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Lilium Anthems総集編サンプル

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百合小説短編26作、総ページ数900超え すべて百合はこの世の真理。百合以外入ってません。 いそがしい、でもたくさん百合を摂取したいあなたに 最大1作1時間以内で読み終わるサクッ…
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#小説

二十一作目 お雛様は窓際に 親子百合SS

「なつかしいなぁって思うよ。毎年毎年」 「うん?」 「お雛様の歌。幼稚園で恥ずかしい思いしたんだからね」 「あ、あはは……お内裏様がいないやつね」 「『おひなさまぁあーとおひなさまー♪』今考えると語呂めちゃくちゃだし」 「う」 「しかも窓際で日に当たりすぎて薄くなってる」 「う」 「私、幼稚園で『おひな』って呼ばれてたんだから」 「知ってるわ。あなた自分のこと『おひな、おかわりした!』って言ってたもの」 「へー。そうなんだ」 「今ではあなたをおひなって呼ぶ子はいないでしょうね

二十作目 睡蓮の彼女 pixivホラーコンテスト提出作品

「今日もきれいね」  ささやくように、彼女はシャッターを切った。  この自然公園には池があった。  毎年この季節になると睡蓮が咲く。 『ナイルの花嫁』  この庭園のメインスポットだ。  ここでは、清掃員をアルバイトで募集している。  今年は園芸学科に通う女が、それを担っていた。  さして忙しくもない日常。  その作業にも慣れ、退屈を感じ始めたところだった。  毎日このベンチに座る女がいた。  静かな朝日の中でどこかなつかしそうにほほえむ。  純白のワンピース姿。  心の中で「

十九作目 菓子と紅茶とモーツァルト 第四回百合文芸小説コンテスト応募作  一

一 舞姫 散乱する花々の上を、ひとりの女が踊る。  フィガロの結婚に合わせて、ファーストフラッシュの香りを振りまいて。  その姿は自由。身に纏う物もない、まるで月夜の妖精のよう。  白肌は暗闇の中でただ輝き。  月明かりがその純な桃色の女らしさを見せる。  足には赤い靴。  鮮血のような紅色は、乾いた花々を踏み荒らしていく。  それは私の記憶。過去の女たち。  無邪気な表情は、私に甘えていた頃のミルクの香りのする君と変わらない。  そう、あの頃の始まりの君と。  二 とあ

十七作目 初めては貴女と pixiv再録SS

「んー、女の子同士っていいねぇ」 「えっと……」 「冴子は嫌だった?」 「あのね。話を聞いて」 「冴子の指くに、くにって……」 「あのね、私たち。親子なのよ」 「うん。それで?」 「はぁ。もういいわ」 「んひひ。よくないと思うけどねん」 「不可抗力よ。私はあなたにだまされたの」 「次もだまされてくれる?」 「あなたがかわいくおねだりできればね」 「じゃあ大丈夫。冴子が私のどこを好きかは知ってるから」 「あっそ。それにしても随分と慣れてるのね」 「ううん。初めて」 「え?」 「

十五作目 おねぇはおばかだけど、かわいいよね。 実姉妹百合アンソロ② 

登場人物紹介 咲野 澪(20) 「ねぼうしたー! 結ー! ママー! たすけてー!」 お姉ちゃん。 一応本作の中心にいる人。1番振り回されてる人とも言う。 名前も見た目もクールなデキる女風のくせにすぐに心が折れる。 メンタルゆですぎたうどん、豆腐ですらない。 ママに甘やかされて育つ。さらに高卒最年少社員のため現在も絶賛甘やかされ中。 天真爛漫。よく言えば嫌味がない。ただあんまり頭も良くない。 当然(?)ママが好き。本人は恋人のように甘えているつもり。どう見ても赤ちゃん。 本編で

十四作目 聖なる夜はあなたと 母娘百合アンソロ④  

一 自己紹介    こんにちは。茅乃です。  私は『ちのちゃんねる』というチャンネルを運営しています。  一応有名ピンスタグラマーです(といってもピコピコ配信者的スタンスです)  私のジャンルは『アオハル系ママフレ』。  伝わらないと思うので詳しく説明すると。  アオハル系→青春を過ごす若者。  ママフレ→ママと仲がよすぎて友だちみたい。  といった感じです。ママと仲がいい、若い子の配信。ですね。  普段はSNSの投稿を作りながら動画を撮ったり、案件を回したり、スパチョをもら

十三作目 ユータラスのゆりかご 百合子作り世代継承作品集より

※この作品は一部、自我の境界線を失うような表現が含まれています。   また、抽象化された表現が続きます。   気分を悪くされる方はただちに読むのを辞めることをおすすめします。     一 安寧のなかで 温かいその空間の中で私は呼吸すらも剥奪された。  ただただ安らぎのゆりかごに抱かれる。  心臓の音、臍帯を通じてなにかが私の中に流れ込んでくる。  しかし、それを認識するにはあまりに安寧として。  息苦しい社会から切り離されて。  たくさんの私は今日もこのたゆたいのなか。

