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分かち合いの精神 種をとる
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分かち合いの精神 種をとる

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8月25日(土)掲載 長野市民新聞
分かち合いの精神
種は「買う」ではなく「採る」

「うちだけじゃ食べきれないからよかったら食べて~」
真っ赤なトマトに、みずみずしいナスにキュウリ。この夏も友人や知人から、多くの夏野菜のおすそ分けを頂いた。本当にありがたい。
ところで、できあがった「実」だけでなく、「種」も分け合おうという活動が信州から全国に広がっているのをご存知だろうか。池田町でゲストハウスを営む臼井健二さん朋子さん夫妻は、6年前に種の銀行「種バンク」を立ち上げ、様々な植物の種を保存する活動をしている。先日取材に行ってきた。

安曇野の森の中に建つとんがり屋根の小さな小屋の中には、野菜や果物など200種類もの種が瓶に入れられ、保存されていた。
ラジオの取材なので音で表現するために、ご主人の健二さんが種の入った瓶を振って下さる。オクラ、ヘチマ、ズッキーニ、カボチャ…形も大きさも違うので、音色が違っている。

480個もの種を集めてどのようにして使うのか?答えは「無料」で貸し出すのだ。「種ができたら2倍にして返してもらえればよい」というのが一応のルール。種は一粒が何千倍になることもある。そのうちのたった二粒を返すだけでよいのだという。万が一失敗して種が採れなくてもよい。ほかの借り手が2倍にして返してくれるから…とおおらかで気前がよい。
臼井さん夫妻が

保存している種は、地域で脈々と採り続けられてきた固定種、在来種と呼ばれるものだ。一方で最近は多くの品種で、「F1(エフワン)」と呼ばれる外国産の種が出回っている。大量生産しやすく、流通時に運びやすいようにと大企業が改良したものだ。エフワンの種は形質がばらけるから、毎年買う必要がある。以前にも書いたが、今日本で出回っている家庭菜園用の種の約9割は外国産。万が一種の輸入が途絶えれば日本ではほとんど野菜が作れなくなってしまう恐れもある。「大企業の種に頼らない農業をする」。ここに、種バンクがある大きな意義があるのではないだろうか。

この活動を通して臼井夫妻が最も伝えたいこと。それは「ほんの少しでもいいから植物を育てて種を採ってみよう」ということ。臼井さんの畑では、夏野菜がたくさんの種を結び始めていた。

そうして採取していくうちに、種は独自の進化をはじめ、土地の基準にあったオリジナルの種が生まれるのだそう。最後に、主要穀物種子法の廃止、種苗法の自家増殖禁止(家庭菜園は除く)に向けた動きなど、昨今の農業を取り巻く法律の動きについて意見を聞いてみた。「自然界は種が落ちれば芽が出て実がなるもの。新しく開発した品種の保護はあってもいいと思いますが、企業は自然界の法則まで開発したわけではありません。本来、農産物の著作権は自然界にあるのですから…」と。
私たちの食はすべて種によってできている。肉や魚だって植物を食べて生きている。言い換えれば私たちの命の源が「種」にあるのだ。種の大切さをより多くの人に知ってもらうため、夫妻の呼びかけが続く。

臼井さん夫妻の種採り講座たねCafeは9/4 池田町(会染)シャンティクティで行われます。
お問い合わせは0261-62-0638 まで
いくたあきこ
信越放送アナウンサー
第4土曜日掲載

安曇野たねCafe案内 9月4日

https://www.facebook.com/100001859068579/posts/2144623628942918/

池田町にある「種バンク」

種センター 種バンクの建物

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信州安曇野にあるシャンティクティの暮らしをお届けします。自然の中での暮らしを体験しながら、それぞれのペースでゆったりとした時間を過ごしていただきたいと思っています。 http://www.ultraman.gr.jp/shantikuthi/