輝石のデュエリスト編のディフォーマー新規について

注意事項

・この記事は遊戯王の新弾『デュエリストパック輝石のデュエリスト編』に収録されるディフォーマーの新規カードについて口汚く罵る記事です。新規強いじゃんという方や新規エモい尊いという方は読まない方がいいでしょう。俺だってこんなの書きたくなかった。
・基本的に私は弱いデッキで勝つことを目指す人間です。ゆえに効果テキストとみせかけたフレーバーテキストなどは一切評価しません。

1.最初に

まずはディフォーマーとはどんなテーマなのかについてまとめ、ディフォーマーは何が欲しいのかについてまずは整理しておきます。ここの認識がズレると誰も幸せになりませんからね。

『ディフォーマー』はアニメ遊戯王5D'sで龍亞が使ったテーマです。
メイン種族は機械族。属性は様々ですが、メインは地属性。得意とする召喚方法はシンクロ召喚ですね。

テーマ特性としては攻撃表示と守備表示で効果が変わるので状況によって表示形式を使い分ける、ということになっていますが、ほとんどのモンスターは攻撃表示の効果しか使いません。
また、効果に名称ターン1が付いていないことが多いので同じ効果を何度も何度も使いまわしての展開をします。
サイコロを何度も何度も振るギャンブルテーマでもあります。

また、テーマが得意なことは展開、サーチ、ロックで実はあの時代のカードとしては全体的に高性能。

デッキの中核となるカードは6種類。

『D・モバホン』

効果モンスター
星1/地属性/機械族/攻 100/守 100
(1):このカードは表示形式によって以下の効果を得る。
●攻撃表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振り、出た目の数だけ自分のデッキの上からカードをめくる。その中からレベル4以下の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を選んで召喚条件を無視して特殊召喚し、残りをデッキに戻す。
●守備表示:1ターン1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振り、出た目の数だけ自分のデッキの上からカードを確認する。

ディフォーマーの展開の中核。運任せではありますが、前準備無しで盤面+1。
ディフォーマーの序盤はいかにコイツを使い回すかが全てです。全てを特化させてモバホンをサーチして何度も墓地に送って何度も蘇生させます。

『D・スマホン』

特殊召喚・チューナー・効果モンスター
星1/地属性/機械族/攻 100/守 100
このカードは通常召喚できない。自分の墓地から「D(ディフォーマー)」モンスター1体を除外した場合に特殊召喚できる。
(1):このカードは表示形式によって以下の効果を得る。
●攻撃表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振り、出た目の数だけデッキの上からカードをめくる。その中から「D(ディフォーマー)」カード1枚を手札に加え、残りはデッキに戻す。
●守備表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振り、出た目の数だけデッキの上からカードを確認し、好きな順番でデッキの上か下に戻す。
 
ディフォーマーの展開の中核その2兼サーチ要員。墓地コストさえ払えば唯一の手札から展開できるディフォーマーで誘発貫通に使えます。
効果も有用で運任せではありますが、モンスターのディフォーマーの補給のみならず、『D・リペアユニット』という蘇生札を手札に加えられるのでさらなる展開へと続けられます。
例によってターン1は無いのでこいつも何度も使い回されて手札を稼ぎます。

『D・リモコン』

チューナー・効果モンスター
星3/地属性/機械族/攻 300/守1200
(1):このカードは表示形式によって以下の効果を得る。
●攻撃表示:1ターンに1度、自分の墓地の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外し、レベルがそのモンスターと同じとなる「D(ディフォーマー)」モンスター1体をデッキから手札に加える。
●守備表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札から「D(ディフォーマー)」モンスター1体を選んで墓地へ送り、レベルがそのモンスターと同じとなる他の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を自分の墓地から選んで手札に加える。 

ディフォーマーのサーチ要員。墓地コストさえ払えば後続のディフォーマーをサーチできます。スマホンをサーチして横に並べたり、スコープン用のレベル4ディフォーマーを用意したり、リペアユニット用のコストを確保したりします。
とはいえそれ以外に効果は持たず、墓地を食うので展開中盤から終盤への橋渡し的存在です。
例によってターン1は無いので(ry

『D・スコープン』

チューナー・効果モンスター
星3/光属性/機械族/攻 800/守1400
(1):このカードは表示形式によって以下の効果を得る。
●攻撃表示:1ターンに1度、手札から「D(ディフォーマー)」と名のついたレベル4モンスター1体を特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
●守備表示:このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカードのレベルは4になる。 

ディフォーマーの展開要員。ハリファイバーで持ってこられる世にも珍しいレベル4チューナー。
モバホンと合わせてレベル5でライブラリアンになれるのも重要ですが、それより手札のレベル4ディフォーマーを展開できる効果が有能。
コイツがいないと基本展開に長けたカードが低レベルしか居ないディフォーマーは数体を並べるか、低レベルシンクロを何度も繰り返さないと高レベルシンクロにたどり着けません。リモコンやスマホンで確保したレベル4ディフォーマーを場に出してそのままレベル7以上のシンクロへと繋ぎます。

『ジャンクBOX』

通常魔法
(1):自分の墓地のレベル4以下の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

ディフォーマーの万能蘇生カードその1。ディフォーマーの動きとして、場で効果を使う→シンクロなどで墓地に送る→蘇生してもう一度効果を使うというのを何度も何度も繰り返すので万能蘇生カードは非常に重要。
ジャンクBOXは癖がなく、いつでも使いやすいが、ディフォーマーの名前を持ちません。

『D・リペア・ユニット』

装備魔法
(1):手札から「D(ディフォーマー)」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、自分の墓地に存在する「D(ディフォーマー)」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。
装備モンスターは表示形式を変更する事ができない。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、装備モンスターを破壊する。

ディフォーマーの万能蘇生カードその2。手札コストを要求されますが、装備魔法でかつディフォーマーの名前を持ちます。
スマホンとリモコンで稼いだアドはコイツとスコープンに吐き出します。
あと、実はコストにしたディフォーマーも蘇生できるので、墓地蘇生のみならず手札からの展開も可能です。ただし、墓地にディフォーマーが1枚も居ない時は発動すらできません。

テンプレ構築

以上6枚がディフォーマーの中核を成します。ぶっちゃけここまでで完成度高いのでそこまで手を加える余地はあまり無いんですよね。
デッキの基盤のテンプレはこのようになります。

テンプレと言えど枚数はかなり適当なので多少前後します。例えば、『ジャンクBOX』を脳死で3積みはしません。それと採用レベル4ディフォーマーは上の画像では適当です。枚数は3〜4枚でパッチン3枚採用が多いと思います。ここはレベル4のディフォーマーなら誰でも最低限役割を果たせるので好みが出る所。私はパッチン2ステープラン2です。
基盤6種類以外にほぼ確定で採用されるのは『ワン・フォー・ワン』と『機巧鳥-常世宇受賣長鳴』。『モバホン』のサーチ用です。

ここに『機械複製術』『シンクロキャンセル』『D・D・R』などをデッキの構築思想に応じて調整していって完成です。

中核となるカードと基本の構築がわかった所で強みと弱みについて触れていきましょう。

強み

デッキ全体としての強みはその異常とも言える展開力。場を何度となく埋め尽くして展開します。その展開力たるや、使い手すらどこまで展開できるか分かりません。

弱み

では、いよいよ弱みを挙げていきましょう

・事故率
『機械複製術』『シンクロキャンセル』『リペアユニット』『ジャンクBOX』と使用できる状況の限られるカードを大量に詰め込むので常に手札事故の危険と隣り合わせです。
龍亞の真似をして『パワー・ツール・ドラゴン』と装備魔法を入れたりするとそれはもう事故率がヤバいことになります。

