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離-イ-ろ】大名狂言『鬼瓦』ノ弍

和ろうてござるか〜
たとえ使用人が一人ばかりでござっても
大名の登場は少しばかり大仰に始まりまする

このブログでは狂言好きのわたくしけんすけ福のかみが、もっとも狂言らしい登場人物“太郎冠者”の名を借りて皆さまを狂言の世界へご案内するつもりで描いてござる。なにとぞ和らいだお心もちにて読うでくださりませ〜

幕が上がり橋掛かりに大名が出てまいりまする
常ならば本舞台まで一直線に本舞台へ
常座にて名乗りでござるが

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大名はまず“一の松”辺りで正面向き、少し屈んでから
両腕左右に開きながら〜伸び上がり〜まする

そこから本舞台に入りますれば
速やかに正先へ、大きく一足下がり正中前方にて‘名乗り’まする

「遠国(おんごく)に隠れもない大名〜です」

普段わたくしは太郎冠者として、「“〜ござる”」を多用いたしまするが
大名や山伏など、強めのキャラクターは「〜です」なのでござる

現代の〜ですとは、趣きの異なる響きではござるが
名乗りはおおむね観客に向けた丁寧表現でござるによって
くらいの高さを出しつつも丁寧なことば遣いなのだと存じまする

鬼瓦では
訴訟のため京の都へ来ていた大名が
勝訴の上、土地をたくさん勝ち取り、その上
自国へ戻る許可が出たことを喜び
その喜びを太郎冠者と分かち合うため呼び出しまする

常座の後ろに座した太郎冠者は
大名との掛け合いによって
本舞台の左右に分かれ
正先をはさんで向かい合う

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大名 ヤイヤイ太郎冠者、おるかやい
太郎 はーあー
大名 おるかーおるかー
太郎 はーあー
大名 いたか!
太郎 お前に
大名 早かった、まず立て
太郎 畏まってござる

これは重々しい中にもテンポよく掛け合うのが
大名狂言の大切な幕開けなのでござる

こんにったこの辺りにいたしましょう
またお目に掛かれましたら嬉しゅうござる🤗
この狂言noteはけんすけ福のかみが大蔵流 茂山千五郎家の狂言を中心に学んだことや思うことを描いてござる


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