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武士道に生きた武人 小宮山友晴

#武道に学ぶキャリア形成  10

上司から不当な扱いを受けて苦しんでいるとき、あなたなら、どうするでしょうか?さっさと見限り、別の仕事を探しますか?いつか見ていろっと、耐え忍び、巻き返しを図りますか?

悩めるサラリーマンに、小宮山友晴(こみやまともはる)のエピソードは、どのように映るのでしょうか。

もしかしたら、なにがしかの心の変化が生まれるかもしれないと思い、ここに紹介します。主君に殉じた心意気の素晴らしい武人として知られた人物です。

小宮山友晴 : 天正3年(1575年)の長篠の戦い以降、主君・武田勝頼の側近衆である秋山摂津守らと険悪で、長篠の戦いで敵前逃亡した武田信廉など御親類衆に対しても厳しい態度で臨み、時折非難したたという。長坂の讒言等もあり、勝頼からも疎まれ、蟄居させられたという。幕末の儒学者として有名な藤田東湖は、友晴のことを「天晴な男、武士の鑑、国史の精華」といってその忠臣ぶりを絶賛している。 by Wikipedia

小宮山友晴は使番十二人衆のひとりでしたが、誰が相手であろうと思ったことをズバズバいう性格が災いし、武田勝頼の側近たちから疎まれ、他の側近たちの讒言もあり、主君・武田勝頼から蟄居を命じられてしまいます(今の時代のサラリーマンと似てますね)。

いわれのない蟄居命令です(私なら納得できないところです)。

ところが、そんな彼は、1582年、織田信長の武田攻めにより、家臣の多くが逃亡し、窮地にあった武田勝頼を救いに参上するのです。武田勝頼の軍勢は多くの家臣が逃亡して残り僅か50名そこそこで、もう全滅寸前でした。

敵が包囲する中、蟄居中の小宮山友晴は、主君の一大事となんとか武田勝頼一行を見つけ出し、お供を願い出たのです。

 「押し籠めを破って馳せつけて参りましたが、われらが押し籠められましたのは、勝頓公のおめがねによってのこと。われらが最後のお供すると申しあげると、御主のおめがね違いになります。しかし、お供しなければ侍の道理に背きまする。われらはなにがなんでも、たってお供をしたいと思っております。」

Wikipediaの文章では、幕末の儒学者として有名な藤田東湖は、友晴のことを「天晴な男、武士の鑑、国史の精華」といってその忠臣ぶりを絶賛したと書かれています。

確かに忠臣ぶりは素晴らしいものがありますが、ピンチに現れ、言った言葉は、「あなたは見る目がなかったよね」という主君に対する非難の言葉でもありました。

その日のうちに最後の決戦「鳥居畑の戦い」となり、衆寡敵せず小宮山友晴は鳥居畑で討死を遂げ、武田勝頼らも田野で自刃したのでした。

■キャリコン視点のコメント

このエピソードは、武人の忠誠心を表すものとして褒めたたえられて紹介されることが多いですが、私の目線では異なります。

注目したひとつは、「あなたは見る目がなかったよね」と、自分の価値を見出せなかった主君への辛辣な反撃の言葉です。主流から外されても、腐ることなく、いつか見ていろ!っと自分の正義を貫く強さをここには見たような気がします

そして、もう一つは、時代の変化です。

今、働き方改革関連法により、サラリーマンの働き方は大きく変わろうとしています。

働く時間の長さで忠誠心や熱意を見せつけるといった「昭和・平成的価値観」は、もはや過去のものであり、主君とともに最後まで・・・という価値観は、必ずしも今の時代にそぐわないという事です。

キャリア理論を語るうえで、組織心理学者のエドガー・シャイン博士によって提唱された「キャリアアンカー」という考え方があります。

キャリアアンカーとは、仕事の経験を指す「キャリア」と、船の錨を指す「アンカー」を組み合わせた造語で、キャリアの選択や形成を行う際に譲れない価値観のことを指しています。

小宮山友晴の場合は、主君に最後まで忠誠をつくすことが、譲れない価値観だったのかもしれません。だとすれば、それはそれで幸せな一生であっただろうと思われます。事実、忠誠を尽くしたことにより、彼の家族はその後の時代でしっかりと生きる場をつかみ取っています。

今、上司から、あるいは会社から、不当な扱いを受けていると感じているあなたなら、どうしますか?

いつか見ておれ!っと、耐え忍び、ここぞのチャンスに復活する道もあるでしょう。さっさと見切りをつけて別の仕事に就くこともあるでしょう。

そんな時に、大切なものが、譲れない価値観です。

とはいえ、なかなか自分で、自分の譲れない価値観を把握するのは難しいものです。キャリアコンサルタントは、あなたの経験をお聞きする中で、あなが大切にしている自分自身の譲れない価値観に気が付いていただく、「お話をお伺いするプロ」です。

キャリアとは、何も仕事に限ったことではありません、キャリア(人生)の岐路に立った時、自分が何を大切にしたらよいのかわからなくなったとき、「話を聞くプロ」であるキャリアコンサルタントに、何でもいいからお話をしてみるということも、自分を見つめ直すうえでお役に立てると思います。

キャリアコンサルタントとお話しすることで、自分の価値観を整理してみませんか?


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