見出し画像

動物と暮らすのは何のため?

何となく付けていたテレビから「175匹の動物と暮らすイケメン」というテロップが目に入り、何のことやらと気になり見ていると、アニマルハウスなる一軒家で様々な種の動物を飼っている若い男性のことでした。ググってみると、どうやら人気YouTuberだそうです。

正直な感想をツイートしてみたところ、僕のアカウントにしては多くの反響がありました。同じように感じた方も少なくないようです。

最も気になったのは、そんな彼に動物を引き取って欲しいという依頼が相次いでおり、番組の中では『動物保護団体』からの連絡で、貰い手が見つからない猫を引き取るという展開に。
一般的に保護犬、保護猫を引き取って家族になりたいという方からは行政や団体の『譲渡基準が厳しすぎる』とよく言われます。
ちなみに東京都の基準は下記の通りです。

・都内にお住まいで20歳以上60歳以下の方
・現在、犬や猫を飼育していない方
・家族に動物に対するアレルギーを持っている方がいない方
・飼うことを家族全員が賛成している方
・最期まで責任を持って飼い続けることができる方
・経済的、時間的に余裕がある方
・動物に不妊去勢手術による繁殖制限措置を確実に実施できる方
・集合住宅・賃貸住宅の場合は、規約等で動物の飼育が許されている方
・当センター主催の譲渡事前講習会を受講している方
参照 https://wannyan.metro.tokyo.lg.jp/center-kara/

個人的には、60歳以下という年齢制限や、動物を飼育していない等はケースバイケースかなと思う所ではありますが、譲渡した後の犬猫の幸せを考えると基準はあって然るべきでしょう。

少なくともテレビのケースでは、先住動物が100を超えるという点で、一般的な保護団体さんは譲渡しないでしょう。それでも、なおこの方に譲渡する理由は、団体の活動目的が『動物愛護』とは異なるのではないかと考えざるを得ません。

まずは保護頭数を減らしたいという理由が思い浮かびます。詳しく調べていませんが、番組に出てきた保護団体は施設を持っており、そこにはたくさんの猫が保護されている様でした。子猫なら飼い主が決まりやすいが、成猫は引き取り手がいないという話もしていました。確かに現実はその通りです。ただ一旦保護した限りは、将来に渡ってその猫たちの幸せ「アニマルウェルフェア」を考えて欲しいなと思います。

ただ一方で、シェルターを持つ保護団体などの第二種動物取扱業にも飼養管理基準が今年の6月から準用されます。つまり、『犬又は猫の飼養施設においては、飼養又は保管に従事する職員が飼養又は保管をする頭数の上限は、1 人 当 た り 猫 に つ い て は 3 0 頭とする』という基準を守らなければいけません。

近年、ブリーダーが基準に合う様にと犬の頭数を減らすため、保護団体などに引き取りの依頼をしているという話をよく聞きましたが、その受け皿になった保護団体も同じ努力をしなければならないとすると、譲渡基準を緩和し、引き取ってくれるのなら選んではいられない、という気持ちになっているのかもしれません。

あと、これは本当に何とかして欲しいのですが、テレビなど影響力のある媒体で保護活動を紹介する際は、出来るだけ信頼できる活動をしている団体や個人を選んでいただきたいです。もし私で役立つのであれば、紹介しますので。
もちろん人がやる活動ですから、100点満点の活動はあり得ません。私が良い活動をしていると思う団体でも、欠点は必ずあるでしょう。でも、その思いや実績を重視して見極めることは可能です。

一方で地に足のついた活動をしている団体ほど、取材に合わせて都合を調整したり、カメラの前で作り手が言って欲しいコメントをくれないという事もあるでしょう。知人などは保護した直後の様子を撮影したいのでカメラが行く日までシャンプーせずに待っていて欲しいと言われ、取材を断ったそうです。
つまりテレビに出ている団体は、そういった取材側の都合に合わせられるスタンスであるとも言えるでしょう。そうなると、その様な団体は少数派であり、もしかしたら動物の幸せよりも優先する何かがあるのでは?と勘繰りたくもなります。
もちろん媒体に出たり、様々な形で活動をアピールすることは啓発にも繋がるので、全面的に否定することは出来ないのですが。

さて、話を元に戻すと、175匹の動物を個人が飼うというのは、どういった理由なのでしょうか。彼の場合は一般的な多頭飼育とは異なり、やはりYouTuberとしての存在意義なのかなと思われます。もし彼がYouTuberとして動物を利用しているのなら、そこにいる動物たちが幸せなのか、アニマルウェルフェアが担保されているのかが、どうしても気になってしまいます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?