クレイグ博士@インド工科大学(Kanpur)
2022年1月19日 宍戸健
去年の8月にクレイグ博士はインド工科大学(India Institute of Technology, IIT)カンプール校を訪れ学生達に対して講演をした。IITは米MITにならって設立された工科大学でカンプール校(全校生徒約6,500人)はインド国内、アジア圏内でもトップ大学の一つだそうです。
講演は約1時間です。
講演のタイトルは"With Bitcoin & IPv6, P2P exchanges enable an Internet of Everything"で、Bitcoinの仕組み、IPv6への応用について話されていました。
しかしながら、いつものようにクレイグ博士のプリゼンはコンピュータサイエンス、ネットワーク理論、なぜPeer To Peerが必要なのか、インターネットの歴史、IPv4の問題点とIPv6とビットコインの親和性、IoT, IIoTの可能性、個人情報管理の重要性、改ざんできないタイムスタンプ付きのデータベースの影響、マイクロ課金が切り開く新しいビジネスの可能性、コピーできないデジタルファイルの交換(ソフトウェア、音楽など)によるビジネスの可能性、政治、経済と話題が多岐に及びました。
また、博士はインドでも働いたことがあるようで(印マヒンドラ・マヒンドラからの業務委託)、その話を交えてお話しされるので、工学部の学生(たぶんアプリ開発のことだけを主に考えている)たちに理解してもらうのはなかなか難しいだろうなとは思いました。(初めてクレイグ博士のプリゼン聞く人たちは広範囲の知識が散りばめられるのでだいたいみんな「ぽかーん。」とします。笑)
さて、今日はこの講演の中で、クレイグ博士が生徒に向けてシリコンバレーに出稼ぎに行くよりビットコインテックで立身出世しなさいと呼びかけられた部分について以下翻訳します。(00:30:00あたりから)
翻訳はココから。
「この国(インド)には多くの技術者がいて、多くの高度な技術を持った人がいて、今、このようなもの(ビットコインを使ったサービス)を作る、ビットコイン技術を使って次世代インターネットを作るよりも、その代わりに、あなた方はアメリカやイギリスなど、さまざまな国に出稼ぎに行って、アプリを作っています。
アプリを作り、それをフェイスブックに売っているのです。フェイスブックは買収を申し出た最初の企業に身売りしましたか?グーグルは身売りしましたか?
自分のものを売り払えばそれで終わり、少しの間はいい気分かもしれない。でも、それじゃあつまらないでしょう。
今彼ら(GAFA)は社会主義者のようなことを言っています。彼らは、あなた方が彼らの存在を脅かす将来の大企業になれると思わせたくないのです。
彼らは現在世界の広告の80%以上をコントロールしています。この力であなた方が何か新しい革新的なものをを作ることを阻止するのです。中国の企業は中国政府のお金をもらっているので、まだ何かを作ることができます。
でも、マイクロペイメントを使えば、世界中に即時決済が可能で、グーグルよりも速く、良いものを作ることができます。
グーグルが当初出てきたときは良かったのですが、現在では一言でいうと”crap”です。
私は何重もの広告のページを見たくないし、クッキーをフラッシュされるのがとても嫌いです。そして一回だけ「靴」の検索をしたからといって、ホテルを検索しているときにもしつこく「靴の広告」を表示するのはやめて欲しい。
このようなものは君たちも作ることができる。でも君たちはアメリカに行く必要はないし、シリコンバレーでアプリを作って身売りする必要もない。シリコンバレーが私のことを嫌っているのはこのことをいつも言っているからなのです。
もっと大きなもの、もっと良いものを作りなさい。そうすれば、君たちの政府が満足するような、安全で、誰でもアクセスできる、使えて、継続的なものを作ることができるのです。
そうすれば、非常に僅かなコストでどんな情報にもアクセスできるようになります。私が10年前からずって言ってきたように「いつでもどこでも何でもできる」ということが実現するのです。
私が子供の頃、コーラの空き缶を返すと、少額の保証金と少しのお金がもらえました。大金ではありませんが、以前はそうやってお金を稼いでいる人たちがいました。現在ではアマゾンターク(デジタルターク)で、一時間4-5米ドルで小さな仕事をすることができます。
多くの人にとっては大したことではありませんが、この国の人々にとっては、インターネット上で簡単なタスクや情報を更新するという小さな仕事をこなすことができるのです。
このような仕事するには大学に行く必要はありません。ウォールマートで働く人は、座ってネットTVを見ながら、脳死状態でも仕事ができることがよくあります。
これからは人々のモバイル端末にセキュリティを確保する必要があります。モバイル端末に個人情報を格納し、情報をコントロールする必要があります。これらの個人情報管理を軽くみてはいけません。
ザッカーバーグ氏があなたの個人情報管理者になるのもごめんだし、Twitterがそうなることも誰も望んではいません。」
00:48:00あたりから
「なので、私が言いたいのは「できない」と思うのはやめようということです。「できない」ということはもうないのです。
アプリを作れ、ソフトを作れと、上司に命令される会社で働き会社の奴隷になることは辞めようということです。
インドというのは非常に大きな国であり、長い歴史があり、人材の宝庫である国だと考えてほしいのです。
そして、君たちのうちの何人かが集まって、世界中のすべての人を打ち負かせる企業を作ることだって可能なのです。
20年後、私はグーグルが叩きのめされてりるのを見たいし、インドにいるあなた方がアメリカに行かずに資本を持ち帰るのを見たいのです。
それが、私が今日皆さんにお伝えしたかったことです。ありがとうございました。」
翻訳ココまで。
それでは今日はこの辺で。
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