・初動が弱い
サーチカードとなるスマホンリモコンは墓地を用意しないと動けません。では墓地肥やしが得意かというと全然そんなことはありません。基本モバホンスマホンリモコンでデッキから引っ張り出して来たモンスターを場や手札経由で墓地に送るしかないんですよね。
なので、サーチをたくさん持っていても初動で使えるサーチはテーマ外に頼るしかありません。

・構築が縛られる
モバホンスマホンの効果の都合上、デッキ内のカードのほとんどをディフォーマーで染める必要があります。
なのでモバホンのサーチや展開カード、妨害などを他テーマに頼るとしても頼り切るということができません。
そして汎用蘇生カードなどもバランスを調整しなくてはなりません。『ジャンクBOX』を脳死で3積みはしないとはそういうことです。
なので手札誘発などは灰流うらら3増G1墓穴の指名者2抹殺の指名者1ニビルや泡影など環境に合わせた抹殺用カードのみなんて構築も有り得る、というか大抵それに近い思想で構築を行うこととなります。ジャンドなどと同じ考え方ですね。
要するに、汎用カードを詰むスペースが限られるということです。

・運任せ
そこを施行回数で無理矢理突破するのもディフォーマーなのですが、妨害などを受けるとどうしても絶対にここはモバホンを通さなきゃならない時は出てきてしまうわけで誘発踏み潰して展開のスタートまで通したのにサイコロ失敗でゲームセットなんて普通にありえる訳ですね。
まぁそこがこのテーマの面白いところでもあるんですが。

・龍亞くんごっこが厳しい
最初の方で述べた通り、ディフォーマーはアニメテーマです。遊戯王の大きな目的の一つが『アニメみたいに戦いてぇ』にある以上、やはりディフォーマーで『パワー・ツール・ドラゴン』を使いたいというのはあるんじゃないでしょうか? 海馬デッキなのにブルーアイズ出せないのは悲しすぎるでしょう?
ですが、先に述べた通り、デッキをディフォーマー染めしたり、事故率を考えたりするとパワーツールを活躍させるための装備魔法は入んないんですよね。
そうなるとディフォーマーにおけるパワーツールの現状の役割ってあるとしたら、出てきて『リペアユニット』か『DDR』サーチしたら『クリスタルウィング』の素材ですからね。『クリスタルウィング』を『実質ライフストリームドラゴン』とか言うのも限度があります。

欲しかった強化内容

はい。というわけでここまで述べてきたことから、結局ディフォーマーに何が欲しいかをまとめていきます。

・レベル4非チューナーディフォーマー
現状、モバホンスマホンリモコンスコープンでデッキの基盤は出来てるので、弄るならレベル4の非チューナーディフォーマーしかありません。
今のレベル4ディフォーマーはみんな展開効果持っていないので、モバホンでめくれた時に展開がそこで止まります。
そこをなんとかしてほしいというのが全ディフォーマー使い共通の要望でしょう。最悪ここさえ何とかできれば他が全てゴミでも許されるレベル。

・初手から使えるディフォーマーサーチ
ディフォーマーのテーマ内で初手から使えるサーチが必要です。理由は事故率低減とデッキ内のディフォーマー比率を高めるため。

・アドを失わないデッキトップ固定
運任せな所の改善策。ただ、ディフォーマーは初手に余裕が一切無いので、デッキトップ固定をするためにアドを失うのは本末転倒。

・初手から使える墓地肥やし
スマホンリモコンの種を早めに用意するための使いやすい墓地肥やしが欲しいです。これも墓地肥やしのためにアド損するのは本末転倒。そんなら今まで通り場か手札経由で墓地に送りますよって話。

・ディフォーマーの名前持ちの妨害カード
デッキ内のディフォーマー比率を高めるため、ディフォーマーは誘発すら最低限にすることが多く、現環境では深刻な誘発不足に陥っています。今のデッキって、すげー回してワンキルできるってデッキより少ない枚数で回せて誘発積むスロットのあるデッキのが強いので。
つまり、ディフォーマーの名前持ちの手札誘発であったり、罠だったりの妨害カードがあると凄く助かるのです。

・ディフォーマーでパワーツールを出す意義
ここは若干ファン寄りの要望ですが、現状ディフォーマーでパワーツールかその関連モンスターを出す意義が無いのをなんとかして欲しいですね。
これについては楽に達成可能で単純にディフォーマーに装備魔法で実用的なカードを増やせばいいのです。
例えば、ディフォーマーに装備した時は自身をコストにした展開効果、パワーツール系統に装備した時は強化と妨害という風に効果が変わる装備魔法とするとどうでしょうか? ディフォーマーらしさを出しつつ、メインアタッカー兼制圧要員としてパワーツールを出す意義が生まれます。(実際、筆者は『パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン』を見た時にそれを期待しました。見事に裏切られたけど。)
もっと単純にするなら超強力な効果にする代わりに地属性シンクロしか出せない縛りという風にすればいいのです。

こんな所ですね。
さて、これで前提が出揃いましたので、いよいよ『輝石のデュエリスト編』で出てきた新規カードについて述べていきましょう。

2.本論

ではまずこれらのカードは貰えたのか、まとめていきましょう。

・レベル4非チューナー:無し
・初手サーチカード:有るけど事故率が上がる
・デッキトップ固定:有るけど弱いかほぼ意味がない
・初手墓地肥やし:無し
・名称持ち妨害:無し
・パワーツールとの連携:無し

ひどいなー。せめて一番上さえもらえりゃ文句は言わなかったものを。さぁ、一枚ずつ検討していきましょう。

『D・テレホン』

チューナー・効果モンスター
星1/地属性/機械族/攻 100/守 100
(1):このカードは表示形式によって以下の効果を得る。
●攻撃表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振る。自分は出た目の数×100LP回復する。その後、出た目の数以下のレベルを持つ「D(ディフォーマー)」モンスター1体を自分の墓地から選んで特殊召喚できる。
●守備表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振り、出た目の数だけ自分のデッキの上からカードをめくる。その中から「D(ディフォーマー)」カード1枚を選んで墓地へ送る事ができる。残りは好きな順番でデッキの上か下に戻す。

今回の新規の中でも最悪の物です、色んな意味で。いや効果は強いですよ?ある意味強いからこそ製作者の無理解が心に響くのです。
では一つずつ検討を加えていきましょう。テレホンはレベル1チューナーです。この時点でディフォーマーを分かってる人なら顔をしかめます。
現状のディフォーマーにおいてレベル1もチューナーも可能であれば入れなくないカードなんですよね。両方併せ持つとなると、もう、ね……。

たぶんモバホンテレホンに合わせて1にしたんだと思うけど、家の電話って手のひらサイズでも無いですし、持ち歩く人もいないからぶっちゃけレベル4とかでも一切違和感ないんですよ。でもレベル1にしたってことはたぶんこのカード作った人は電話を持ち歩いてるんだと思います。

閑話休題。まずレベル1の何がいけないのか、についてですね。このカード作った人は知らないのかもしれないですけど、シンクロ召喚ってレベルの足し算をして出すんですよ。そして大抵はレベルが上がるほど性能も上がります。

だからシンクロデッキってレベル3〜5のモンスターを主軸にして、レベル1は便利屋的な扱いのことが多いんです。1+1は2でしか無いから弱いカードしか出せないんですね。『フォーミュラ・シンクロン』など強いカードももちろんありますが、これで殴りかかる人は誰も居ません。その点、3+5や4+4は8。話がわかる奴だ。

では既存のディフォーマーデッキはどうか?モバホン3枚とスマホン3枚は確定で入ります。
この上でテレホン入れるとどうなるか?
ランク1デッキだったっけ?というくらいのレベル1モンスターが投入されますから「デッキは回ってるのにレベル1モンスターしか触れなくてフォーミュラ・シンクロンしか出せない事故」が発生するようになります。それとも製作者はブルーアイズ・アルティメット・フォーミュラ・シンクロンでも出すことを目論んでいた可能性が微粒子レベルで存在する……?

