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建設DX研究所 第7回定例部会を開催しました!

みなさん、こんにちは。
建設DX研究所事務局を務めております株式会社アンドパッド 髙橋です。
「建設DX研究所」では、毎月1度、オフラインで定例部会を実施しています。
先日7月27日に、第7回となる定例部会を開催しましたので、その様子をダイジェストでお届けしたいと思います。

第7回「建設機械の自動運転におけるAI・ロボティクスの活用」

これまでは建設DX研究所のメンバーである6社で定例部会を開催してきたところですが、今回は初の試みとして、ゲスト企業をお呼びして部会に参加いただきました。
お呼びしたのは、株式会社DeepXより那須野 薫・代表取締役です。建設DX研究所の任意団体としての立ち上げのプレスリリース後すぐに興味をもっていただき、やりとりをさせていただいていました。
今回、建設機械の自動化、AIやロボティクスの活用について定例部会で取り上げることとし、株式会社DeepXにお声がけし最新の事例も含めてご発表いただきました。

株式会社DeepXは、「あらゆる機械を自動化し、世界の生産現場を革新する」というミッションのもと、建設業界では油圧ショベル、クレーン、ケーソンショベルなどの建設機械の自動化に取り組まれている会社です。代表取締役の那須野さんをはじめ、東京大学出身者の方も少なくなく、まさに「大学発スタートアップ」として活躍されています。
約20か国から集まるグローバルな開発チームを抱えていらっしゃり、社内の公用語は英語とのこと。世界中から重機自動化の実現のために、様々な専門性をもった方々が終結されているそうです。

那須野さんは「働き手不足、熟練の職人が引退していってしまう昨今の状況に加え、安全性も向上させなければならない建設業界において、建設機械の自動化が必要である」と話されます。また、センサー技術の向上、計算機・ソフトウェア等の製品の向上が進んできているからこそ、建設機械の自動化への期待感・実現性も高まっているとのこと。

官公庁においては、国土交通省における「建設機械施工の自動化自律化協議会」、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)による「スマートインフラマネジメントシステムの構築」といった動きが行われており、政府全体としてしっかりと取り組む姿勢が示されていると言えます。
民間における建設機械の自動化への取組も活発になってきているそうで、例えば、大林組や鹿島建設といったスーパーゼネコンや、一部の大手ゼネコンにおいて自動施工の開発が行われているそうです。それらゼネコンが開発したシステムを活用する施工会社、システム開発の下支えをする要素技術をもたらす建機メーカー、必要なセンサー・通信機器・計算機等を開発・販売するIT機器メーカーなど、多様なプレイヤーによって建設機械の自動運転領域が構成されていることも改めて納得することができました。

株式会社DeepXとしては、昨今ニューマチックケーソン工法におけるケーソンショベルの自動化に力を入れていらっしゃり、直近7月25日に「複数の建機を同時に自動化する建機自動運転システムを開発・実証」というプレスリリースも出されたところです。

ニューマチックケーソン工法とは、橋梁や建造物の基礎、また、下水ポンプ場、地下調整池、シールドトンネルの立坑、地下鉄や道路トンネルの本体構造物として幅広く活用されている工法です。地上で構築した鉄筋コンクリート製の函(躯体)の下部を掘削しながら地中に向かって垂直に掘り進めていくところに特徴があります。

提供:オリエンタル白石(株)

ニューマチックケーソン工法の特性上、①繰り返し作業が多いこと、②安全法規への課題が少ないこと、③すでに遠隔施工が主流となっておりデジタル化への基礎ができていること、これらのことから、自動運転化の対象に適する、と判断されたそうです。

ケーソンショベルの自動化に向けてはしっかりと段階をふんでマイルストーンを設計することが大事だそうで、デジタルツイン/現場環境の見える化によってオペレーターの操作支援をするところからスタートし、続いて、一人で複数台操作できる環境、その先に、自動運転建機を監視員が監視する、といったようにステップを踏んでいっていることも学びのひとつでした。

このケーソンショベルの自動化にあたって、現場の見える化のための土の凹凸の状況の認識などにAI・ディープラーニングを用いているとのこと。複数台の大きなショベルが同時に稼動したり、自動操縦と手動操縦の協調の支援のため、衝突防止機能などを付して安全性も担保しているそうです。
実際に重機が動いている様子は、プレスリリースのHPでもご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。

▼プレスリリース

建設DX研究所事務局より

今回、普段あまりなじみのない建設機械の自動化というテーマに触れ、新しく知ることも多く、非常によい学びの場となったと思います。
車の自動運転化が一足飛びではなく段階を踏んで進んできていることは多くの方がご存じだと思いますが、建設機械の自動化も同様で、検証に検証を重ねて実現していくものなのだと改めて思い知らされました。また、記事ではあまり触れませんでしたが、建設機械の自動化にまつわる法規制、安全性の担保というところにも様々課題があるそうで、建設DX研究所としてもしっかりと学びなおして取り組んでいかなければいけない領域であると再認識しました。

今後もこうした勉強会・定例部会を定期的に開催していくほか、情報発信・政策提言等の活動も実施していきます。
建設DX推進のためには、現状の建設DX研究所メンバーのみではなく、最先端の技術に精通する建設テックベンチャーをはじめ、数多くの事業者の力・横の連携が不可欠だと考えています。
建設DX研究所の活動・定例部会などにご興味をお持ちいただける方は、ぜひプレスリリースを御覧いただき、お気軽にお問合せいただけると嬉しいです。