【メモ】RCTで得たデータを分析する際の分析方法についてメモ

・RCTデータであっても結局はDID分析などを実施。
・DID分析は

時点tにおける家の価格をYit,ごみ処理場に近ければ1、そうでなければ0を取る政策ダミーをTit、政策実施後(時点t=2)であれば1、そうでなければ0をとる時間ダミー変数AFTERiとそれらの交差工を使って重回帰モデル

Yit=β0 + β1・Ti + β2・AFTERi + β3(Ti×AFTERt)+β4・外的条件Ci+Uit

(田中隆一『計量経済学の第一歩』p219~p220)

これでβ3の交差項を見たい。(要は重回帰分析で、ダミー変数を定数項にも傾きXにも入れている交差項にしている形にすぎない。
この問題は処置のTを受けるかどうかを個人が決めるため、自己選択がはいってしまっているという点。ここに対しDIDでは外的条件C(学歴や職歴など)で統制することで、政策効果をみようというもの。
しかし、どれだけ外的条件Cの変数を入れていってもやっぱり統制しきれないものがある(やる気とか)ので限界がある。そこで、そうした自己選択問題を解決するための1つがRCTという解釈) 田中先生p220

Yit=a + b・TREit ・AFTERit + cTREit +dAFTERit+eXit + Fi +vit

Yitはアウトカム指標。TREitはトリートメントグループに1、コントロールグループに0をとるダミー変数。AFTERitはプログラム実施後に1、実施前に0を取るダミー変数。Xitはコントロール変数。Fitは固有効果。

■解釈
・Xit…グループと時点以外でアウトカムに影響を与える要因を統制。
・TREit…時点にかかわらず、グループ間で生じているアウトカムの差を統制
・AFTERit…グループに関わらず2時点間で生じている差を統制。
→そのため、グループによる差と、時点による差の両方によるアウトカムの差をTREit × AFTERit というダミー変数の交差項でとらえており、そのパラメータが平均処置効果ATEの推定値となる。つまりパラメータbは、「プログラム非対称者と比べて、対象者のアウトカムが2時点間でどの程度変化したかを示している」。

なお、固有効果Fiがふくまれるため、変量効果あるいは固定効果モデルで推定されることが一般的。
また、アウトカムは就業有無などダミー変数とすることも一般的で、プロビットモデルなどで推定する。
(山本勲『実証分析のための計量経済学』p197-p198

DID分析(差の差推定法、DD分析)は、クロスセクションでもOK?パネルデータでDIDというのもOK?その解はこれ↓

前節でみた政策評価方法としての「差の差推定法」は繰り返しクロスセクションデータを使う推定方法です。パネルデータというのは同じ人や同じ家計のクロスセクションデータですので、当然「差の差推定法」に使うこともできます。しかしながら、パネルデータが使えるときにはさらに良いことができます。一言でいうと、政策の効果を推定する際にパネルデータが使えるのであれば「個人特有で、時間を通じて不変な観測できない外的条件をすべて制御することが出来る」ということになります。
…略…
こうした個人特有の要因は個別効果(または固定効果)と呼ばれます。この個別効果は時間を通じて変化しない、個人iのありとあらゆるものを含みます。
(田中隆一『計量経済学の第一歩』p219~p220)

※RCTに関する分析方法のメモ

津川友介先生のブログ:実験(Experiment)と疑似実験(Quasi-experiment

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