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建設DX研究所 第6回定例部会を開催しました!

みなさん、こんにちは。株式会社アンドパッドの髙橋です。
本年1月24日に、建設テック事業者を中心とした6社により任意団体化した「建設DX研究所」では、毎月1度、オフラインで定例部会を実施しています。
先日6月22日に、第6回となる定例部会を開催しましたので、その様子をダイジェストでお届けします。

第6回の定例部会のテーマは、「ゲームエンジンを活用した 建設業界での取り組み」です。
「ゲームエンジンとは?」というお話から「ゲームエンジンを利用した様々な取り組み事例」に至るまで、株式会社構造計画研究所の山本さん、相川さんにご発表いただきました。

株式会社構造計画研究所は、技術コンサルティングファームです。
リスク発生のシミュレーションやCADやBIMソフトのカスタマイズ等の自社の工学知を利用したソリューション提案や、大学・研究施設との連携で新しい技術と組み合わせたソリューションの模索・論文の発表・書籍の出版、そして技術の種を持った海外パートナーを探し出し新規事業への投資・育成も行われています。

同社では自社のシミュレーション技術に対してBIMモデル活用・仮想世界でのシミュレーションにおけるゲームエンジン活用を通して新たな価値を創造することにチャレンジされており、今回はこれまでの活用事例に関してお話をいただきました。

ゲームエンジンとは 

ゲームエンジンとは、ゲームを効率的に作るためのプログラムのことです。
ゼロからゲームを作り出すのではなく、ゲーム開発に必要なグラフィックの描画やサウンドの管理、コントローラーからの入力の処理といった、ゲームを開発する上で欠かせない基本機能が備わったプログラムのことを指します。
欧米を中心に販売されるようになったゲームエンジンですが、今では日本にも広まるだけではなく、ゲーム以外の他業界にも活用が広がっております。

ゲームエンジンの活用事例

国土交通省が主導する「PLATEAU」への参画

「PLATEAU」は、国土交通省が主導する日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトです。都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、様々な領域でユースケースを開発するとともに、誰もが自由に都市のデータを引き出せるようにすることで、オープン・イノベーションの創出を目指しています。

同社では、保有する多様なシミュレーション技術やゲームエンジン等を活用した3D可視化の技術を組み合わせることで、自治体やまちづくり団体の施策検証を支援し、社会インフラの整備や防災に寄与することを目指しています。

参画事例1: 都市の賑わい評価のシミュレーション(対象:東京都新宿区 西新宿エリア)

同社は、大成建設株式会社とともに、西新宿エリアにおける人流の変化を模擬するシミュレーション、およびその可視化ツールを構築しました。
自社が運用するMAS(マルチエージェント・シミュレーション)プラットフォームである「artisoc Cloud」の人流シミュレーションと、ゲームエンジン「Unity」で成しえる表現をかけ合わせ、3D都市モデル上で人が動く様子を再現しました。

これにより、3D都市モデル上でさまざまな施策の効果検証を行うことが可能になり、社会実験の一部を代替するツールとして、コストの削減および効果的な企画立案、合意形成の効率化を目指しています。

参画事例2:雪害対策支援ツール(対象:兵庫県朝来市) 

 同社は、3D 都市モデルの屋根形状や属性情報を活用した風雪・融雪シミュレーションを実施し、建築物の積雪荷重に対する損壊および落雪リスクの評価・可視化ツールを開発しました。さらに、シミュレーション結果および損壊リスクの評価結果について、ゲームエンジンを活用して 3D 都市モデル上で再現したそうです。
 積雪による建築物の損壊や地域の脆弱性を広域で評価し、3 次元空間上において分かりやすく可視化したことで、大雪時にさまざまな関係者との意思疎通を円滑にするリスクコミュニケーションツールや、地域防災計画・除雪計画等の検討ツールとしての活用が期待できるそうです。
 積雪という、点とも面とも捉えることができる事象をどうモデル化してシミュレーションしていくか、といった開発秘話にも触れていただきました。

地震ザブトンVR

地震サブトンVRは、過去の地震データと家具転倒のシミュレーションをゲームエンジンで組み合わせることで、耐震建物において地震発生からどの程度の時間で揺れが収まるのか等を体験できるとのことでした。
イメージとしては地震体験車に似ていますが、この地震ザブトンVRは、設備もコンパクトで済むことから、地震防災家のイベントや国連のイベントなど、様々な展示会でも紹介されているそうです。
東日本大震災や熊本地震等、実際に起こった4つの地震データを取り込んであり、よりリアルな体験ができることもポイントで、こうした技術が防災意識への啓発になると感じました。

事務局より

以上、今回は「ゲームエンジンを活用した 建設業界での取り組み」をテーマとした、同社の発表をダイジェストでご紹介しました。
今回、各社においてもゲームエンジンの建設分野での可能性に関して気付かされることが多々あり、会を通して多くの質問が飛び交いました。ゆくゆくは現在の定例部会を細分化させ、特定テーマに関する部会や、海外展開に関する部会などより具体の議論ができる場にしていければとも考えています。
定例部会の投稿について、なかなか全ての内容をnoteで公開することが難しいのですが、こうした部会への参加を含め、建設DX研究所の活動にご興味をお持ちいただける方は、ぜひプレスリリースを改めて御覧いただき、お気軽にお問合せいただけると嬉しいです。