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あなたはいつも何かに怒っているようだけれど、怒りを鎮めて平穏な心でいることが何よりもの薬なのだ」

出会った人々の言葉や振る舞い

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*ギャンツェの博物館で「イギリス人はチベットに何をしたか」の展示を見て私が、「これを言うなら中国人はチベットに何をしたか」を展示するべきだ」と言うと、ガイドが言った言葉。
「それは違う。『中国はチベットに何をしたか』であって、中国と中国人はちがう」と。
*かかりつけだったチベット医が私に言った言葉。
「あなたにはこの薬が合っているけれど、でも薬よりも大事なことは、あなたはいつも何かに怒っているようだけれど、怒りを鎮めて平穏な心でいることが何よりもの薬なのだ」
*別のチベット医に通うようになったが、新たにかかりつけになった医師の言葉。
「状況を変えようと立ち向かうのではなく、心の有り様を変えて御覧なさい」
*馬旅で数日を共にした巡礼の尼僧が、別れを惜しんで涙する私に言った言葉。
「イチ、泣くことは何もない。私たちは共に幸せな時を過ごした。だからこれからは祈りなさい。祈っていればいつも幸福な心で居られる。元気な時も病気の時も、祈りなさい。そしていつも、幸せな心を保ちなさい」
*塩湖で。そこで採取している塩を買いたいというとたっぷりと袋に入れて渡された。
代金はいらないと言うので何かお礼を渡そうとしたら、叱られた。
「遠くから来たあんたにあげるのだ。人の行為は黙って受け取れ」
*粉挽き小屋のおじいさんは、ツァンパを買いたい私が小屋に入ろうとするのを止めて「祈りの言葉を唱えなさい」といきなり言ったので、私は釈迦牟尼仏、薬師如来、緑ターラー観自在菩薩の真言を3回ずつ唱えたら小屋に入れてくれて言った。
「最近は観光客が増えて大勢がやってくるが、祈りを知らない者にはツァンパは売らない。世界ではあちこちで戦争が起きているが、みんなが武器を捨てて祈れば、平和になるのだ。祈りを忘れてはいかん!」
*宿をとった招待所で。足の悪い女性服務員が魔法瓶のお湯を運んできてくれた。彼女が去った後で同行のチベって人たちが、彼女の歩き方を真似して笑った。それを見て私は、チベット人って、こんな風にハンディのある人を笑い者にするのかと思った。
さっきの女性服務員がもう一度部屋に来た時に彼女を笑ったチベット人たちが「お前の歩き方はこんなだな」と真似て見せると彼女は笑いながら、「そうなのよ。子供の頃から私はこうやって歩けるけど、あんたたちはこんな風には歩けないでしょ」と言い、笑った者も笑われた者も、言った者も言い負かされた者も、互いに声たてて笑いあった。
それを見て私は、彼らが彼女を真似て笑ったのは差別や蔑視ではなく、また彼女と彼らが笑い合ったのは違いを認め合っての笑いだったと知った。
*サカダワ(チベット暦の4月15日の祭礼)で中国人のあくどい商売を見て、怒りに任せて文句を言おうとした私に、見知らぬチベット人が言った言葉。
「あんたがカリカリと怒っても、仕方ないだろう。それよりあんな商売をする哀れな男のために、あいつの来世がよくなるように祈ってやりなさい」
7、2000年西部大開発計画により鉄道工事が始まると
 鉄道開通前には、物価が安くなるだろうという期待もあったが、一時的に物価は下がったが、それによって生活が楽になったわけではない。
以前は牧畜地帯の住民と農業地帯の住民が収穫期に交易で生活必需品を手に入れていたが、物産の集積馬や加工工場ができて、必要な品は現金で買うようになったので現金収入がないと生活できない。
 またビニールやプラスチックなど環境に悪影響を与えるゴミが散乱するようになった。
便利を求めればきりがない。便利は欲望を道連れにしてやってくる。
 また鉄道開通後は他省から移住してくる漢人が激増し、それもチベット人の暮らしに様々な影響を与えている。

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