いやいや現実にはそんな事故存在しないじゃないかとおっしゃるかもしれません。その通りです。何故ならこの世にはリンクモンスターという便利なカードがありますから。でもこれって「シンクロ召喚なんてだっせーよな!リンク召喚しようぜ!」って言ってるのと同義です。そんなつもり一切無さそうなのが質が悪い。
はい、というわけで新生ディフォーマーの目指すべき展開は例えばこんな感じになります

少年よ、これが絶望だ。ターンエンド。

なんか装備したシンクロモンスターが居るから実質パワーツールドラゴン!ヨシ!
……本当にこれがディフォーマーの欲しかった盤面……?

まぁまぁ、それはちょっと過剰な例だったとしても、一応シンクロデッキとしての体裁は取り繕うとしましょう。そうなると使うべきはハリファイバーとアウローラドン、所謂ハリラドンです。自力での展開力は足りてるのに自力でのシンクロ召喚が難しくてハリラドンに頼るシンクロテーマなんて情けなくて泣けてきますが、仕方ない。ハリラドンを使うならようやくテレホン入りディフォーマーは生き生きと動き出すことになるでしょう。

では次です。何故チューナーだといけないのか。答えは簡単。チューナーの過積載だからです。これも製作者は知らないのかもしれませんが、一部例外を除き、シンクロ召喚にはチューナーとチューナーではないモンスターが必要です。

では、現状のディフォーマーでのチューナーとチューナー以外のモンスターの比率はどうでしょう?
モバホンスマホンリモコンスコープンの内、モバホンだけ非チューナーでスマホンリモコンスコープンはチューナーです。

そう、ディフォーマーというデッキは元々、シンクロ召喚軸で組もうとするとデッキのモンスターがチューナーばかりになるデッキなんです。だからみんな躍起になって初手はモバホンを探しに行くし、たとえ効果は使わなくてもレベル4非チューナーのディフォーマーってだけで採用を検討されるわけです。

ではこのパックでの新規ディフォーマーなんですけど、
テレホン(チューナー)
スキャナン(チューナー)
イヤホン(チューナーにもなれる)

マジか貴様ら。製作者はディフォーマーのレシピを見なかったのだと思います。だから、シンクロテーマだからと脳死で『アンパンマン!新しい顔よ!』とばかりに新規チューナーを投げつけたのでしょう。おかげでブルーアイズ・アルティメット・アンパンマンになりかけてる訳ですけど。

というわけで非チューナーの供給という意味でもとあるモンスターに頼ることになります。そうですね、アウローラドンです。アイエエエエエ!?元々ハリラドンしないという選択肢でも戦えたデッキが強化もらったらハリラドンに頼り切るデッキになってたナンデ?(やはりリンクに呑まれた方が楽なのでは?)

というわけでディフォーマーにおけるレベル1チューナーとはそれだけでどんな性能であっても悩ましい存在になることが確定する罪深いカードなんですよね。少なくとも「モバホンスマホンと同じ電話やしレベル1にしたろww」なんて理由でレベル1にしていいカードでないんです。レベル1にしなかったらループもしなかった訳ですし。

次は性能の検討に移りましょう。例のアレについても後で触れます。
まず、各効果を軽く見ましょう。攻撃表示時の効果は「墓地のモバホンを蘇生する」と書いてあります。いや、実際はそれよりやれることはかなり広いのでそれよりかなり強いですが。ノーコストで単純に場アド+1。気が狂わんほどに強いです。(だからこそレベル1チューナーで出したのが許されないのですけども。ちなみに本当に狂ってる効果なのですが、やはり後述)

特にディフォーマーにおいては「アクセルシンクロスターダスト」をエクストラから出せるモバホン蘇生札にできます。蘇生札の枚数についてデッキ全体の見直しすら可能かもしれません。

守備表示の効果も強い。デッキトップ操作のみならず、墓地を直接肥やしてくれます。すごいぞ!バッチリ需要を理解しているんだな!
ディフォーマーが墓地に居なくて爆死が割とよくあるディフォーマーにおいては本当に重要な効果です。墓地に1枚でもディフォーマー落ちてればリペアユニットやスマホンから強引にデッキ動かしに行けますからね。

てなわけで効果は本当に強いです。まぁここからが本題な訳ですが。

ここまでで展開途中に絡められれば劇的に強いことはわかりました。
でもディフォーマーに欲しいのは初動ですよね、現状でも回り始めたら好き放題できるわけで、それに入るまでの安定が欲しいわけです。そしてテレホンは初動にも使えます。ただし守備表示の効果です。

ん?攻撃表示の効果は初動には使えないのか?
はい。ディフォーマーは墓地肥やしが激烈に苦手です。令和の時代に墓地肥やししたいから裏守備セットして戦闘破壊を待つ選択肢が普通にあり得るデッキなんです。よってテレホンの攻撃表示効果が初動として使えるのは「ワンフォーワン」(制限)や「おろかな埋葬」(制限)なんかをセットで引いた時だけってことですね。確率が高くて涙がちょちょ切れるぜ。
ゲーマーがディフォーマーだったり、スキャナンが手札を捨ててだったりするならワンチャンあったと思うんですけどね、(活躍の機会を)潰し合ってる!

というわけで現実的な確率でテレホンの攻撃表示効果が初動になることは少ないと言わざるを得ないんですよね。

一方、守備表示の効果は初動で使いやすい効果になっています。無料で使える墓地肥やし。オマケにデッキトップまで操作してくれて、どうしょうもない時は仕切り直しもできます。ディフォーマー使いとしては正直喉から手が出るほど使いたい効果です。助かる…………ん?守備表示?

さて、どうやって初動でテレホンを守備表示で出すのでしょうか?アニメ5D'sなら表側守備で召喚できてましたけど、現実では表側守備での召喚はできません。

特殊召喚はどうでしょう。たとえば「ゲーマー」「ワンフォーワン」「機巧鳥」。なるほど確かに特殊召喚手段は豊富です。でもそいつら使えるなら健全なディフォーマーならモバホン呼びませんか?(例のアレはディフォーマーではないと定義します。詳しくは後述)

はい、というわけで守備表示の効果は初動に使いたいのに現実的な手法で初動には使えないことがわかりました。
では、展開途中に使うのはどうでしょうか。オススメできません。一度回りだしたなら墓地はいくらでも用意できるのでそのタイミングでの墓地肥やしはモバホンスマホンの命中率低下に繋がります。欲しいのは初動での墓地肥やしであって、途中で使える墓地肥やしではないんですよね。

デッキトップ操作だけでも使えるじゃないかとお思いかもしれませんが、モバホンテレホン並んでるのなら、テレホン攻撃表示効果でモバホン2回起動するほうが大抵の場合は期待値が高いです。まぁ、この一回だけはどうしても当てなきゃいけない、とか、ゴミが確定でデッキトップに乗ってる――どうしてそんな状況になるんでしょうね?()――とかの状況なら使えるんですけども。

というわけでこの守備表示の効果、こんなに強いこと書いてあるのにほぼインクの染みでしか無いんですよね。逆にすげぇな。ディフォーマーなら日常茶飯事と言われればそうですけど。
思うにこれ最初の段階では逆だったんじゃないですかね。攻撃表示の効果に守備的なライフ回復が付いてるのはその名残り、みたいな。

ではついに攻撃表示の効果の検討に移りましょう。諸悪の根源です。ディフォーマーの特性として初動としては使いにくい。ただし、展開の途中ででてくると展開がめちゃくちゃ楽になるって話は既にしましたが、大事なことを言ってませんでした。

一つ、運次第だと思われるが実はレベル1なら確実に出せる。←わかる。
二つ、効果に同名ターン制限が付いてない。←ディフォーマーだしわかる。
三つ、テレホンもレベル1。←ん?
四つ、同名カードを蘇生できる。←????????????? 

