パジトノフ作品を久々にプレイ

アレクセイ・パジトノフの最新作(と言っても3年前の作品)がiOSで出てることを今さら知り、遊んでみた。完全思考型パズルゲーム『Marbly』。ビー玉を移動させて同色を並べて消す。いわゆるマッチ3パズルと一緒で、移動の結果消せる場合でないと移動自体ができない。

最終的にすべてのビー玉を消せばクリア、消せなければ手詰まりという詰めパズル。強いインパクトはないけれど面白い。自分が知る限りクローンを見たことないのだけど、単にあまり人気が無いからなのか、それともパジトノフに敬意を表して(!)なのか。まあ、自分が知ってるゲームの範囲なんて、本当に全体のごく一部でしかないのだけど。

パジトノフ作品というとハットリスが出たときのことが忘れられなくて、実際に遊ぶとすごく面白いのに、当時は「テトリスの次が帽子でハットリスって(笑)」という感じで、多くの人がけっこう軽く見ていた覚えがある。まあ、たしかにビジュアルだけ見るとギャグみたいではあったけれど。

当時は「遊べばちゃんと独創的な攻略性があって面白いのにみんなひどい!」って嘆いていたんだけど、今ならもうちょっと適切な言い方ができる気がする。ハットリスの凄みって、この手のパズルでは外せない「グリッドの概念(整然とした縦横の升目)」をすっ飛ばしたところにあると思うんですね。

ハットリスは帽子を積み上げて並べて消していく遊びなのだけど、帽子の種類によって重ねたときの高さが変わる。だから、上下方向に関してはグリッドが崩れる。これによってどの種類の帽子をどこに置くかで先の展開が変わってくるので、そこが重要な攻略要素になってくる。

僕自身過去に作った落ちものパズルもそうだし、その後のいろいろな落ちものパズルやマッチ3パズルでも、どれもグリッドの呪縛から抜け出すことができていないのに(まったく別系統のパズルは別として。物理演算系とか)、彼はテトリスの直後にそれを成し遂げた。

パジトノフは、グリッドを崩すことについて明らかに自覚的だった。それがどんな新しいゲーム性を生み出すかはっきり分かった上で、それを軸に据えてゲームデザインしていた。テトリスの作者のプライドにかけて考えたとも言える着眼点だった。

余談だけど、パジトノフが同時期に制作したナイトムーブも、やっぱり他と発想が全然違っていて当時唸らされた。テトリスもそうなのだけど、時間の概念の捉え方や、勝敗のルールの考え方が多くのゲームと全然違っていた。

こういう発想をもっと大切にしないとと思う。

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