never lose that feeling

安酒で薬とサプリメントを胃に流し込む。それが酩酊か睡眠かはわからないまま目が覚め、変わらない、少し温い地獄のような日を繰り返す。場所もわからないくせに、リセットボタンを探している。トップバリュの黄色の酒は、変な臭いがする。インダストリアルな味がする。美味しくはない。

高校生の頃、バンド組みたい…なんて思いながらもそんな友達はおらず外部で組む度胸ももちろんなく、ひたすら鬱屈としていた。毎週自転車圏内に3店舗あるブックオフに通うのが唯一の楽しみだった。そこでふと目にした「もう一回バンドやろうぜ」という文字列とパンクスらしき男のイラスト。確か30-35とご丁寧に対象年齢まで記載されていた気がする。気づけばその対象年齢の上限に近づいていた。

18歳から始めたバンドは、「もう一度」ではなくずっと続けていた。底意地でも「もしかしたら」なんて夢から醒めなかったわけでもなく、楽しかったからなのだが。

2年前に組んだバンドはLPを無事リリースすることが出来た。レコ発も盛況理に終えることが出来た。共演も、自分たちで組んでおいてアレだが、センスの塊で、血が沸騰しっぱなしだった。

ディスクユニオンの週間インディーズチャートでは何と1位だった。果たしてそれが何枚なのか、IMALUのシングルよりは売れたのだろうか(調べたらそれでも300枚は売れていた…!)。そんなことはどうでも良く、17の時に国立に住んでいた兄の家に遊びにいって、「そこ」に初めて足を踏み入れた時の感動と散財し過ぎて帰りの電車賃が足りなくなったことを思い出し、感傷的な気分になってしまった。ちなみに初めて買ったレコードはSwerveDriverの99th dreamで(その時は700円くらいだった!国内盤はおろかCDも群馬のブックオフではraiseを見つけるのが精いっぱいだった)これは自分でも渋いチョイスだと思っている。初めて買ったCDはポケットビスケッツのレッドエンジェルだということも併せて墓碑銘として刻んでおく。

利便性と没入がある種トレードオフの関係にあるストリーミング全盛期に、敢えてLPを出すということは「音楽を聴く」という行為の復権を旗印に掲げたレジスタンスのようだと思う。勿論CDでも良いのだけれど、ただリアクションの(買ってくれた人が何らかの形で言及する)確率はアナログの方が圧倒的に高い…気がする。引き合いに出すバンドを私が聴いたことがない例が散見されるが、それでもとても嬉しい。

改めて…なるべく客観的に聴いてみる。

18の時に初めてDish it outを聴いた、Horizontal holdを聴いた、she is beyond good and evilを聴いた…その時の得体の知れない形容し難い昂揚を思い出した。ということは、いいアルバムなんだろう。

来月は有難いことに大きなイベントに出る。それこそ、自分が聴いていたバンドと共演(というのは憚られるが)出来るなんて…という感慨もあるのだが、日本のポストロックのマスターピースとしてtoeの1stが挙げられるのは勿論異論はないが、パラダイムシフトはその前の末期reachによるweezerのI just threw out the love of my dreamsカバーだったんじゃないかという仮説は折に触れ主張している。3P3B周辺横浜メロコアシーンの人物相関図とその後のポストロックシーンの萌芽という考察、誰かにして欲しい。ちなみに私のフェイバリットはpopcatcher(というか“KNOW ONE'S STUFF”という5曲入りのオムニバス)だということも併せて記しておく。

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