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建設DXを推進する パブリックアフェアーズの魅力・やりがい

建設DX研究所

はじめに

初めまして、建設DX研究所研究員の高橋です。2021年6月18日、マカイラ株式会社主催で「パブリックに関わるキャリアを考える」と題したイベントの第4回が行われ、建設DX研究所所長で株式会社アンドパッド(以下、アンドパッド)の岡本杏莉 上級執行役員 法務部長兼アライアンス部長が、株式会社メルカリの吉川徳明 会長室政策企画ディレクターとともに登壇しました。
この日のテーマは、「事業会社におけるパブリックアフェアーズの魅力とやりがいについて」ということで、建設DX分野になぜPAが必要なのか、自身のキャリアから弁護士からPA分野に挑戦することについてなど話されていた岡本さんの話をピックアップして紹介します。

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建設DX分野だからこそ、パブリックアフェアーズの活動が必要

岡本:まず、所属するアンドパッドについて紹介したいと思いますが、アンドパッドではミッションを、「幸せを築く人を、幸せに。」としているのですが、パブリックアフェアーズ活動においてもこのミッションに基づいて実施しています。
「幸せを築く人」というのは、建設現場で家を建てたり道路を作ったりといった現場で仕事をされている方々のことですが、こうした建設業界は、紙や電話、FAXといったアナログ手法で行ってきた現場であり、これまではこうした作業に多くの時間を費やしていました。
アンドパッドでは、こうした状況や課題を改善していくために、プロダクトやITの力で少しでも楽に、より良い業務をしてもらいたいという思いをもってサービスを提供しています。
建設業界は業界全体に長時間労働や過酷な労働環境からくる人手不足など多くの課題を抱えており、建設DXを推進することでこうした課題を解決し、未来に貢献していくことを目指しています。
建設DXを通じた建設業界の課題解決のためには、民間だけではなく、国交省をはじめとした国が行う政策とも連携しながら行っていく必要があり、こうした連携を取りながら進めていくことがPAとしての役割なのではないかと思っています。
アンドパッドでは建設業界の課題を解決していこうと考えて取り組んでおり、経営陣もそこを本気で目指しています。
建設業の場合、巨大産業でもあり、衣食住の住という生活インフラを作るというなくてはならない産業でありながら、一方で、労働時間が長く賃金も低い上、休日も少なく残業が続いてしまうといったような過酷な労働環境が問題だと言われてきました。担い手の高齢化が進んでいることなども含めて、業界の課題が大きい産業でもあります。
こうした大きなミッションに向かって何ができるかを本気で目指しているというのが、建設DX分野の面白い部分でもあると思っています。
その意味でも、自分たちの会社の事業を進めていくための活動でもありながら、「事業推進をするためにこの法律が支障になっているから変えたい」というような目線にとどまらず、この国の抱える社会課題の改善や業界自体の質の向上など、より大きな目標・課題解決を目指しています。

弁護士からパブリックアフェアーズ分野に挑戦する可能性

岡本:私は、大学卒業後ファーストキャリアは、4大法律事務所の1つである西村あさひ法律事務所でした。大企業やPEファンド向けのM&Aやコーポレート関連の仕事を担当しました。事務所からスタンフォードのロースクールに留学したことが転機で、シリコンバレーの中でスタートアップの中での仕事に興味をもち、帰国した2015年の3月に株式会社メルカリ(以下、メルカリ)に入社しました。
メルカリは当時まだ従業員が80名くらいの規模で、US事業の法務関連や資金調達、IPOなど法務を中心に幅広く担当しました。メルカリ退職後は個人でスタートアップのアドバイスや社外役員などを努め、今年2月からアンドパッドの上級執行役員として法務部とアライアンス推進を担当しています。
弁護士であることはPAの仕事の中でも生きています。
PAの仕事では法規制が重要になってくる場面が多く、今の法律や規制の枠組みがどうなっているのか、新しいことを始める際にこうした規制をどうやって変えていかなければいけないのか等というのは基本的な話として押さえておかなければならず、弁護士や法務経験がある方の強みは生きる部分がある仕事だと思います。
一方で、企業におけるPA活動に求められる人材というのは、特定の法律にすごく詳しいことが必須条件として求められているというわけではないように感じます。
アンドパッドで関わってくる法律は、建設業法など特殊な法律になりますが、私自身もこれまでの経験で建設業法に詳しいかというとそういうことではなく、むしろほとんどゼロに近いところから勉強している状況です。
弁護士の仕事というのは、そもそもそういうところがありますが、スペシャリストとしてすごく詳しいところもありますが、一般のジェネラルコーポレートや会社の法務の現場では、時々によってさまざまな法律が問題になるため、その度にどういう規制なのかルールを調べていく働き方になることが多いです。
むしろこうした対応が柔軟にできることや、キャッチアップしていく能力、法律の趣旨が何なのか、どんな利益を守るためにこの法律があるのか、そこをもし変えていくとしたらここは守りつつもこういう風に変えていけるのではないかという視点や、法律は変えなくても規則やガイドラインをこう変えればいい、解釈を変えればいいのではないかなど、技術的なことでも考えられることはあったりするため、こうした部分において、弁護士や法務経験者は強みを活かしていけると思います。

