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ダラムサラパーマカルチャーツアーday 3

Day 3
Orientation about Dharamsala project.
Lecture from Shimpei Murakami about the eco-system, sustainability and permaculture.
ダラムサラプロジェクトのビジョンとこれまで、これから。

村上真平さんによる講義。真に持続可能とはなにか?

私たちの命を支えるシステム、そしてパーマカルチャー

村上新平 自然農業の哲学について
農業そのものが、全ての生き物にとっての基である自然に対して破壊的な形態であることを知った とき、私の農業に対する考えは完全に変わった。それは 1982 年、熱帯の気候における農業を始めて 経験した、インドのビハール州にいたときだった。そのときまで、私の関心は、どうしたら有機的な 方法で最大の生産が得られるかということにあった。当時、私は農民で、20 年にわたって農薬を使 わないで有機農業を実践してきた父の農園で働いていた。しかし、農業そのものが自然に対して破滅 的でありうると知ったとき以来、私の関心は、どのような農業が自然を壊さずに、効果的で最適の生 産をもたらすことができるのか、ということに変わっていった。
1985 年、私はシャプラニールという、農村地域開発の分野で活動している日本のNGOで働くた めにバングラデシュへやって来た。そして、バングラデシュの農業や村の生活など、農民の状況を知 ることになった。1988 年 4 月、「生態系に適合する(エコロジカル)農業」の顧問としてプロシッカ に関わることになった。プロシッカは農村開発の環境的側面に関心を持つ、数少ないバングラデシュ のNGOのひとつで、バングラデシュに有機農業を紹介しようと試みていた。そのとき以来、私はプ ロシッカのモデル農場において「生態系に適合する農業」の実践にかかわり、農業普及員たちにトレ ーニングを行ってきた。
プロシッカでの 3 年間の実践経験と、合計 6 年におよぶ熱帯農業の観察を通して、私は非常に興 味深い、そして重要なことに気づかされた。それは、「自然の法則に沿った農業活動は、土壌の肥沃 度と生態系のバランスを急速に回復し、結果として十分で持続的な生産性をもたらす。しかし、農薬、 化学肥料を用いる農業など、自然の法則に反する農業活動は、土壌と生態系のバランスを急速に劣化 させ、結果として生産の低下をもたらす」ということである。
熱帯では、自然の回復も劣化も、温帯に比べて急速に起る。日本や他の温帯ではおよそ 50 年前に 農薬を使いはじめている。そして、使用しはじめてから 30 年後に、農薬に関連する有害な反応や深 刻な問題が現れはじめた。一方、熱帯に属するバングラデシュでは、有害な反応や問題が現れるの に、10 年から 15 年しかかかっていない。さらに、洪水地帯ではない高地では、これらの問題が 5 年から 7 年という短期間に現れるという。
以上の理由から、私は、熱帯においてこそ「生態系に適合する農業」の実践が緊急に必要とされて いると思っている。急がなければ、微妙にバランスを保ってきた熱帯の生態系は、自然の法則に反す る農業活動によってすっかり破壊されてしまうだろう。
この本は、2つの目的を意図して書いた。ひとつは、自然の視点から考察したとき、「農業とはい ったいなにか」ということを理解できるよう、自然の法則に関するいくつかの基本的な考え方を説明 した簡単な手引きを書くことである。もうひとつは、バングラデシュという熱帯の環境下での、「生 態系に適合した農業」の実践における私の経験を伝えることである。この本、『自然から学ぶ』の中 で、私は読者が理解し易いよう、できるだけ具体的に事象を説明し、両方の目的を満たすことができ るよう、心がけた。 この本では、農業を理解するのに必要な、基本的な情報だけを扱っている。基 本を理解することがたいせつなので、細かい技術にあまり立ち入らなかった。基本が理解できれば、