というわけでテレホンが2枚居ると無限に墓地からテレホンが湧いてくる無限ループが成立します。通称「テレホーダイ」。やばいですね。こんなの刷ったらMtgなら社長室呼び出しですよこんなん。

つまり、妨害受けずにテレホーダイ始まったらほぼゲームセットです。何がヤバいってこれテレホン以外のディフォーマー要らないんですよね。だからアレは【ディフォーマー】じゃなくて【テレホーダイ】なんですよ。テレホンはテレホン同士で蘇生するべきだと思うの。

ちなみにテレホーダイ自体はディフォーマーとの相性はそんなに良くないです。シンクロデッキでレベル1チューナーが無限湧きした所で活用の方法が無いんですよね。まぁ完全にリンクデッキにするなら話は別ですけど。

なのに今後、ディフォーマー使うのにテレホーダイ使わないのは舐めプ扱いになります。やってらんねぇ。

まとめると『D・テレホン』というカードは
「優秀な効果は持っているものの、レベル1チューナーという性能が良く無かったら射殺されるというくらいのステータスを持ち、効果のチグハグさでディフォーマーが本当に欲しかった初動にはなれず、単独で害悪ムーヴをした挙げ句、ディフォーマー全体に悪評をふっかけてくる奴」ということになります。
チームサティスファクション時代の鬼柳京介かよ。なるべく早めに制限になるの待ってます。

では、2枚目に行きましょう。

『ガジェット・ゲーマー』

効果モンスター
星3/地属性/機械族/攻 300/守 300
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから機械族・レベル1モンスター1体を手札に加える。
(2):このカードをリリースして発動できる。手札から「D(ディフォーマー)」モンスター1体を特殊召喚する。その後、手札・デッキから「ガジェット・トレーラー」1体を特殊召喚できる。

このカードは強いですね。欲しかった初動って感じです。文句は無いですね。

……なんて、言えたら良かったんですけどね。このカード自体は悪くない発想なんですけど、必要なテキストが無いのと、余計なテキストがあるのが辛いというカードですね。
まぁ、まずは効果の検証から入りましょう。

①の効果でレベル1機械族モンスターをサーチして、②の効果で展開するというカードデザインをしています。
つまりデッキのモバホンをサーチして特殊召喚できるってことですね。
モバホンを素引きしている時にもスマホンテレホンをサーチした上でモバホンを特殊召喚できるので腐りにくいというのも良いですね。
加えて、『ガジェット・トレーラー』をデッキから特殊召喚できるため、初動を上振れさせることができます。

とはいえガジェットトレーラーは事故要因にもなるので採用するかは半々ですね。一枚の重みはディフォーマーでは特に重いです。

さて、そろそろいいよね?
このカード最大の問題点は『ディフォーマー』扱いではないということです。確かに「ガジェット」はディフォーマーのサポートカードのカテゴリではありますが、そこを強化するの自体が意味がわからないです。「コンタクト融合」強化するのに『C(コクーン)』を強化し、「六武衆」強化するのに『シエン』を強化するという感じ。誰得誰望。

先述の通り、ディフォーマーはデッキ内のディフォーマーの比率が非常に重要なデッキです。ディフォーマー比率を高めるために汎用カードや手札誘発を減らす涙ぐましい努力をしています。つまり、「ガジェット」はデッキのコンセプト上、そもそも見事にアンチシナジーなんですよね。

まぁ最近はそれを解決する便利なテキストがあります。「このカードは『○○』としても扱う。」というテキストですね。これを付ければ「ガジェット」なんて採用の余地が無いなんて風評は払拭………………なんで持ってないんですか?

というかコイツ、ディフォーマーみたいに背後に変形前の姿、前面に変形後の姿が描いてあります。やっぱりディフォーマーだろコイツ。(※『ガジェット・ドライバー』などにも変型前は書いてあります。)

ちなみにディフォーマーならどうなるか。
初動になれる。その過程で墓地に行くので初動で使える墓地肥やし。モバホンでめくれたとしてもディフォーマーでは貴重な非チューナーですし、効果で手札のディフォーマーと入れ替わるので、展開続行できる可能性がある。
とかいうディフォーマーに欲しい物をほぼ全て持っているつよつよカードになります。別にこれでもディフォーマーでは強いというだけで壊れはしてないはずです。

ちなみにこのカードを見て欲しいのですが、

『機巧鳥-常世宇受賣長鳴』
効果モンスター
星2/光属性/機械族/攻 950/守 950
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドの攻撃力と守備力の数値が同じ機械族モンスター1体をリリースして発動できる。攻撃力と守備力の数値が同じで、リリースしたモンスターより低いレベルを持つ機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。裏側表示で除外されている自分のカードの中から、攻撃力と守備力の数値が同じ機械族モンスター1体を選んで手札に加える。

皆さん見たことあると思います。そうですね、さっきのテンプレ画像にも堂々3投してあります。

効果は『場のコイツをコストにデッキからモバホンを特殊召喚できる』、と書いてあります。あれ?ゲーマーくんと役割かぶってね?
実際の運用上は『強欲で貪欲な壺』と併用するなら『機巧鳥』、それ以外なら活用の幅が広い『ゲーマー』という風に優先されます。

しかしながらこの二つのカードって点数にするなら『機巧鳥』50点、『ゲーマー』56点とかいう違いでしかないんですよね(「ディフォーマーではない」だけで40点くらい減点食らってるんですけども)。基本的な役割はモバホンを持ってくることで変わらないですし。

つまり、こういうことも言えちゃいます。流石に意地悪な気はしますが。

『タッカーさん…「機巧鳥」をディフォーマーデッキから抜きたかったのはなんでだっけ?』
『ええと、ディフォーマーじゃないからだね』
『「ガジェット・ゲーマー」ってディフォーマー?』
『…ディフォーマーじゃないね』
『もうひとつ、質問していいかな……』

一応変化はあるけども

というわけでこのカード、ディフォーマーではない以上、果たす役割のほぼ変わらない『機巧鳥』のままでもほぼデッキの強さは変わりません。つまり、こんなに強いこと書いてあるのに、テーマ自体の強さにほぼ寄与できてないんですよね。製作者は『機巧鳥』を知らなかった可能性が微粒子レベルで……いや、『テレホン』のテキストのガバガバ具合を見る限り、結構な可能性でありそうです。

また、『ディフォーマー』ではない事よりは些細な問題点ですが、余計なテキストが書いてあるのもマイナス要素です。
②の効果に書いてある『ガジェット・トレーラー』の特殊召喚効果ですね。
いや、決まれば強いんですよ? ただ、これがあるせいで②の効果にうらら食らう可能性がでてきます。その場合はもちろん手札からの特殊召喚も止められますし、場にも何も残りません。良く『機巧鳥』を違ってうらら食らっても場が残るから優秀という声が見受けられますが、なんてことはありません。知っていればどっちも同じです。

というのも、ディフォーマーに詳しく無い人は恐らく①の効果にうらら当てたくなると思うんですけど、実はモバホンテレホン素引きなどその後リカバリで動けるルートはあります。ただ、②にうらら当てられるとその後動けるパターンはワンフォーワン素引きくらいしか無いんですよね。全部「ゲーマー」がディフォーマーじゃないせいなんですけど。

