衝撃的な研修会 ー 相手から学ぶ ー

健康支援BonAppetit 植村瑠美

先日、なんとも衝撃的な研修会へ参加してきました。あまりに衝撃的で、その研修会の翌日に会った人たちに、その衝撃ぶりを熱く語ってしまいました。

さて、何がそんなに衝撃的だったかというと…

その研修会は、管理栄養士・薬剤師・医療事務などが主な参加者でした。参加者の目的は、調剤薬局内で管理栄養士が患者の健康サポートに貢献するための組織や体制、マニュアル化、栄養相談スキル向上への育成方法を学び、各々が自社に導入して成果を上げること。主催は、この業界で最前をゆく会社でした。研修会の最後には、参加者同士で栄養相談の症例検討会を行うというプログラムが組まれていました。

この最後の症例検討会が目玉が飛び出るほどの衝撃だったのです。なぜなら、進行役の管理栄養士から熱く放たれるものは、“病気減らしこそが健康への道である。そのためには患者の生活の問題点を抽出し、改善することが必要であり、私たち専門家は患者を正しい道へと導いてあげなければならない”そう感じさせるものだったからです。健康学習に関わる方なら、このことに違和感をおぼえるかと思います。そして、その熱い思いが顕著に表れた表現が

「みなさん!アセスメント、つまり評価というのは“問題点の抽出”です。」

というものでした。栄養相談の上でのアセスメントは“問題点の抽出”であると断言されたのです。そして、その問題を解決するための目標を立てるのであると。私は目玉が飛び出るほど驚き、一緒に研修会へ参加した管理栄養士と顔を見合わせてしまいました。「評価は、良いところ・出来ていることも抽出するよね?それを伸ばす、継続することも大切だよね。」とお互いに確認し合いたくなるほど熱いメッセージは実に衝撃的でした。

さらに、配布された症例に対する栄養相談のポイントには、このように書かれていました。

● 医師からの指示が全く守られていない。

その点を強く批判せずに理解させて守らせるアドバイスができるか。

太字の部分は実際に強調されて記載されていました。 “強く”批判しないことが重要なのでしょうか?“強くは批判しないが、全く守れていないので守らせる”、つまりは相手を受け入れたふりをして、相手の生活を否定し、医療従事者の正論の枠の中におさめることを栄養相談の目的であると、主催者は推奨しているように私は感じとりました。

・これが一般的な栄養相談の現状なのだろうか?

・これを日々行う彼女らは何かの疑問を感じることないのだろうか?

健康学習にどっぷりとつかり、さらには健康学習学会のセッション「健康学習ベーシック」の構築のために改めて基礎を振り返っていたタイミングの私には不思議でたまりませんでした。

評価以外の項目でも「私たち専門家が教えてあげなきゃ、導いてあげなきゃ」という思いが強く伝わり、その責任感が強すぎる所以か自由度の低い症例検討会でした。

そして、「相手に教えてあげなきゃ」という責任感が強い彼女らは、セミナー進行の中でも、「参加者に教えてあげなきゃ」という思いが溢れているようでした。そのためか、“相手から学ぶ”という姿勢はあまり見られず、参加者からの質問や指摘に対して、対応ができないような場合は、適当な返事をして聞き流すような様子が見受けられました。指摘を取り入れることで、個人としても会社としても成長できるきっかけを逃しているように見受けられました。この様子を見ながら、いかに相手から学ぶ姿勢が大切なのか、知らないことを知らないと素直に言える大切さに改めて気づく時間となりました。

本来の目的とは異なるところで学びを深めた私は、アンケートに「アセスメントでは、出来ていること・良いところを見つけてアプローチすることも大切だと私は思います」と愛を込めて書き記してまいりました♪

きっと読み流されていることでしょうが。

自分がやっていることが100%正しいとは思いませんが、相手の思いを無視した栄養相談は、私には合わないな、相手の思いを考慮した栄養相談、かつ効果が生まれる支援ができるように、まだまだ学ぶ・経験することは多いと感じさせる時間となりました。さらに、終了後に研修会へ一緒に参加した管理栄養士と、どんな栄養相談がしたいのか、栄養士としてどのように地域に貢献したいのかなど熱く語りながら食事をしたことで、本来の目的とは異なる場面で非常に有意義な時間を過ごしてまいりました♪

そして、この研修会の翌日に参加したのが、健康学習学会の準備委員会。健康学習ベーシックのセッション仲間に、この研修会で感じた、私の違和感を聞いてもらってスッキリしたわけです♪

様々な手法や考え方がありますが、自分の感覚や相手から学ぶ姿勢を忘れずにまだまだ精進してまいります!

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