十二作目 マドンナリリーに捧ぐ 百合子作り世代継承作品集より

【庭白百合――ニワシロユリ――】  別名マドンナリリー。西洋の宗教画において聖母マリアの側に咲く白百合。  アヴェ・マリア、その祈りに添えられる純潔の象徴とされる花であり、ヨーロッパ原生。  日本国内における原初の野生種のひとつ。  現在ではテッポウユリに取って代わられているが。  原種はとある場所で保管されている。  そう。彼女たちのように……。  一 百合たちの円環 「瑠衣。つらくないですか?」 「体は重いよ。でも、それは月乃も同じでしょ」 「わたくしは、いいのです。で

十作目 みどりそーだと積乱雲 実姉妹百合アンソロより

「りこ、みどりそーだ」 『えっと、メロンソーダ?』 「む! みどりそーだ!」 「あ、すいません。メロンソーダで大丈夫です」  私の妹、莉子は少しおばかなのです。というよりは独特の表現をする子で。まだ小学生になりたてだからいいのですが。これから大きくなって。高校生になっても今みたいに、自分言葉で話していたら、なかなかにまずいと思うんです。  いまだって、店員さんを困らせていて。  私が説明しないと、ジュースひとつ頼めないのですから。 「はぁ……どこでそんな言葉を覚えたの」 「ね

九作目 ねこねこ姉妹 実姉妹百合アンソロ①

「「きて……?」」  私たちは、ふたり同時にそのセリフを言いました。  天国じゃなくてフツーに一階にいるお母さん。  どうして私たちをこんなふうに育てたのでしょう。 「まさか……」 「お姉ちゃんもネコなの……」 「にゃ、にゃん♪」 「はぁぁぁぁぁぁ……」 「ご、ごめんねぇ!」 「まぁ……いいけど……」 「うう……月奈ちゃん、そのボーイッシュでしょ。かっこいいし、女の子にモテモテだったから。お姉ちゃん、タチさんだと思ってて」 「そりゃぁ、レディファーストは大事にしてるよ。けど

八作目 十八回目の紫陽花の季節 実姉妹百合アンソロ①

「茉莉ちゃん。少しアンニュイな表情がほしいな」 「アンニュイってなに? わかんない」 「あ、うん。その表情、いい。そのまま、そのまま……」   【11回目の紫陽花の季節】    ささやくような小さな声で、私に指示を出す姉。  彼女は、とてもしとやかな人でした。容姿が整っていて、しかもそれでいて身なりには気を遣う。自分が被写体になればいいのにと思うくらいに美人なので聞いてみたのだけれど、本人曰く。 「モデルさんは、いつも撮られるためにきれいにしてくれるから。それなら私も」らしく

六作目 ラヴィアンローズ ラブホ百合アンソロ

一 鳴かぬなら鳴かせてあげる、せーんぱい 「にゃははー! しぇんぱぁい。おっぱいおっきー! むにむにぃ」 「ちょっと……飲み過ぎよっ!」 「にひひひひー。いいじゃらいれすかー。よってらいとしごとやってらんなひでしゅよ」 「はぁ……おもたっ……」  久々のラブホテル。名前をラヴィアンローズ。  女性専用、と書いてあっただけあって。  ギラギラした感じではなく、清潔感があって全体的にシンプルなデザインだわ。  背中に乗っているのは後輩の凜奈。たまたま近くで職場の飲み会があって、

五作目 お母さんと絵本を作る話 ​母娘百合アンソロ② 再録

 小さい頃に見た夢は、いつもあなたがいました。 「むかしむかし、あるところに……」  そんな優しい声から始まる、夢。  私は、人魚でした。  海のなか。魚、クジラ、海藻、貝、そしてお母さんといっしょに泳いでいました。  お母さんは、とてもきれいでした。ドレスのように長いヒレ。水の流れに寄りそう髪。  私の隣で泳いでいました。私も、一生懸命追いつこうとするのだけど、いつも、いっつもひとりぼっちになってしまいます。だから、私は探します。  時には、漁師に捕まることもありました。

二作目   その想いが罪だとしても

義母×娘×実母作品です #母娘百合 #親子百合 #義母百合 続きはこちらから 百合小説短編26作、総ページ数900超え すべて百合はこの世の真理。百合以外入ってません。 いそがしい、でもたくさん百合を摂取したいあなたに 最大1作1時間以内で読み終わるサクッと仕様 スキマ時間にぴったり ニッチにニッチを極めた豪華ラインナップ 実母×実娘、実娘×実母、実姉×実妹 母カノ×実娘×実母、異形化百合 etc… 百合の宝探し、収録話数26話 あなたの推しペアが必ず見つかる! こ