「大人の様な雰囲気で佇む無邪気な君へ」


海が茜色に染まる頃
鳥達は弧を描きながら旅路を急ぐ
焼き付けて行きたい
君が年をとっていく姿を
他の男の代わりでもいいからと伝えた
見つめ合って
来年の今頃は
違う街で
二人で笑っていたいって
望んだけど
海は闇に飲み込まれた
「君にはすぐに良い人が現れるよ」
って
子猫の様に見上げてきた
例えば明日、世界が終わるとしたら
僕は1秒でも君の命を繋ぎ止められる方法を
24時間考えていたい
そんな幕引きも有りさ
そう言って
見つめると
「抱きしめてあげる」
って
子供みたいな仕草で
両腕を拡げて
待ってくれていた
「ずっとこうしたかった」
それだけを告げ
暖かい夢から目を覚まし
君の髪を
唇に挟んだ
今までこんなに近くにいたのに
冬が終わる頃からは逢えなくなるんだね
クリスマスプレゼントに買った
被るブランケット
12月の終わりに渡したら
すぐに
時期外れになってしまうから
予定より早く渡すことにしたんだ
優しすぎる君が不幸にさえならなければいい
嘘をつけない君の為に出来ること
疲弊させることだけは
考えさせたくない
少しずつ育んできた
キュンっていう
気持ちは
かけがえない
かけがえのない
気持ちだから
少しずつ
鈍感にして行きたい
君の瞳の中から消える決意をした
僕はもうすぐ遠くの街に行きます
またゼロから沢山の人に会い
またゼロから沢山の物を集めて行きます
花占いで無責任に決めたこの道の先で
君のことを裏切らない様に
僕が憧れた世界から
掛け離れた
どこへ行っても
たいして
変わることのない
普遍的なこの世界で
涙が枯れるまで
泣いても叫んでも
助けてくれる者もいない
嘲笑う者しかいない

従属的な遠い世界で
少しずつ
あなたを思い出さない
自分を
作って行きます

幸せになってって
心から思ってるはずなのに
「僕もすぐに良い人を見つける」と
嘘が嫌いな君に
嘘が嫌いな僕は
愛の終わりに
君を苦しめるかも知れない
意地悪な嘘をついた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?