push aside that curtain and view and picture the supernal beauty and glory beyond. Is it all real? Ah, Virginia, in all this world there is nothing else real and abiding.

 No Santa Claus! Thank God he lives, and he lives forever. A thousand years from now, Virginia, nay, ten times ten thousand years from now, he will continue to make glad the heart of childhood.

The New York Sun, September 21, 1897.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?