この効果を見る限り、恐らく製作者の意図した動きとしては、
ゲーマーnsゲーマー①efテレホンサーチ
ゲーマー②efテレホン守備表示ssトレーラーss
テレホンefデッキの上の方に居たモバホンを墓地へ
テレホントレーラーでPTDss
PTDefリペアユニットサーチ発動テレホン攻撃表示ssテレホンefモバホンss
モバホンefディフォーマーss
PTDテレホンモバホンでブレイバーss
という流れだったのでしょう。

だが、何度も言うようにディフォーマーは【テレホーダイ】でない限り、まず可能な限りモバホンを確保しに動くので、ゲーマーからテレホン自体「それやる?」って動きなんですけどね。

まとめると『ガジェット・トレーラー』というカードは
「本来96点を取りに行けるポテンシャルを持っているものの、ディフォーマーではないという理由で結局微妙な評価しか与えられなかった可哀想なカード」
といった所でしょうか。

次です。3枚目ですね。

『D・イヤホン』

シンクロ・効果モンスター
星4/地属性/機械族/攻1200/守1800
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをターン終了時までチューナーとして扱う。
(2):フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。自分のフィールド・墓地からこのカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。
(3):このカードを装備したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

ディフォーマー初のシンクロモンスターですね。レベルは4。モバホン+リモコンorスコープンで出せます。
元々、ディフォーマーにおいてはレベル4シンクロは展開の可能性からして入れなくてはならないカードではありましたが、確たる候補はなく、強化の方向性としては正しいと言えます。

効果を見ていきましょう。①の効果は場のモンスターのチューナー化。任意効果なので、実質的にはこのカードをシンクロチューナーとしても扱えるという意味でもあります。

②の効果と③の効果は連動していて、要は墓地からこのカードをシンクロモンスターに装備して2回攻撃を付与する物です。
特に『パワーツールブレイバードラゴン』との組み合わせを想定したカードでしょう。毎ターン供給されるコストになります。ちなみに『セリオンズ"キング"レギュラス』辺りとも相性はいいらしいですね、ウィキに書いてあります。

総合的に見ると、そういう装備魔法を必要とするデッキとのコンボで輝くカードでしょう。

さて、評価ですが、求めていた性能ではないものの、悪くないと言った所ですね。ちなみに良くもないです。

理由は2つあります。1つがコイツの効果はディフォーマーではそんなに活きないこと。もう1つが強力なライバルの存在です。では一つずつ検討していきましょう。

まず、コイツは非チューナーにもなれるチューナーですが、ディフォーマーは何度も言うようにチューナー過多なデッキなので、チューナー不足に陥るという危険はほぼ無いです。まぁ、チューナーにもなれる非チューナーと考えるのが得策か?

ちなみに、レベル4チューナーとのことですが、ディフォーマーの非チューナーレベル3に実用的なのが居ないので、パワーツールは出しにくいです。またレベル5も居ないのでパワーツールブレイバーも出しにくいです。何?何の素材になりに来たの君?

なので、幻獣機トークンとシンクロするか(またハリラドン頼りかよ)、レベル3チューナーとシンクロするようになる(結局イヤホンの効果使ってないじゃん!)と思います。

一応、モバホンを墓地に送りながらシンクロ召喚して自身をチューナー化、モバホンを蘇生して施行回数を稼ぎつつ、最低限次のシンクロ召喚を担保するという使い方はありますが、現代には「ハリファイバー」「リンクリボー」という便利なカードがありますので……。

あとはアレですね。「モバホン」をチューナー化してモバホンモバホンでフォーミュラシンクロン出してからシンクロキャンセルとか。決まったらめっちゃ気持ちよさそう。いや、どんな盤面だよ。

そもそもシンクロチューナーって出てきた瞬間にアド取るくらいしないと間に挟む意味無いんですよ。最初から3体素材でデカイの出せばいいんです。
コイツ自身はパワツ系列等と併用するなら最後アドになるんですけど、結局、ディフォーマーにパワツ系列入れる意味ができなかったので、こいつも同時に居場所無くしちゃうんですよね。

とはいえ、もう一つ意義はありますね。そう、シンクロモンスターを素材に要求するシンクロ召喚です。コイツはチューナーにも非チューナーにもなれるシンクロモンスターなので素材としては最高です。
ただ、ここにもディフォーマーだと出番は無いんですよね。ディフォーマーで使うのってシンクロモンスター要求だと「コズミック・ブレイザー・ドラゴン」か「クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン」なんですけど、
「コズブレ」は「ライブラリアン」+「チャンバライダー」or「ムサC」or「ナチュビ」+「フォーミュラ・シンクロン」で出しちゃうし、
「クリスタルウィング」作るにしても5+3とか7+1のが作りやすいんですよね。

というわけで①の効果はディフォーマーだとほぼ使わない実質フレーバーテキストです。非チューナーだったパワツがチューナーのライフストリームになるっていうのの再現。エモいなぁ。エモさで勝てたら苦労無いですけどね。

次に②と③の効果です。これはさっき言いましたね。ディフォーマーでパワツ系列で戦う意義が無いので死んでます。
一応、任意のシンクロモンスターに2回攻撃付与できますが、後述のレベル4シンクロを差し置いてまでやることかと言われると正直……。

ディフォーマーで使わないのなら活躍できる子なんで、ブレイバー共々専用デッキ組みたいですね。今は型を考案中です。

それで2つ目ですね。強力なライバルが出ちゃったんですよねー。
今までディフォーマーのレベル4シンクロ枠って安定しなかったんですよ。汎用性の「魔界闘士 バルムンク」、機械族「アームズ・エイド」、エクシーズメタ「古神クトグア」、嫌らしい動きの「古神ハストール」、脳筋「HSR 快刀乱破ズール」、妨害「虹光の宣告者」。

どれも一長一短でこれで決まり!ってのは居なかったんですが……。

話は変わりますけど、ディフォーマーで喜ばれるシンクロモンスターってどんなのでしょう?
そうですね、出た瞬間に仕事が終わる奴です。

何故か? ディフォーマーって世にも珍しい展開札として「シンクロキャンセル」を使うデッキだからです。
素材でアド取ってから、シンクロモンスターはとりあえず出しといてアド取って、「シンクロキャンセル」で素材に戻して素材で更にアドを取る。ディフォーマーの黄金パターンです。モバホンスマホンでフォーミュラシンクロン出してからキャンセルすると気が狂うほど気持ちがいい。

なのでシンクロモンスターも出すだけでアド取れる連中が選ばれやすいですね。『フォーミュラ・シンクロン』とか『スターダスト・チャージ・ウォリアー』とか『月華竜ブラックローズ』とか。でも、レベル4シンクロでそんな便利な奴いるわけ……。

『うきうきメルフィーズ』
シンクロ・効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻1500/守1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。
(2):相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した場合、またはこのカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された場合に発動できる。このカードを持ち主のEXデッキに戻す。その後、EXデッキから「メルフィー」Xモンスター1体を特殊召喚できる。

それが出ちゃったんですよね。しかも直前に。
返しにもなるし、一度出したスマホンを回収して出し直して効果再利用できるし、地属性だからナチュビの素材には問題無いし……。

一応『イヤホン』も出した時に効果発動するんですけど、ディフォーマーだといつ使うのってくらいの効果だし……。相手モンスターもチューナーにできるぜ!やったな!

