Vice versa
#36
さっき変な本を読んだ。
いや、正確には、序章の一文しか読んでいない。
そして、変な本ではない。
世界でかなり売れている本だ。
序章の一文を読んで、本を閉じたのは、こう書いてあったからだ。
”ある本ついて的確に語ろうとするなら、時によっては、それを全部は読んでいない方が良い。
いや、その本を聞いたことすらなくていい。
むしろ読んでいては困ることも多いのである。
ある本について語ろうとする者にとっては、特にその内容を説明しようとする者にとっては、その本を読んでいることが、かえって弊害を招くこともあるのだ。
このことを私は本書で何度も力説するはずである。この弊害を人は軽視しがちなのである。”
この本のタイトルは
「読んでいない本について堂々と語る方法」
迷った。
そして、読むのをやめた。
なぜなら、この本を読んだら、この本のことを語れなくなるからだ。
物事は、前方から見るのと、後方から見るのと見え方が全く違う。
光があれば影がある。
光が強くなればなるほど、影が濃くなる。
輝いている人がいるとすれば、輝いていない人がいるからだ。
逆もまた真なり。
「読んだことのある本について、堂々と語らない方法」
こんなタイトルの本があったら、果たして手に取るだろうか。
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