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SCM用語 : デカップリング・ポイント

デカップリング・ポイントというのは、サプライチェーン上で製品が「見込み生産」から「受注生産」に切り替わるポイントを指します。
言い換えると、どこで在庫を持つかという点のことです。

このデカップリング・ポイントは、SCMにおいて非常に重要な概念です。
まず、在庫というのは、顧客にモノを届けるにあたって、クオリティ・コスト・納期に大きく影響を与えます。
クオリティを優先すれば、コストや納期がかかってしまい、コストを抑えようとするとクオリティが低くなってしまう、ということはよくあることです。
クオリティが良ければ、どれだけコストがかかっても、どれだけ手に入るのに時間がかかっても問題ない、という消費者は少ないでしょう。
クオリティ・コスト・納期は、どこかでちょうどよいバランスを決める必要があります。
このバランスを決めるということが、在庫をどこで持つかということにつながります。
在庫を持てば、作りだめすることで製造コストは安くなり、納品リードタイムも短くできます。一方で、在庫が売れ残るリスクや、保管コストなどがデメリットとしてあります。
メリット・デメリットがあるなかで、どのメリットを重視するかやどの程度デメリットに目をつむるかを決めることが、ビジネスの設計として重要です。

いくつかのデカップリング・ポイントの代表例を書きます。
1)見込み生産(MTS: Make to Stock): 受注を見越して先に製造してしまう方式。リードタイムが短くできる一方、売れ残りのリスクが出る。
2)受注組立生産(ATO: Assemble to Order): 部品は先に製造して在庫しておき、仕上げやカスタムオーダー部分を受注後に製造(組み立て)する方式。
3)個別受注生産(ETO:Engineering to Order):顧客の具体的な要望を詳しく聞いたうえで設計し、生産を行う方式。大型機械や船舶など。




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