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武士道に生きた武人 平知盛

#武道に学ぶキャリア形成  6

#武士道に生きた武人にみるキャリア (生き方)

平知盛(たいらのとももり)は、平家の公達として落日を懸命に支え続けた武将であり、平清盛の四男です。彼は、清盛の死後、平家一門の軍事面でのリーダーと目され、勢力挽回に努めます。

しかし、残念ながら最後を迎える時が来ます。

源頼朝の名を受けて攻めあがってきた源義経に惨敗した一ノ谷の戦いにおいて、敗戦の平氏群の中にいた知盛は、海上の船に逃れます。この時浜辺では敵が取り残された彼の馬を捕まえようとしていました。これを見た味方が馬を射殺そうとすると、彼は、次のように言いました。

「誰のものになってもいいではないか、私の命を救ってくれた馬だ」と射殺そうとした仲間を止めたのだそうです。

勇猛果敢な武人でもあった平知盛ですが、武士の情けを知るやさしい一面も持ち合わせていました。

彼は壇ノ浦の戦いで平氏の敗北が決したとき、最後を悟り、淡々と死への準備にかかったと言います。武士にとって「縄目の恥ずかしめ」は死よりも恥となるから、敵の手を逃れて深く海に沈むために重りとしていかだを担いだとも、鎧を二着着たともいいます。

知盛は、最後に武士としての「名誉」を守るために全力で戦い、「見るべきほどの事は見つ」と最後の言葉を口にしたそうです(『平家物語』)。

※コトバンク解説「見るべきほどの事は見つ」 

自分の人生で、味わわなければならないものはすべて味わい尽くしたという、突き詰めた心境を表すことば。

参考: Wikipedia [平知盛]

 現代は、平知盛が生きた時代に比較して飛躍的に情報量が多くなっています。テレビやインターネットを介して、日々、平知盛の時代の一生分の情報量が、1日のうちで目耳に入ってくるような時代です。

私たちが、「自分の人生全て味わい尽くした」と言えるような心境になるのは、とても難しいことだと思いますが、目の前の出来事に全力で取り組み、自分の役割を全うしようと取り組む姿は、私たちが自分のキャリア(人生)を考える上で留意したいことではないでしょうか。

時代は違えど、自分の信じた本分を全うし、紆余曲折ありながら思い通りにいかないことがあっても、「自分は人生を精一杯、味わい尽くした」と思って最後を迎えられるような、そんな生き方を心掛けたいものです。

”自分の信じる本分”を見失った時、人は時として自分の進路に迷うことがあります。そんな迷えるクライアントの気持ちをお聞きして、その人がその人なりに、自分の本分(責務)、そして、自分らしくいられる生き方をサポートするのが、キャリアコンサルタントの役目なのでしょう。

そんなことを思いました。

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