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経営分析(収益性)

おはようございます。中小企業診断士のけんけんです。

今日は事例4について考えていきましょう。事例4は答えがはっきりしている分対策は立てやすいと思います。

しかし、事例4で受験生の皆様が全て高得点を取れるわけではありません。

その点については、計算問題対策とはまた別の対策が必要になります。しかし初学者の方は基本的な計算問題を解けるようにしないとスタートラインに並ぶ事は出来ません。

まずは経営分析について今日は見ていきましょう。平成30年事例4で考えていきましょう。


第1問です。

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財務諸表はこちらになります。

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 設問1で聞かれている事は何ですか?

同業他社比較です。優れている指標を1つ、課題となる指標を2つ答える必要があります。

皆様はどう考えるでしょうか?

まずはP/L(損益計算書)を見ていきましょう。

 

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経営分析は出題者からのメッセージを読み取る事が大切です。 

損益計算書で使う指標は私は3つと決めていました。

売上高総利益率

売上高営業利益率

売上高経常利益率

売上高対販売管理比率とか使っても良いと思いますけれども、受験生の大半が上記の比率を使うので敢えてそこで違う比率を使う必要もないかな・・・と個人的には思っています。

損益計算書で私は営業外費用をまず見ます。営業外費用には支払利息が含まれます。

負債を大きい事を出題者が解答として指摘させたい場合は当然支払利息を大きくしないと成り立ちません。

営業外費用が同業他社より低いので、作問者のメッセージは無いと思います。その時点で「売上高経常利益率」を選ぶ優先順位は低くなります。

次に損益計算書を上から順番に見ていきます。まずは売上は同業他社より小さいです。売上<同業他社です。

売上総利益も同業他社より大きいです。売上総利益>同業他社です。
営業利益は同業他社より小さいです。営業利益<同業他社です。

不等号(><)に着目して下さいね。これは明らかに出題者からのサインです。

ここで収益性の指標の解答候補として、次のように考える事が出来ます。

良い指標の場合→売上高総利益率
悪い指標の場合→売上高営業利益率

  ここで与件文を確認します。

通常の私のプロセスでは「財務諸表を確認→与件文で確認」するプロセスを取ります。

これは先日書いた図表対策と同じプロセスです。しかし、財務諸表の計算は極力しません。なるべく電卓を使う回数を最小限にする事を目指していました。

でもこの事例は与件文にヒントが少ないのです・・・。

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 労働集約的だから人件費がかかってるんでしょうね。でもヒントはこれ位しか与件文には無いです・・・。
与件にヒントが少ない分だけ財務諸表に強烈なヒントを与えるしかない訳です。これを踏まえて「販売費及び一般管理費」を見ると同業他社の3倍弱多い数値が書かれています。

これは売上高営業利益率は完全に悪そうですね。

売上高総利益率は与件に目立ったヒントはありません。この時点では保留という事で。

ここで収益性を見る指標のポイント

①売上高総利益率

・商品(サービス)自体の付加価値を図る指標。
・売上高と売上原価の関係なので、出題者は売上高、売上原価にメッセージを込めてくる。

売上の観点・・・与件文に商品(サービス)の評価が高い記載があれば売上高総利益率の可能性大。商品(サービス)も市場から評価されていれば高価格で売れるで利益率も高い。
売上原価の観点・・・商品を安く仕入れるか、安く作れれば当然利益率も高くなる。
収益性の解答では登場率は高い(個人的感想)

②売上高営業利益率

・事業自体の収益性を評価する指標
・売上高と営業利益の関係。売上高と営業利益の間に存在するコストは「売上原価」と「販売費及び一般管理費」です。
・「売上原価」が大きいとメッセージを込めると売上高総利益率が悪い指標になってしまいます。よって出題者は「販売費及び一般管理費」にメッセージを込めます。

いわゆるコストが高い企業になります。

③売上高経常利益率

・銀行借入などの営業外活動を含めた収益性を評価する指標
・売上高と経常利益の関係。売上高と経常利益の間に存在するコストは「売上原価」「販売費及び一般管理費」「営業外利益」「営業外費用」です。

「売上原価」にメッセージを込めると売上総利益率、「販売費及び一般管理費」にメッセージを込めると売上高営業利益率になるので、作問者は「営業外費用」にメッセージを込めます。

「借入が多い=支払利息が大きい=営業外費用が大きい」という事になります。

今日は収益性を説明しました。

なお本ブログ掲載した試験問題は一般社団法人中小企業診断協会HPから引用しております。


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