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離-ロ-へ】狂言『附子』を食べた言い訳を作ってござる

和ろうてござるか〜

言い訳に言い訳を重ねて
二進も三進も行かなくなる
そんなことがよくあった十代の頃のわたくしに
素直に謝る、謝りを認める価値を
教えてあげとうござる

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが
もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”の名を借りて
皆さまを狂言の世界へご案内するつもりで描いてござる。
なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

次郎冠者は、主人の大事な附子(砂糖)を食べた言い訳を太郎冠者に丸投げしてござる

太郎冠者は次郎冠者に
後ろにあるお掛け物、すなわち掛け軸
破れと言いまする
附子を食べた上、掛け軸を破って大丈夫かと
思われまするが
それで言い訳になる。と申す太郎を信じた次郎は

さらり、さらり、バッサリ

と破ってござる 
この破る擬音は実際に次郎冠者が
声に出してござる

さいぜん附子を食べるときにも

アムアムアム

と言いながら食べてござる

かくのごとく
狂言の効果音、擬音は演者自ら発声いたしまする
それも今使うのとは違うモノが多ござるが
独特の言い回しが
わたくしは好きでござる

話に戻り
附子を食べた上に、大事な掛け物を破るとは
主人が帰ったらそのように申し上げる
と云う太郎に
其方が破れと云うたと申し上げる
と云う次郎

これも戯れ言じゃと
云う太郎

「またしてもまたしても、そのような悪しい戯れ言は言わぬモノじゃ」

と詰めながらも
「して、言い訳は何とする」
とあくまで太郎冠者に丸投げの姿勢

「あの‘台天目’を打ち割れ!」
と言われ

「みどもはもはや、イヤじゃ!」

また主人に言付ける、と云うだろうと
さすがに次郎も
学習したようでござる

されば二人一緒に打ち割ろうと提案され
二人は共に前へ

二人息を合わせて台天目を持ち上げまする

ところで
台天目の天目とは天目茶碗と申す唐渡りの茶道具でござる
この茶碗を専用の台に載せて飾ってあったものでござろう

「これには声を三つ掛け
  三つ目に打ち割ろう」

お互い出し抜くことがないように
牽制しつつも
三つ目に叩きつけまする

「ガラリン」、「チーン」

これもそれぞれが擬音を発声

「数が多なった」
「微塵になった」
  😆はーはーはーはーはー😆

と笑う二人
数が増えると申すは
縁起の良いこととされ
大切なモノを壊したことを、縁起が良いと言い換えたことで
笑うておるのでござろうか

さて
附子を食べ尽くし
掛け物を破り
天目茶碗を割って
なんと言い訳することか

その顛末は次回にいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗
この狂言noteはけんすけ福のかみが大蔵流 茂山千五郎家の狂言を中心に学んだことや思うことを描いてござる

 

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