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建設DX研究所 第9回定例部会を開催しました!

みなさん、こんにちは。
「建設DX研究所」では、毎月1度、オフラインの定例部会を実施しています。
9月27日に、第9回となる定例部会を開催しましたので、その様子をダイジェストでお届けします。

第9回「点群データの基礎と応用」

今回は、建設DX研究所より、ローカスブルー株式会社の代表取締役 宮谷さんが登壇し、「点群データの基礎と応用」と題して、点群データの理解に必要な知識と、顧客のペインを解決する最新のローカスブルーの機能開発内容について発表いただきました。

宮谷さんには、第2回定例部会にも登壇いただき、当時は宮谷さんご自身の経歴を軸に、ローカスブルー社(旧:ScanX社)を立ち上げる前までを中心にお話いただきました。今回は、ローカスブルー社の取り組む点群データ関連についてしっかりと伺うことができました。

ローカスブルー社は、「世界の産業と社会のために3Dデータで新たな価値を創造する」をミッションに掲げ、3D点群データの利活用の推進を通じた業界全体のDXへ貢献する会社です。
代表の宮谷さんは、フランス、シリコンバレー、そして、イスラエルのスタートアップを渡り歩き、2019年にローカスブルー株主会社(旧社名:スキャン・エックス株式会社)を設立しました。)開発エンジニアチームは基本的に英語で開発を行っているとのこと。世界各国から採用した優秀なエンジニアと、スピーディなプロダクト開発を行っており、まさに「グローバルスタートアップ」として、多様性にあふれスピードのある環境で事業拡大に挑戦されています。

2022年12月には3Dデータ専用のAIエンジンAPI「Deep3(ディープスリー)」を発表し、3D都市モデル、送電線点検、自動運転用HDマップといった建設業界以外にも展開を開始しています。

ScanXが取り扱う「点群データ」とは読んで字の如く「(x,y,z)の3D空間に多数の点が集合していること」を指します。建設現場における点群の取り方は大きく2種類であり、「レーザー測量」と「写真測量」により3Dデータを生成する方法が代表的です。
レーザー測量の仕組みは、スキャナから射出されたレーザーが地形や構造物に反射して、再びスキャナへと戻ってくるまでの時間を計測することで測量を行います。また、写真測量の仕組みは、人の目が片眼では奥行きがわからないが両眼ではわかるように、別々の角度から撮影した何千枚もの写真の共通の点を認識して点群化・3Dモデル化します。

レーザー測量と写真測量にはそれぞれ得意不得意な点があるとのこと。
それぞれの使い分けの例としては、レーザー測量は木などの障害物をある程度「透過」できる。例えば土木現場で山の中で道路を施工したい場合には、写真測量では木の表面はわかるが地面まではわからない部分があるため、レーザー測量が用いられる。逆に木が生えていないような、のっぺりとした土地であれば写真測量でも問題ないといった要領で使い分けられます。
現場のデバイスとしてはiPhoneのLiDARスキャナであったり、地上型のレーザースキャナーや、背負式のバックパック型スキャナー、自動車に搭載するMMS(Mobile Mapping System)、ドローンによる写真測量、航空機に搭載する航空レーザーなどが代表的です。

点群データの使われ方は設計前の三次元測量が一般的であり、国交相の7〜8割の案件に対しては特記仕様書に「三次元測量」が見込まれていますが、得られた点群データだけでは「点的なデータ」であり、設計に必要な「面的なデータ」ではないため、設計サイドの実作業としてCAD上で点と点をなぞってモデリングする作業が発生しています。
そこでScanXでは点群データを自動的にサーフェス化する機能を研究開発中とのことで、こちらは現場の高効率化の点で非常に実用性が高い印象を得ました。現場の開発段階では、まだサーフェスが完全に滑らかにすることや、穴のない面的なデータにすることは技術的に難しいとのことで、更なる技術開発に期待が寄せられました。

点群からメッシュデータ化するにあたっては、設計上はポリデータのような比較的綺麗な筒状のモデリングで十分なユースケースもあれば、施工現場ではモデリングすることで検査時に微細な壁面の凹みのような変化点を確認したい場合もある。つまりBIMのモデルを使いたいのか、現場の検査でモデリングを用いたいのかによっては求められる性能が異なる点であることもニーズとして興味深く、裏側の技術としては余分な点をクラスタリングして余計なデータを取り除くことでモデリングしているため、その点で3Dモデリングやその裏の深層学習の難易度を高めているそうです。 

建設DX研究所事務局より

今回の部会では「点群データの知識」と、「現場でのどこで使われるのか」について大変面白く、点群データについて知らない人でもわかるように解説していただきました。センサー技術の発展と普及で、点群データなどの3Dデータを取得することができるようになった技術進歩の中で、データはあくまで中間生成物であり、最終的に欲しいアウトプットは異なること。また、最終的なアウトプットにたどり着くために、3Dデータのクレンジングなどに膨大な手作業を必要としていることを理解することができました。 ローカスブルーの点群処理技術の詰まった「ScanX」と、最適なアウトプット生成のノウハウが詰まった3D AIエンジン「Deep3」により、ユーザーの案件毎に業務改善を叶えるサービスであることも学ばせていただきました。 

今後もこうした勉強会・定例部会を定期的に開催していくほか、情報発信・政策提言等の活動も実施していきます。 建設DX推進のためには、現状の建設DX研究所メンバーのみではなく、最先端の技術に精通する建設テックベンチャーをはじめ、数多くの事業者の力・横の連携が不可欠だと考えています。 建設DX研究所の活動・定例部会などにご興味をお持ちいただける方は、ぜひプレスリリースを御覧いただき、お気軽にお問合せいただけると嬉しいです。