まぁとはいえ『うきうき』と『イヤホン』どっちか選ぶ余地くらいはあると思います。なんだかんだディフォーマー名称持ちは強いし、墓地効果も使えれば強い。

まとめると『D・イヤホン』というカードは
「ディフォーマーなのにディフォーマーでは使えない効果ばかりで何なの君、といったカード。名前が『フルアームズ・エイド』とかだったら爆笑してたかもしれない」
といった所でしょうか。

では4枚目行きましょう。

『D・コンバートユニット』

通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドの機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの表示形式によって以下の効果を適用する。
●攻撃表示:対象のモンスターとはカード名が異なる「D(ディフォーマー)」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。その後、対象のモンスターを持ち主のデッキの一番上に戻す。
●守備表示:対象のモンスターを攻撃表示に変更し、手札からレベル4以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する。

待望の初動カードですね。場の機械族をコストにデッキからディフォーマーを特殊召喚できます。
呼んでくるモンスターはテレホーダイでない限りモバホンですね。そのままモバホンの効果を使えばコストにしたディフォーマーを場に呼び戻せるので実質ノーコストです。

やっと公式もディフォーマーに欲しい物を理解したようですね。言うことは何もありません。

……ほんとでござるかぁ?
このカードの問題点は唯一つ……。『11期にしてはカードパワーが低すぎる』それに尽きます。

まずはこのカードを初動に使う場合を考えてみましょう。
まず、守備表示時の効果は初動に使うには論外ですね。通常召喚したモンスターに対して攻撃表示時の効果を使うことになります。

適当なディフォーマーを通常召喚してこのカードを発動。モバホンを特殊召喚して場のディフォーマーをデッキトップへ。モバホン効果を使い、さっきトップに載せたディフォーマーを特殊召喚。

一見美しい流れに見えます。
これって「よく考えると召喚権を使って、墓地も肥やせないワンフォーワンじゃね?」という点に目を瞑れば。

この動きをするなら要するにテキストは
「ディフォーマーが場にいる時に発動可能。デッキからモバホンを効果を無効にして特殊召喚」
ってことですからね。
……それ強いか?『スプライト・スターター』が許されてる時代のカードパワーとは思えません。

いやいやいや待ちましょう。遊戯王wikiにも書いてあります、このカードは効果を使い終わったディフォーマーを一度デッキに戻してからモバホン経由で場に出し直して効果を再利用することができる、と。
なるほど。確かにそれでアドが取れればトントンでしょう。検証してみます。

スマホンリモコンテレホン:墓地が要るので初動では使えない。
スコープン:使いまわすほどの効果じゃないし、使い回すのは難しい。
モバホン:初動から使い回せる。

つまり、初動でモバホンをサーチするためのコストに最適なのはモバホンのようですね。この時点でなんかおかしくない?

もう一つおかしい点がありますね。
『対象のモンスターとはカード名が異なる「D(ディフォーマー)」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。』

はい、というわけでモバホンコストにモバホンは出せません。一体何を使いまわせって言ってるんだ……。

というわけでこのカードは初動で使う場合、「墓地を肥やせない、召喚権を使うワンフォーワン」だと言うことがわかりました。うーん、この時点で微妙臭すごい。

ところで「墓地を肥やせない、召喚権を使うワンフォーワン」と言いましたが、すみません。正しい表現ではありませんね。
正確に言うなら「ディフォーマーのレベル4以下のチューナーをコストに使うなら、墓地を肥やせない、召喚権を使うワンフォーワン」と言うのが正しいです。

じゃあそれ以外のカードをコストにするなら?
「墓地を肥やせない、召喚権を使う、デッキトップが確定でゴミになるワンフォーワン」ですね。随分と劣化したなぁ……。せめて手札もコストに使えるかデッキの下にも戻せるように気を使えば結果は違ったのかもしれませんが。

というわけでこのカード、一見強そうに見えますが、検証すればするほど弱くなっていく謎のカードなんですよね。初動にはなるけどさ。

では次に初動ではなく、展開を延ばすのに使うパターンですが、なんとこちらには使えます。スマホンテレホンリモコンを使い回せるようになるのが偉い。あとは使い終わったディフォーマーをモバホンに変えて施行回数増やしたり。
あと単純に手札にダブついたディフォーマーを展開しながら表示形式変更も偉いです。たとえばリペアユニットって手札のディフォーマー展開するのにも結構使うので、その役割を負えるのはいいですよね。

なのでスマホンでサーチして展開延ばすのに使うのなら良さそうです。どうしょうもない時は初動に使うって感じで。

……これを初動のつもりで作ったのなら果てしなくセンス無いですよね。たぶん初動のつもりで作ってるだろうけど。

まとめると『D・コンバートユニット』は
「ディフォーマーの特徴を活かそうとして何も活きなかった欠陥カード」
ですね。考えた末にクソカードしか出せないなら、何も考えず専用ワンフォーワンでも出せば良かった物を。

5枚目行きます

『命の奇跡』

装備魔法
地属性Sモンスターにのみ装備可能。
(1):装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時のみ、その相手モンスターの攻撃力は1500ダウンする。
(2):1ターンに1度、モンスターの表示形式が変更された場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。
(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合、自分フィールドの「パワー・ツール」Sモンスター1体をリリースして発動できる。EXデッキから「ライフ・ストリーム・ドラゴン」1体をS召喚扱いで特殊召喚する。

ぶっちゃけPTD系列の新規なんでディフォーマーにはほぼ何の関係も無いんですけど、それだと味気ないので論じていきましょう。ただし、あっさりめで行きます。

①の効果は戦闘する相手モンスターのデバフ。なんでバフじゃないんだと思いますが、恐らくは原作で『ライフストリーム』を対象に使われた『シンクロ・ビック・トルネード』(自分の場のシンクロモンスター1体の守備力分相手の攻撃力を下げる)の再現でしょう。
どうせならバフにしろと思いますが、一枚で1500はそれなりに大きいので及第点。

②の効果は場のモンスターの表示形式が変わった時に場のカード一枚を破壊できます。ディフォーマーは表示形式テーマなのにそんなに表示形式変えるカードに実用的なのが少ないので、このカードはそんなに有効活用できません。
というかコイツを有効活用できるのって『パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン』か『カラクリ』くらいなんですよね。
必然、このカードの主戦場もディフォーマーではなくカラクリです。

また、ブレイバーと組み合わせるにしても『ラプテノスの超魔剣』との併用前提になるでしょうね。このカードの除去のためにブレイバーの効果を使うのはもったいない気がします。

さて、③の効果ですね。フレーバーテキストです。そもそも『ライフストリーム』自体が出しても強くないんですよね、悲しいけど。それなのに『パワーツール』をリリースしてまで『ライフストリーム』出す意味ある?って話です。
そして、更にそもそも『ライフストリーム』出すためのコストが『パワーツール』ならこのカードの効果を起動するよりも、レベル1チューナー出すほうが遥かに簡単です。
『ブレイバー』なら簡単にこのカードを墓地に送れると言っても、どう考えても弱体化です。

せめて、この効果で出した『ライフストリームドラゴン』は破壊以外で場を離れないとかあれば話は違ったんですけどね。素『ライフストリーム』はちょっとね……。『ブラックフェザードラゴン』並に介護されるのなら話は変わるのになー。

これは言っても詮無きことですが、筆者なら
②の効果をフリチェで自分の場のモンスター1体と場のカード1枚を選択して破壊する効果にして、③に特殊召喚した『ライフストリーム』に墓地からこのカードを装備する
ってすると思います。
そうするとパワツに装備させて、相手のターンにパワツ対象にフリチェ除去をぶっ放しながらパワツの効果でこのカードを身代わりに③の効果を能動的に起動。そのまま場に出たライフストリームが墓地の装備魔法をコストに毎ターンフリチェ除去を撃ち続けるようになるので、立派にライフストリームに切り札として採用価値が出てくるんですよね。
……やめましょう、悲しくなるだけです。

まとめると『命の奇跡』は
「デッキを選べば活躍できるカード。ただしそれはディフォーマーではない。」
ですね。パワツ入りカラクリとか考案できそう。『カラクリ蝦蟇油』がちょうど装備魔法ですし。

