my little underground

1番苦手な作業と言っても過言ではないかも知れない。私は家具を組み立てるのが圧倒的に苦手だ。空間認識能力が皆無なのだろうか。取説の図解を見ても平気で間違える。これは流石に1人でいけるだろとかつて臨んだローテーブルの組み立て(部品6つくらい)すら机下の収納スペースの取り付け方を間違えた。

暫く前に届いたが手を付けられずにいた机(学習机とオフィスデスクの中間のようなやつ)に悪戦苦闘しながら、悲鳴をあげる腰をさすりながらそれでも計半日かけて完成した代物…その仕上がりに満足していた。

部屋の電気を消し机に突っ伏し音楽を爆音で流す。「ヘヘッ高校生の時みたいだ」当時よく聴いていた暗い音楽を思い出す。USグランジとかUKだったらモグワイとかレディへとかそれ以前のシューゲイザーだとか…pale saintsとslowdiveの1stが好きだった…。

「オリックスブルーウェーブ」と若気の至りにより割とデカく彫刻刀で刻まれた学習机は15歳を過ぎた頃には本来の機能を喪失し少年の現実逃避の為の(果ての)小宇宙となっていた。私はとにかく集中力が続かない。思い返すと勉強も進学校の圧倒的な強制力と生来の無駄な記憶力によってかろうじて成立していただけで、何かの病気なんじゃないかと思うほど集中力が継続しなかった。学習机にピットインすると、申し訳程度に単語帳を数ページめくり、後はひたすら音楽を聴いていた。

あれから20年近い時を経て、私の小さな地下帝国は、公然の秘密基地は、4.5畳のサービスルーム内に再び誕生した。生活に漂うのではない、BGMではない音楽…聴くという行為としての音楽…。目を閉じる。陶酔…。

しかし会社の人に「これ受からないと正直ヤバいよ」と言われた社内試験の日は刻一刻と近づいていたのだった。

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