産業医との交流会

神應知道 (新町クリニック健康管理センター)

みなさん、こんにちは。いつもこの原稿をお読みいただき本当にありがとうございます。読者のみなさんは、原稿をお読みになってどんな感想を持っているのでしょうか?周りを気にしないさすがの私も少し気にしています(笑)。

さて、前回は、私が個人で、もしくはチームでどんな病気を減らす介入、元気を増やす介入をやっているかをタイトルに合わせ3つの邂逅を紹介させていただきました。

はじめて私の原稿を読む方のために、「トータリスト」とは、病気を減らし、元気を増やせる医療者と定義していますとお伝えしておきますね。

では、今回は青梅市での私の産業医としてのデビュー戦を紹介したいと思います。前回紹介させていただいた、母校1年生との邂逅があった翌日に新町クリニック春の恒例で第22回目になった「産業医との交流会」が行われました。この会は産業医を契約してくださっている各企業の担当者をご招待し、産業医2名から講演を行い、そのあとに懇親会を通して親交を深める会です。今回は例年とは異なり、私が新町クリニックの所長に就任して最初の会と言う事で師匠の石川雄一メソッドをたくさん盛り込みましたよ!

講演のタイトルは、「100年人生における健康を目指して~あなたにとって健康とは何ですか?~」でした。講演時間は40分!

まず、最初に、アンケート結果を示します(アンケート結果1、2)。講演会参加者90名のうち、アンケートを提出してくださった方が55名(61.1%)でした。

内容がわからなかった、ディスカッション形式が良くなかったといってくださる方もいて正直でありがたいなと感じました。雄一先生は常日頃全員良かったというのはちょっと問題があるよと言う事もおしゃっており、今回のアンケート結果はその意味では大成功と考えます。実際にやった感触としても皆さん盛り上がり、石川雄一メソッドに手ごたえを感じました。自由記載欄も大変参考になりました。とくに4人グループにしたのですが、会場の広さの問題で半分の人が講演を背を向けて聞くような配置にならざるを得ないと言うのが大反省点でした。今年度は夏の健康学習学会の2日目の午後のセッションのような感じでうまく配置できるように変更しました。

このアンケート結果に関して客観的に評価はできないのですが、主観的に悪くはないなと思われる方が多いと思いますので、実際どのようなことを気にしながらやったのか雄一先生の教えを織り交ぜながら共有してみたいと思います。

●オープニング

・会場30分前集合

座席でボーとしている人がいないように気を配って積極的に場づくりをしてほしいとスタッフにお願いをしました。

・座席

第21回までは自由席で、同僚同士が固まっていましたが、今回は受付でくじを引いてもらい4人1グループの座席についていただきました。参加者同士が顔見知りでなさそうなグループでは参加者同士をつないであげる仕掛けをし、まだ一人しかいないグループには私が話しかけてどんなことを期待しているかなど話しかけて場づくりに励みました。今までやったことがないことをスタッフに頼んだためか結局私一人があちこちいって話しているという感じになってしまいました。。。人が増えてくるとテーブルごとにワイワイと話すような雰囲気になり仕掛けとしては大成功だったと感じます。

・紹介から導入

このあと第1部の講演があり、その後私の出番になり、司会のスタッフから私の簡単な紹介が始まります。今だったら司会の方の紹介を「いやいやいや、ちょっと待ってください、○○さん」と遮って型にはまった紹介はさせないのでしょうが、その当時の私はそこまではできませんでしたが、座って紹介を受けるのではなく、紹介が始まった時に大きく反応するとその動きによってリラックスできるという教えに従い、立ち上がり、大きく頷くようにしました。そして、はじまりは、今回で言うと産業医という専門職の切り口から入るのではなく、人としてのつながりでいく。最近の話題で言うとこの原稿が読まれる頃にはネタとしては古くなりますがカーリング、フィギュアの話題から入ると共感ができると言う事でした。テレビ、歴史、地元ネタ、その日の受付の場面を話題、会場の中で出会った人の話、この場で起こった話を最初の導入で入れるといいとのことです。

・まずは心のドアを開けるために体を動かそう!

「まずは隣の人と向き合って挨拶してください。この人と隣だといやだなーという人は手上げてください。今だったら席替えができまーす」と始めるとだいたい笑いが出てきて場がほぐれます。その後は、会の始めは「どう思うか?」という開かれた質問ではなく、「Aですか?Bですか?」という閉じた質問で開始する。ということで今回は、「私の名前を読めた人は手を上げてくださーい!」と右手を上げて、「読めなかった人は手を上げてくださーい」と左手を上げました。この手を上げるときは、びしっと勢いよく元気に手を上げ、左右の動きをつけることが大事です!

会の前半は参加者が答えやすいために、事実に基づいたことを訊くのがポイントです。本論と全く関係ないことを訊くことで手を上げることで自己表現をする練習になります。これをはじめにやっておくと、思いをため過ぎず本音を語りやすい風土ができます。

●内容

1. 健康の定義とトータリスト、チームトータリストの想い

2. 100年人生について

3. あなたにとって健康とは何ですか?

4. 健康診断って本当に健康を診断しているのか?

5. 次回の健康診断でみなさんがやることは?

という5つのテーマを制限時間プラス5分で終えられたので、自分では十分納得です。一方的に知識を与える会ではなく、みんなで自分事として考えていただき、いろいろな意見から新たに自分を見直す機会になったと感じています。

●その後

この会で私が出会った方々の企業に産業医で行くようになり、その時の内容を実践しているのはご理解いただいているようです。昨年の講演時には強く言えませんでしたが、今年の講演では、私にとって産業医の仕事は、会社の職員が自分の会社に就職してよかったと思ってもらえるきっかけを作れることだと思っています。これを伝え、私の実際の行動を見てもらえば、雄一先生がいつもおっしゃるこちらの姿勢は伝わると強く感じる今日この頃です。

では、みなさん今月はこの辺で!また次回までごきげんよう!

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