いよいよ6枚目

『パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン』

シンクロ・効果モンスター
星9/地属性/機械族/攻2500/守2300
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から装備魔法カードを3枚まで選んでこのカードに装備する(同名カードは1枚まで)。
(2):自分・相手のメインフェイズに、このカードに装備されている自分フィールドの装備魔法カード1枚を墓地へ送り、フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの、表示形式を変更するか、効果をターン終了時まで無効にする。

文句無いですね。これが求めていたカードです。
脳筋気味に無理矢理殴りに行ったり、コントロール寄りの装備魔法を調達して制圧したり、そもそもコイツ自身が1妨害持っていたり、「アルティマヤ・ツィオルキン」で特殊召喚できたり、表示形式も変更してくれるのでディフォーマーの一員という自覚もあります。イラストも超カッコイイ。

でも、悲しいかな。ディフォーマーは一切コイツのこと見てないんですよね。「メタルシルバー・アーマー」とか「ラプテノスの超魔剣」とか「盗人の煙玉」とか「妖刀竹光」とか「アームド・チェンジャー」はディフォーマーにとっては事故札でしかありません。そこを埋めてくれる新規カードとかあると思っていた時期が私にもありました。

結局ディフォーマーとパワツ系列を繋ぐことが出来ていないので、残念ながら「入れる意味ある? そんなことよりサベージとかバロネス入れようぜ」で終わっちゃうんですよね。本当に不本意ながら。

まとめると『パワー・ツール・ブレイバー・ドラゴン』は
「専用デッキで活躍できるカード。それはディフォーマーでは無いけどね」
といった所ですね。どうしてこうなった。

ラスト行きましょう。真打登場。

『D・スキャナン』

特殊召喚・チューナー・効果モンスター
星6/地属性/機械族/攻1500/守 600
このカードは通常召喚できない。 手札から「D(ディフォーマー)」モンスター1体を除外した場合に特殊召喚できる。
(1):このカードは表示形式によって以下の効果を得る。
●攻撃表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。 デッキから「D(ディフォーマー)」魔法・罠カード1枚を手札に加える。 その後、手札を1枚選んでデッキの一番上に戻す。
●守備表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。 自分の墓地からレベル4以下の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を選んで手札に加える。 その後、手札を1枚選んでデッキの一番上に戻す。

全国のディフォーマー使いの希望を絶望に変えた一枚ですね。『デュエリストパックー絶望のデュエリスト編ー』好評発売中。

ひとまず先に効果を見ていきましょうか。
まずこのモンスターは特殊召喚モンスターです。召喚権を使わずに手札から特殊召喚できます。
自分の効果で特殊召喚できるディフォーマーは貴重です。スマホンが強いのも半分はそれが理由ですしね。

次に効果です。デッキからディフォーマー魔法罠をサーチするか、墓地のディフォーマーモンスターをサルベージするかを選択できます。いい効果ですね。特殊召喚モンスターなのでどっちかを自由に選べるというのも効いてます。

なんだスキャナンっていい奴じゃん!
そうですね、実際テキストには強いことしか書いてありません。じゃあ、より詳しく検証していきましょうか。

はじめにこのモンスター、チューナーですね。テレホンの所でも言いましたが、ディフォーマーに欲しいのは非チューナーです。ただでさえデッキに多過ぎるチューナーはもう要らないです。
それとレベル6。モンスターのディフォーマーを増やせとは言いましたが、誰も上級モンスターにしろとは言っていません。モバホンの効果で特殊召喚できないディフォーマーは例えディフォーマーの名前を持っていたとしてもディフォーマーでは無いんですよね。
合わせて、レベル6チューナーという設定も最悪ですね。まず、ディフォーマーに非チューナーレベル3は長い事入ってこないので、看板の『ブレイバー』にもつなげられませんし、モバホンとレベル7にしようにもモバホンからコイツは出せませんし、非チューナーレベル4と組み合わせようにも非チューナーレベル4に展開能力は無いので……。何を出すというんだろう……。

次にコイツの特殊召喚効果です。手札のディフォーマーモンスターを除外する必要があります。どうしたスキャナン!?何故ディフォーマーを除外する!
一応言っておきますけど、ディフォーマーって除外されたカードには基本触らないデッキです。リモコンを複製術して『虚空海竜リヴァイエール』をエクシーズして除外されたモンスターを帰還させたり、『D・D・R』を投入してパワツで適宜引っ張り出して使ったり、という時代は確かにありましたが、現在ではデッキスロットの消費を嫌ってあまり採用されてないはずです。

というか今回の新規って全般的に墓地肥やしを露骨に避けてるんですよね。テレホンの墓地肥やし効果は守備表示の効果だし、ゲーマーはディフォーマーではないし、他のカードもコストは基本除外かデッキトップ戻しです。極めてなにかディフォーマー使いに対する警戒を感じます。その警戒要る?

閑話休題。仮にこれが手札のディフォーマーモンスターを捨てて特殊召喚なら一応は使われる可能性はあったと思うんですよ、初手から使える墓地肥やし+初動サーチとして。何を警戒してるんだか良くわかりませんが、ここで警戒する意味は無いと思うんですがね。

さて、手札のディフォーマーを除外して特殊召喚はいいとしましょう。良くないけど。いよいよ効果を使います。
●攻撃表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。 デッキから「D(ディフォーマー)」魔法・罠カード1枚を手札に加える。 その後、手札を1枚選んでデッキの一番上に戻す。
●守備表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。 自分の墓地からレベル4以下の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を選んで手札に加える。 その後、手札を1枚選んでデッキの一番上に戻す。

なんで特殊召喚に手札コストがあんだよ
アド損はどうなってんだあと墓地肥やしは
他のテーマは上級モンスターを
平気で特殊召喚してサーチまでするじゃねえか
わかってんのか!?
「ディフォーマー」に望まれたのは
使いやすい初動と墓地肥やしだろうが
効果にも手札コスト取んのかよ!?
クソッタレ!

はい。効果使うのにも手札コストが必要です。しかもこっちも墓地肥やしはできません。
守備表示の効果から見ていきましょう。墓地からディフォーマーモンスターを回収して手札1枚をデッキトップに戻します。

ただね、墓地のディフォーマーを回収したいだけなら、

『D・リモコン』
●守備表示:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札から「D(ディフォーマー)」モンスター1体を選んで墓地へ送り、レベルがそのモンスターと同じとなる他の「D(ディフォーマー)」モンスター1体を自分の墓地から選んで手札に加える。 

手札コストは限定されますが、事故要因にならず、墓地の枚数も減らさないリモコンが居るんですよね。

なので、使うのならデッキトップを固定できる点を重視して使う事になります。例えばデッキ内のディフォーマーをほぼ撃ち尽くした時に、モバホンの効果で実質墓地蘇生にしたり、スマホンの効果を実質サルベージにできます。
単体で完結しねぇのかよ。やることが回りくどくないか?それ手札2枚使ってやることか?その役割要る?などなど言いたいことはありますが、実際できることってそれくらいですからね。

となると守備表示の効果は……。リモコンの守備表示の効果でもめったに使わないですから、まぁね……。

本命は攻撃表示の効果でしょう。
デッキから「ディフォーマー」魔法罠をサーチします。サーチできるのは結構種類がありますが、実用的なので言うと3枚ですね。
「D・スピードユニット」「D・リペアユニット」「D・コンバートユニット」です。1枚ずつ検討をしていきましょう。

まず最初は『D・スピードユニット』ですね。

『D・スピードユニット』
通常魔法
手札の「D(ディフォーマー)」と名のついたモンスター1体をデッキに戻してシャッフルする。その後、フィールド上のカード1枚を選択して破壊し、デッキからカードを1枚ドローする。

