Did the 1980 Movie "Virus" predict the Corona Virus?

復活の日
小松左京

ダイジェスト

https://youtu.be/n5WzgZQI9GI




196X年2月、イギリス陸軍細菌戦研究所で試験中だった猛毒の新型ウイルス「MM-88」がスパイによって持ち出される。スパイの乗った小型飛行機は吹雪に遭ってアルプス山中に墜落し、ウイルス保管容器は砕け散る。春が訪れて気温が上昇するとMM-88は大気中で増殖を始め、全世界に広まった。当初は家畜の疫病や新型インフルエンザと思われたが、心臓発作による謎の突然死が相次ぎ、おびただしい犠牲者を出してなお病原体や対抗策は見つからず、人間社会は壊滅状態に陥る。半年後、夏の終わりには35億人の人類を含む地球上の爬虫類・両生類・魚類・円口類を除く脊椎動物が、ほとんど絶滅してしまう[註 3]。

生き残ったのは、南極大陸に滞在していた各国の観測隊員約1万人と、海中を航行していたために感染を免れた原子力潜水艦[註 4]ネーレイド号(イギリス軍)やT-232号(ソ連軍)の乗組員たちだけであった。過酷な極寒の世界がウイルスの活動を妨げ、そこに暮らす人々を護っていたのである。南極の人々は国家の壁を越えて結成した「南極連邦委員会」のもとで再建の道を模索し、種の存続のために女性隊員16名による妊娠・出産を義務化したほか、アマチュア無線で傍受した医学者の遺言からウイルスの正体を学び、ワクチンの研究を開始する。

4年後、日本観測隊の地質学者の吉住(よしずみ)は、旧アメリカアラスカ地域への巨大地震の襲来を予測する。その地震をホワイトハウスに備わるARS(自動報復装置)が敵国の核攻撃と誤認すると、旧ソ連全土を核弾頭内蔵ICBMが爆撃することや、それを受けた旧ソ連のARSも作動して南極も爆撃されることが判明する。吉住とカーター少佐はARSを停止するための決死隊としてワシントンへ向かい、ホワイトハウス地下の大統領危機管理センターへ侵入するが、到着寸前に地震が発生したためにARSを停止できず、その報復合戦で世界は2回目の死を迎える。しかし、幸いにも南極は標的とならなかったうえ、中性子爆弾の爆発によってMM-88から無害な変種が生まれ、皮肉にも南極の人々を救う結果となる。

6年後、南極の人々は南米大陸南端への上陸を開始し、小さな集落を構えて北上の機会を待っていた。そこに、服が千切れて髪や髭はボサボサという、衰弱した放浪者が現れる。それは、ワシントンから生き延びて徒歩で大陸縦断を敢行してきた吉住だった。精神を病みながらも仲間のもとへ帰ろうとする一念で生還した吉住を人々が歓呼で迎えた。多くの犠牲を出したとはいえ、人類は滅亡寸前で新たな再生への道を踏み出すこととなったのだ。被災地に多くの文明の遺産が残っているおかげで、人類社会の再生は原始時代からのやり直しよりも遥かに迅速なものとなるという希望に満ちた見通しとともに物語の幕は下りる。

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