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狂言『二人袴』島田洋海社中

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狂言大蔵流 茂山千五郎家 島田洋海社中でお稽古し、2022年5月に披露した 狂言『二人袴』を私見にてご案内してござる
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2022年8月の記事一覧

狂言『二人袴』の七 

和ろうてござるか~ ようやく二人袴も最終回となってござる これまでのお話はこちらにまとめてござる 願わくば「狂言『二人袴』は聟入りのお話、さて室町時代の聟入りとは」 より読うでもらえればさいわいでござる 前後に裂けた袴をそれぞれ前に当てて舅の元へ出た兄弟 めでたく盃事も済んだところ 酒が入って陽気になった弟(聟)は舅に喜ばせる報告があると申す 次は舅から聟に舞をひとさし舞うてほしいと云われ焦る兄弟でござる 舞いは正面向きだけではできませぬ、どうしても袴の後ろがないと知れ

狂言『二人袴』の六 ようやく三人対面でござる

和ろうてござるか~ これまでのお話は狂言『二人袴』としてまとめてござるによって そちらをご覧くだされますよう願いまする 聟(弟)と兄の入れ替わりも三度をすぎるとそろそろ次の展開でござる 舅から二人一緒に出ないと盃事(聟入りの儀式)ができぬによって 二人一緒に出るよう云われた二人は・・・ 袴が一つしかないため、弟も兄も自分が履くと云って引き合いまするところへ、舅に云われ太郎冠者が急かしにやってきて 「早う出させられいと申しまする!」 の声に驚く兄弟は互いに袴を自身の方へ強