ディフォーマー専用の万能破壊+手札交換カードですね。実は近年ではあまり採用することは無いのですが、候補から外すわけにはいかないので挙げておきます。
効果自体は発動さえできればそう悪くはありません。単純な2:2交換ですし、手札交換で手札の質も上げられますし、ディフォーマーの苦手とするスキドレなどの対策にもなります。

じゃあこれを『D・スキャナン』で持ってくることを考えましょう。
必要なカードはまず『スキャナン』本体、スキャナンのコスト用のディフォーマー1体、スキャナンのコスト用のカード1枚、スピユニのコスト用のディフォーマー1体です。

うん。多くない?
ディフォーマー3体素引きして、追加コスト含めてカード4枚消費して得られるのは場の『スキャナン』と1枚破壊と1ドロー……。アドバンテージ交換的には4:3でそこまで損はしてないけど、今の時代って1枚が5枚とかになる時代なんで、そんなセコセコとしたアドバンテージの取り合いはしてないんですよね。というかそもそもアドバンテージ損してるし。これが7期のカードならともかく現代遊戯王でカード4枚使ってすることではないです。

というかディフォーマー3枚素引きの時点で確率低すぎて話になりません。担当者の方は遊戯王の初手を8枚くらいだと勘違いしていらっしゃる?教えてあげますけど5枚ですよ。

はい、というわけで『スキャナン』から『スピユニ』引っ張ってくるのは弱いです。残念。

次行きましょう!

『D・リペアユニット』
装備魔法
(1):手札から「D(ディフォーマー)」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、自分の墓地に存在する「D(ディフォーマー)」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。
装備モンスターは表示形式を変更する事ができない。このカードがフィールド上に存在しなくなった時、装備モンスターを破壊する。

こいつもディフォーマーを手札コストに要求してきますね。
というわけで、『スピユニ』と同じことが言えますが、こちらはより酷い条件に立たされます。

まず必要なカードは『スキャナン』、スキャナンのコスト用のディフォーマー、スキャナンのコスト用のカード、リペアユニットのコスト用のディフォーマーですね。

この4枚を使うと、なんと召喚権を残したまま場に2体のディフォーマーが並びます。その後、『悪いが、今のオレはそんな生ぬるい手は使わない』とか言いながら『E・HERO ネオス』をアドバンス召喚すると芸術点高いです。積極的に狙いましょう。

4期でもそんな動きは弱いんだよなぁ……。 

まぁ、こんな感じでただでさえ弱いのでやりたくない動きなんですけど、もう一つ致命的な欠陥があります。
先行1ターン目、手札には『スキャナン』含むディフォーマー3枚。チャンスですね。ディフォーマー1枚を除外して『スキャナン』を特殊召喚します。そのまま効果を起動、『リペアユニット』をサーチして適当なコストを払いましょう。

じゃあ続けて『リペアユニット』を発動……はできません。『リペアユニット』はコストにしたディフォーマーも蘇生できますが、墓地に最低限1枚ディフォーマーが居ないと空撃ち扱いで発動すらできないからです。再確認しますが、スキャナンの特殊召喚コストは除外なんで、今墓地に1枚もディフォーマーはいません。

いやぁ、色々と終わってますねぇ。頼まれたってそんな動きしないからセーフですけど。

はい最後行きましょう。

『D・コンバートユニット』
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドの機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの表示形式によって以下の効果を適用する。
●攻撃表示:対象のモンスターとはカード名が異なる「D(ディフォーマー)」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。その後、対象のモンスターを持ち主のデッキの一番上に戻す。
●守備表示:対象のモンスターを攻撃表示に変更し、手札からレベル4以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する。

『スキャナン』の攻撃表示効果でサーチしてくるので、必然的にこのカードも攻撃表示時の効果を使うことになります。

このカードはなんと手札コストにディフォーマーを要求してきません。感動ですね。『スキャナン』、スキャナンのコスト用のディフォーマー、スキャナンのコスト用のカードの3枚でサーチして発動までこぎつけられます!

さぁ、その結果は!?
場に『D・モバホン』1枚。以上です。

つまりは、『手札コストが1枚増えて、墓地肥やしも出来ないワンフォーワン』じゃな? 今回の新規、そんなんばっかか。
しかもデッキトップは『モバホン』では特殊召喚できない『スキャナン』とかいう名前のゴミです。サイコロ振って1が出たら泣くに泣けねぇ。

ちなみに『コンバートユニット』で特殊召喚をした時にデッキをシャッフルしてるので、『スキャナン』のコストで仕込んだカードはデッキの中に消えてます。さては意味ねぇな?

とはいえ、一番マシな動きができるのはこれです。他が酷すぎるだけ? そうとも言う。どう考えても手札3枚使ってやることではないんですよね。同じパックの新規カード同士でも連携が取れてない現実への理解に苦しみますが、現状これが最適解です。

さっきは『スキャナン』のコストでデッキトップに仕込んだカードは即シャッフルされちゃうから意味ないと書きましたが、正確には違いますね、『モバホン』と一緒に素引きした時には意味をなします。

ですが、そのために必要な手札は
『スキャナン』、『モバホン』、スキャナンのコスト用の『ディフォーマー』、スキャナンのコスト用の『ディフォーマー』です。どんな確率だよ。

これが初動でのお話です。次は展開途中で使う場合を考えます。ディフォーマーは上手く展開に入れれば引くほど手札が増えるので手札消費は少し気になる程度で済みます。

が、ディフォーマーって元々、回り始めると最近のデッキもドン引きなほど回るんです。このカード要る?

初動には手札食いすぎて使いにくいわ、中盤以降は役割無いわ、コイツ何のために生まれてきたんでしょうね。おまけに事故要因なんで積むかと言われると……うーん……そうねぇ……。まぁ、無いんじゃないかなって思います。

最後に同じパックで新規登場したカードを貼って終わりましょうか。

『アマゾネスの戦士長』
効果モンスター
星5/地属性/戦士族/攻1900/守 0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのモンスターが、存在しない場合または「アマゾネス」モンスターのみの場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「アマゾネス」魔法・罠カードまたは「融合」1枚を選んで自分フィールドにセットする。このターン、自分は「アマゾネス」モンスターでしか攻撃できない。

何なのこの格差は……。まぁ戦士長は戦士長で『叫声』サーチしてきてもそのターンで使えないなどの欠陥はありますが、それにしたって、同じパックのモンスターとは思えません。

まとめると『D・スキャナン』は
「書いてあることは強いのにコスト重すぎて、とても実戦投入できたもんじゃないカード」
という所ですね。

3.結論

はぁ、めっちゃ疲れた。気がつけば、27000字と少し。これで『デュエリストパックー輝石のデュエリスト編ー』で出てきたディフォーマーの新規カードは全て検討し終わりました。

総評でも書きましょうか?
『紙とインクの無駄』
一言でまとめるとこうなります。

色んな要因があったのでしょう。
ディフォーマーというデッキへの理解度の低さ、名称ターン1が無いカードの嵐によるソリティアへの恐怖、汎用性の高いカードではなくディフォーマーの独自性を強調していきたいという欲望……。
そこをなんとか解決するのがカードデザイナーだろうがと思うのですが、なんとかできなかったんでしょうね。新規カードの随所から不協和音しか感じません。

その結果が、求められるカードを一切もらえなかったディフォーマー使いの怨嗟の声と今なお大量に売れ残る『輝石のデュエリスト編』に結実しています。当然の結果と言えます。

まぁ、こうなってしまった以上、過去は変えられないので、ひとまずは『D・テレホン』を制限カードにするところから始めてもらいたいところですね。


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