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「ヘルスリテラシー向上」のための教育機会(実践②)

従業員の「ヘルスリテラシー」が低いことは、個人の健康だけではなく、職場や会社の健康や生産性に影響する。ヘルスリテラシーを強化する際には、WHOのレポートなど信頼できる情報を探し、自社への活用を吟味して、取り組むことが重要。

ヘルスリテラシーは「健康に関する基本的能力」といえる。WHOでは、「良好な健康状態の維持、増進のために必要となる情報にアクセスし、理解し、活用する個人の意欲や能力を決定づける認知と社会的スキル」と紹介している。最近では「健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、それによって、日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定したりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの」という定義もある。

「ヘルスプロモーション」とは、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と修正されている。

人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにしていく『能力』と捉えることができる。この能力を高めることへの支援が「健康教育」の大きな役割といえる。ヘルスプロモーションを「過程」ヘルスリテラシーを「能力」健康教育を「支援」と覚えておくとよい。

ヘルスリテラシーの要素分類としては

①質の高い健康情報を「入手」する能力

②その情報を目的に応じて偏見なく「理解・評価」する能力

③そしてそれらの情報を総合的に判断して有効に「活用」する能力

また、階層的に分類すると

機能的ヘルスリテラシー」(日常生活場面で有効に機能する読み書きの基本的な能力)

相互作用的ヘルスリテラシー」(様々な形のコミュニケーションによって情報を入手したり価値を引き出したりして、新しい情報を適用できる能力)

批判的ヘルスリテラシー」(情報を批判的に分析し、日常の事象や状況をより広範にコントロールするために活用できる能力)

特に批判的ヘルスリテラシーが重要で、パソコンやスマホで得る情報をそのまま受け止めるのではなく、「これって本当?」とまず疑問を持つような習慣を身に着けてもらうように支援していく必要がある。

ヘルスリテラシーの評価法 CCHL

簡易的に大枠を評価できるものが「CCHL」であり、5つの質問に答えるだけで、ヘルスリテラシーの十分・不十分さをある程度確認っできる。健康教育の導入時の状況把握や一定期間後の成果評価に活用が可能だ。

健康経営優良法人の認定基準項目として、「1年度に1回以上の健康をテーマとした従業員研修の実施」又は「月1回以上の健康をテーマとした情報提供」がある。

真に「健康経営」を意識して職場の健康度を増し、働きやすい職場に変え、結果的に職場の生産性を向上させていきたいのであれば、自発的、自主的な「健康行動」を促すことへの支援・対策が求められる。望ましい健康行動という答えを伝える(内容知)だけでなく、望ましい健康行動という答えの見つけ方(方法知)を支援することだ。さらには、様々な機会を活用していろいろな体験(もしくは疑似体験)をさせること(経験知)も大切になる。従業員にとっていかに「自分ごと化」していくことが重要だ。

ヘルスプロモーションは個人だけでなく、社会環境整備の重要性が示されている。健康行動を高める職場づくりをしていけるように支援することを目指すべきだ。

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