編集はつらいよ:あるポッドキャスト編集者の苦労
難産の末に、ついにDouble Barrel RR Showの最新エピソード、"追悼ジェリー・リー・ルイス Fireball Rock 'n' Roll"が公開されました。昨年亡くなったロックンロールレジェンドの一人、ジェリー・リー・ルイスの追悼エピソードです。
しゃべっている二人が本格的にnoteに参戦したので、エピソード公開に合わせて記事を公開することにしました。音楽的なことは、Donryu@Dbrrsが書いてくれていますので、私はポッドキャスト編集の裏話を愚痴っぽく書いてみたいと思います。
まず、なんといっても音声の編集は気の遠くなる作業です。しゃべっている二人の音声を(FaceTimeを使って完全オンラインで収録しています)、別々のファイルにして編集しやすくしているのですが、それらを発言部分以外はすべて削除します。最高の音質で録音されていればこの作業はおそらくいらないでしょう。しかし、どうしてもしゃべっていないところにノイズが乗っていたりしますので、そこは音声ファイルに直接手を加えなければなりません。今は、iPhone付属のイヤフォンでもそれなりの音質ですから許容可能なクオリティではありますが、妥協はしたくないので結局は音声を編集しています。
単に機械的にしゃべっていない部分を削るだけなら、波形を見ての作業になりますから、それほど大変ではないのかもしれません。しかし、実際には単純な作業ではありません。その理由はしゃべりにつきものの息継ぎや咳払いのようなノイズ、言い間違いをできるかぎり削除して、聞いている方にとってより聞きやすいものにしなければならないからです。編集に適したしゃべり方は、一つひとつの発言のあいだに一瞬でもいいので「間」があるものです。それがあれば編集はスムーズに進みます。しかし、人間というのはくっつけてしゃべってしまうもので、「え〜ま〜そういうわけで〜こうなってしまったんです」のようになる場合がほとんどです。そうなると、波形の編集がかなり難しくなります。
直近のいくつかの配信では、事前にかなり詳細な台本を作成して録音に臨んでいます。しゃべるべきことが明確だと「え〜」のようなつなぎ言葉を使う頻度は大きく下がります。それでもその場のノリや盛り上がりで台本にないことをしゃべることがありますし、私のように酒を飲み過ぎて台本通りにしゃべらない(しゃべれない)ことがありますので、どうしてもつなぎ言葉を口にしてしまいます。
不必要な部分をどんどん切っていくと、不自然な音声になります。ところが、日本語の場合は同じ段の音(例えば「あ」と「か」)どうしの場合は、ぶつ切りしても不自然に聞こえにくくなります。ですから、前の発言の最後の音と次の発言の最初の音が同じ段ならば、思いきった波形の編集を行っても問題がないことがほとんどです。しかし、これはすべての発言を聞き直して編集をすることを意味しますので、やはり編集に膨大な時間がかかってしまうのです。
元々話が長い二人のこと、必要以上にしゃべり過ぎます。それを編集するにはさらに長い時間が必要になります。「毎日30分は編集する」のような目標を立てて実行するといった、小学生の自宅学習レベルの決まりを作らないといつまでたっても編集が終わりません。この苦労が報われるためにも、できるかぎり多くの方にエピソードをお聞きいただきたいと思います。
(最新のエピソードをお聞きの方のなかには気づかれた方もいらっしゃると思いますが、私(質問している方です)は冒頭から最後までずっと鼻声ですが、これはかなり酩酊している証拠です。途中で呂律が回っていないところがありますが、あれでもお聞き苦しくないようにかなり編集しています。テクノロジーってすごいですよね。)
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