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これまでの経歴や業務にとらわれずに、パブリックアフェアーズ分野にもぜひ挑戦してもらいたい

岡本:現在のアンドパッドは、初期のメルカリにいた頃と似たような印象もあります。私が2月に入社した時の社員数は250名程度でしたが、現在は400名を超え、年内には600名を超える勢いで採用を行っています。事業成長に伴って組織が拡大していく勢いは、急成長のスタートアップならではだと感じます。
現在のアンドパッドでの仕事も、メルカリ時代の法務部での仕事もそうですが、ベンチャーにおける仕事は、ピュアな法務の仕事だけではなく、多くの人が考えるような通常の仕事の範囲からはみ出すそれ以外のことが本当に多く、個人的には、そうした仕事をやらせてもらっていることがありがたいし自分としても楽しく、スタートアップ・事業会社に入る1番の魅力は、そういうところではないかと思っています。
自分の領域を良い意味ではみ出すことが歓迎され、誰もそれを止めないどころか、むしろ「みんなでやっていこうよ!」という雰囲気がベンチャー企業にはあったりします。
私自身、メルカリでも、元々は弁護士ということで法務部で採用されていましたが、資金調達やIPOの業務を担当させていただくこととなり、今のアンドパッドも法務の仕事にとどまらずビジネスアライアンスとPAのお仕事も担うことになっています。
アドパッドの担う、衣食住の「住」という領域は決してなくならないものであり、重要度も高く、一方で、デジタル化を支える会社が業界に今まだ存在していない分野であったということにも大きなポテンシャルを感じて参加しました。
アンドパッドでは、現在、中途の即戦力採用をしており、新卒の人を迎えられるのはもう少し先ではありますが、意欲のある人には非常に魅力のある会社だと思っています。
ぜひ、多くの皆さんに挑戦してもらいたいと思います。

終わりに

建設DX研究所の岡本所長から話もあったように、建設業界にはレガシィ産業だからこその課題も多くあります。
だからこそ、DX推進を行なうことにより業界が大きく変わっていく可能性も高く、そのためには、この建設業界に、業界の外からどう新しい優秀な人材を呼び込んでいくかは、重要な要素だと言えます。
今回のイベントは、キャリアについて考えるイベントであったため、登壇した岡本さんのキャリアについての話も多くありましたが、そこにはベンチャーならではの働き方や、新たな人材が入っていくことの必要性などのヒントが数多くあったかと思います。
とくに建設業界においては、DX導入により業界自体が大きく変わっていく可能性があり、そのためには、IT業界はもちろん、建設業界以外のさまざまな業界からも人材が流入し、建設業界においても人材を流動化させていく必要があるようにも感じます。
建設業界は古くから成り立っている大きな業界ですが、既存のプレイヤーに加えベンチャーも含めた連携についても今後大きな可能性があり、その必要性は高まってくるものと思います。
昨今は、Eコマースやフィンテック、シェアリングエコノミーなどIT活用によりさまざまなビジネスが生まれてきていますが、こうした振興ビジネスにおいても、政府や省庁、自治体など公的な機関との連携をしている事例も多く見られるようになってきており、その重要性も少しずつ認知されてきています。

イベントでは、岡本さんと共に、メルカリの吉川さんが登壇していましたが、メルカリなどもこのPAの分野に積極的に関わっている企業の1つだと言えます。
こうした先行する企業のPAの取り組みを参考にしていくために、メルカリが紹介していた話も紹介しておきます。
PAの仕事としては、法的な規制の改正や、自主規制を含め、法的に規制はされていないが社会的に議論のあるものに対してどんな結論を出すかについて、当局を含むステイクホルダーとの対話をしていくことなどもあります。
ただ、狭い意味でのロビーやある種の守りの業務、対省庁や対当局だけではなく、自治体やその周辺のプレイヤーも含めた方々と一緒になって地域課題を解決することによって我々のビジネスを伸ばしていくための連携をしていくことも担っていたりもします。
この建設DX研究所の設置自体がそうですが、建設DX分野においては、まさにこうしたPAの分野において何をすべきか、また何ができるかという試みが始まってきています。
今後さらに建設DXを推進していくにあたって、PA分野にどう関わっていくのかについても注目していきたいと思います。

本記事は、株式会社メルカリとのコラボ企画で、メルカリの政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」にも『パブリックに関わるキャリアを考えるイベントに政策企画の吉川が登壇』が掲載されています。合わせてご覧ください。
高橋 亮平(Ryohei Takahashi)
メルカリ会長室政策企画参事 兼 merpoli編集長、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、 神奈川県DX推進アドバイザー、国立大学法人滋賀大学講師ほか。1976年生まれ。元 中央大学特任准教授。松戸市部長職、千葉市アドバイザー、東京財団研究員、政策工房客員研究員、明治大学客員研究員、市川市議、全国若手市議会議員の会会長等を経て2018年6月より現職。AERA「日本を立て直す100人」に選出。著書に「世代間格差ってなんだ」(PHP新書)、「20歳からの教科書」(日経プレミア新書)、「18歳が政治を変える!」(現代人文社)ほか。