それぞれ固有の環境において、それぞれが自分自身の知識や技術を発展させ、応用することができる。 農業は決して適量の化学肥料と農薬を使うという単純なことに集約されるものではない。正しい農業 の在り方は、もっと複雑で多様なものである。農業に出来合いの解答は存在しない。基本にのっとっ た柔軟性と想像力が、農業の真の発展には必要不可欠である。
私がこのようにして「生態系に適合する農業」に関して実践、考察を深めることに影響を与えた 2 人の人物がいる。その 1 人は、1971 年から日本で有機農業を実践していた私の父である。「農業の目 的は人々の健康のために食料を生産することであり、農民の経済的利益のために農薬で汚染された食 料を生産することではない」という、父の簡潔ではあるが確固とした考えによって、私は「生態系に 適合する農業」への取り組みを動機づけられた。父は、どんな作物も農薬や化学肥料なしで立派に育 ちうるのであり、これらの化学的なものを農耕から排除しても構わないということを、実践によって 証明し、私に示してくれた。
もう 1 人、『わら一本の革命』の著者であり、自然農法の実践化である福岡正信氏は、農業におけ る私の師である。「自然は完全だ」と彼は言う。自然の営みを妨害し、問題を引き起こしているのは 人間である。人間はその生じた問題を克服しようと一生懸命働くが、問題はさらに悪化する。耕作地 の土は、農民によって耕され、肥料を与えられるが、固くて栄養分が少ない。それに比べ、耕された り肥料を施されたりしない自然林の土は、やわらかくて栄養分も豊富である。なぜであろうか。それ は人が自然を理解していないからである。
「自然のなすがままにさせよ」。この考えに基づいて、福岡氏は「無作為の農業」として知られる、 不耕起、無肥料、無除草、無農薬の、自然農法の手法を発展させた。その結果として、福岡氏は日本 の平均以上の米の収量をあげ続けた。自然に対する単純ではあるが根本的で深遠な考え方と、信念に 基づいた福岡氏の理論と実践に、私は大きな影響をうけた。
今日、環境問題(生態系の劣化)は、地球規模でも地域レベルでも非常に深刻になってきている。 環境問題は、大きくは 2 つに分けられる。1 つは、産業化といわゆる近代技術によって引き起こされ た、オゾン層の破壊、温暖化、化学物質や核物質による汚染といったものである。そしてもう 1 つは、 自然に反する農業活動によって引き起こされている、森林破壊、土壌流失、洪水、干ばつ、砂漠化な どである。
これら 2 つに共通な点は、環境問題は自然には起こらなかった、人間が起こしたということである。 従って、技術を自然に反するものから自然に適合するものに変えるだけではまだ不十分で、私たちは 自然に対する態度を、「人間のための自然」から「自然のための人間」へと変えなくてはならない。 この視点において、「生態系に適合する農業」は、技術として概念として、農業・環境問題の根本的 な解決へ向けての、本質的な取り組みの 1 つであるということができる。
自然から学び、自然の中にいる幸せを感じる感覚を取り戻し、実践を通じてその感覚を発達させる ことが、人間にとって最も大切なことだと、信じている。
「さあ、自然から学ぼう」

村上真平
1991 年 5 月、バングラデシュにて

Lessons from Nature」はもともと英語で書かれたものである。

日本語にするとなると、英語で は簡単に使っていく言葉が、なかなか適切な日本語にならない。たとえば Ecological Farming をど う訳すか。「生態系に優しい農業」か、「生態系を傷めない農業」か「生態系に適合した農業」か、ひ とつの言葉だけでもこれはという決定打がなかなか出ない。そんな言葉が次々と出てくる。

Lessons from Nature」 英文
http://asianfarmers.org/wp-content/uploads/2015/07/Lessons-from-Nature-Shimpei-Murakami.pdf

村上日苗さんwritte
今回はえらいニコニコしながら「ちょっとインドにいってくる」と真平さんインドへ。シャンティクティの臼井さんご夫妻がいるインドへお話に、そしてヴァンダナ・シヴァさんのところへ。夫のしていることを、他の方のフェイスブックで知る私。前にも「あれ~~、三重の農園にいると思ったらいつの間にか海外に~?」ということもあった・・。今回ニコニコしている意味がわかったわ~。


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